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だが、現在のルリの恋人はダンだ。二人を受け入れるという訳にはいかない。不特定多数と関係を持っていても、恋人はダンだけなのだから。
今度こそ、本当にお別れだとルリが口を開こうとする。
――だがその時、予想もしない一言がその場に響きわたった。
「もう、この四人で付き合おうよ」
突然、ダンがそう言ったのだ。ダンがまるで「明日デートしない?」「うん」のような軽さでルリが他の二人とも恋人関係になるのを認めたことに、ラントもディアンも一瞬固まった。
「い、や……それは」
ラントが動揺から乾いた声をあげる。だが、動揺するのも当然だろう。正真正銘ルリの正式な恋人であるダンだ。一日だけの相手として誘われるのならまだ納得はいくが、まさか恋人の一人に加わらないかと言われるとは思いもしなかった筈だ。卵のために身体だけの関係を認めてはいても、ルリが複数恋人を持つことに対してはさすがに嫌だと思うものでは? と口には出さないが二人の目が言っている。
「え、何か問題ある? それが一番丸く収まると思うよ」
「……それはルリ以外の恋人を、君も持ちたいということだろうか?」
あまりにも軽すぎるダンに、ディアンは慎重に言葉を選びながらもそう尋ねる。だが、ダンは「まさか、違うよ」と首を左右に振った。
「僕さ、実はなんだかんだ言ってルリと恋人になってからは他の相手とは寝ていないんだよね。元々そんな性欲は強くないし、他の相手に興味も持てなくてさ。僕、ちょっと変わってるんだよねぇ」
その言葉に、ルリは「えっ」と声をあげた。何せ、最初恋人関係になる際にダンは言っていたのだ。互いに自由にやっていこうと。しかし、今までを思い返してみると、確かにダンが誰かと関係を持っているような光景に出くわしたことがないことに気づく。
「ごめんね、ルリ。僕の方は君一筋だけど君の場合は色んな人と寝てくださいって言っても、多分ルリは受け入れらないかなと思ったんだ」
一般的に考えて、僕らの種族が異常だというのは分かっているから。ダンはそう続けた。
確かに、そう最初に言われていたらルリは罪悪感で受け入れることはできなかっただろう。
「いや、そうだとしてもだ。別に四人で付き合う必要はないだろ。話を聞いた以上、俺らが身を引けば良い。今までも……その、行きずりの相手で問題は無かったんだろ」
言いにくそうにラントが言う。おそらくはルリへの気遣いなのだろうが、ルリとしてはその部分については既に何の罪悪感も抱けない程に爛れてしまっているので無用な心配だった。ダンは「そうでもないんだよ」とラントの言葉をやんわりと否定した。
「実は、正直今の状態って効率が悪いから、いつ卵が孵るか全く分からないんだよ。普通に相手を探すのも大変だし、変な奴もいる。子種にも質があるのもネックかなぁ。地球人は寿命も短いから生命力が足りないんだよね。その点、君たちなら十分すぎるほどだ。身元もしっかりしていて、話をする限り常識もある。少なくとも僕よりはね。何より君たちなら僕が不在の際もルリを守ってくれるでしょ? まぁ、確かに僕以外にも恋人が~ってなると、全く嫉妬しないというのは嘘になるけど。でも、僕の星では雌を複数の雄が守るのは一般的だし、やっぱりそこまで抵抗はないなぁ」
今度こそ、本当にお別れだとルリが口を開こうとする。
――だがその時、予想もしない一言がその場に響きわたった。
「もう、この四人で付き合おうよ」
突然、ダンがそう言ったのだ。ダンがまるで「明日デートしない?」「うん」のような軽さでルリが他の二人とも恋人関係になるのを認めたことに、ラントもディアンも一瞬固まった。
「い、や……それは」
ラントが動揺から乾いた声をあげる。だが、動揺するのも当然だろう。正真正銘ルリの正式な恋人であるダンだ。一日だけの相手として誘われるのならまだ納得はいくが、まさか恋人の一人に加わらないかと言われるとは思いもしなかった筈だ。卵のために身体だけの関係を認めてはいても、ルリが複数恋人を持つことに対してはさすがに嫌だと思うものでは? と口には出さないが二人の目が言っている。
「え、何か問題ある? それが一番丸く収まると思うよ」
「……それはルリ以外の恋人を、君も持ちたいということだろうか?」
あまりにも軽すぎるダンに、ディアンは慎重に言葉を選びながらもそう尋ねる。だが、ダンは「まさか、違うよ」と首を左右に振った。
「僕さ、実はなんだかんだ言ってルリと恋人になってからは他の相手とは寝ていないんだよね。元々そんな性欲は強くないし、他の相手に興味も持てなくてさ。僕、ちょっと変わってるんだよねぇ」
その言葉に、ルリは「えっ」と声をあげた。何せ、最初恋人関係になる際にダンは言っていたのだ。互いに自由にやっていこうと。しかし、今までを思い返してみると、確かにダンが誰かと関係を持っているような光景に出くわしたことがないことに気づく。
「ごめんね、ルリ。僕の方は君一筋だけど君の場合は色んな人と寝てくださいって言っても、多分ルリは受け入れらないかなと思ったんだ」
一般的に考えて、僕らの種族が異常だというのは分かっているから。ダンはそう続けた。
確かに、そう最初に言われていたらルリは罪悪感で受け入れることはできなかっただろう。
「いや、そうだとしてもだ。別に四人で付き合う必要はないだろ。話を聞いた以上、俺らが身を引けば良い。今までも……その、行きずりの相手で問題は無かったんだろ」
言いにくそうにラントが言う。おそらくはルリへの気遣いなのだろうが、ルリとしてはその部分については既に何の罪悪感も抱けない程に爛れてしまっているので無用な心配だった。ダンは「そうでもないんだよ」とラントの言葉をやんわりと否定した。
「実は、正直今の状態って効率が悪いから、いつ卵が孵るか全く分からないんだよ。普通に相手を探すのも大変だし、変な奴もいる。子種にも質があるのもネックかなぁ。地球人は寿命も短いから生命力が足りないんだよね。その点、君たちなら十分すぎるほどだ。身元もしっかりしていて、話をする限り常識もある。少なくとも僕よりはね。何より君たちなら僕が不在の際もルリを守ってくれるでしょ? まぁ、確かに僕以外にも恋人が~ってなると、全く嫉妬しないというのは嘘になるけど。でも、僕の星では雌を複数の雄が守るのは一般的だし、やっぱりそこまで抵抗はないなぁ」
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