8 / 10
◆chapter1◆幼少時代編
パパの親友の子供②
しおりを挟む
「良かった……!」
たくさんアメジスト兄上に遊んでもらったことで大満足した俺は、無事に二足歩行のヒト型に戻ることが出来た。ポメ化したまま紹介されるのだけは避けることができて、ほっとしたよ。最初の第一印象が大事なのに、ポメのままだったら絶対締まらない。
そもそも魔族全員が可愛いもの好きとは限らない。虐げられたことはないし酷い態度を取られたことはないけれど、さすがに全員から好かれるなんてありえない。
まぁ、子供らしい愛くるしさこそあるけれど、どっちかというと平凡よりの俺のヒト型の姿じゃあ、むちゃくちゃ良い印象を相手に与えるっていうのは難しいだろうけど。兄上たちのように超絶美形とまではいかなくても、もう少し美形寄りならなぁ。
もしくはもっと派手ならなぁ、とちょっと思う。何せ俺の真っ白な髪の毛は珍しいと言えば珍しいけれど、瞳は黒っぽいグレーと、かなり地味な色だった。
(絶対皆美形なんだろうなぁ)
魔族は美形しかいないのか? ってくらいに周りが美形ばかりなので、最近麻痺しがちだけれど、美形を見るのは純粋に目の保養だし、正直嫌いじゃなかった。むしろワクワクする。今の暮らしって、正直あまり刺激がないというか平和すぎて退屈なところもあるので、いつもと違う日ってのは楽しみなんだよね。
「シオン坊ちゃま。ご機嫌ですわね」
部屋付きの侍女の一人で、本日の俺の身なりを整えてくれていたアーニャが、俺の機嫌が良いことを見抜き、ふふっと笑った。壮年の女性の姿をしている悪魔族の彼女は、俺の小さい時からずっと側に居てくれるヒトだ。パパと兄上たちの次くらいに俺も懐いている。ちなみに妖艶な美女って感じだ。
「うん! 友達になれたらいいなって!」
「シオン坊ちゃまなら大丈夫ですよ。あの冷徹で知られていた魔王様が、デレデレですからね。殿下たちだって、ご友人に坊ちゃまのこといつも、毛並みがもふもふで最高! ボールを投げるとすぐに取って来るしすごく賢いんだ! と、いつも自慢されていらっしゃいますし、本当に可愛いは最強ですわ」
「そ、そう……?」
アーニャはゆっくりと首を縦に振った。
(いや、それもう弟自慢って言うかペット自慢してる飼い主の言動だよね!?)
ゲームに入り込む前の、里中紫苑だった時に良く見たペットの飼い主さんまんますぎて、ちょっと兄上たちが心配になった。アズール兄上やアメジスト兄上は子供だから良いけど、外見はワイルド系の美丈夫であるミスティック兄上が同じことを言ってると思うと絵面的に心配だ。
パパの副官でもあるミスティック兄上は、威厳ある姿を周囲に見せないといけないだろうし……大丈夫なのかなぁ。意外とギャップ萌えとか? うーん。まぁ、でももう既に周知の事実みたいになってるなら、今更何言っても遅いか。
俺普段は子供らしい言動を心がけているけれど、中身は全部の人生合わせると、半世紀くらいは生きてるからちょっと皆を騙してるみたいで罪悪感があったりする。でも、俺は今度こそ幸せな人生……いや魔族だから、魔族生を歩みたいのでちょっとだけあざといのは許してほしい。
さすがに子供うちだけだろうしね、今みたいな溺愛は。
「アーニャはシオン坊ちゃまを応援していますから!」
「……うん、ありがとう!」
俺はアーニャに見送られながら、パパたちの待つ大広間に向かった。
――――――――――――☆☆☆―――☆☆☆――――――――――――――――――
※1 プロローグをいったん非公開にしています。また後日、本編の途中で幕間として修正したものを投稿します。
※2 タイトルが分かりづらかったため、タイトルとあらすじを変更いたしました。
一度目の人生で地獄を見た俺! 二度目のポメガバースな箱庭世界で今度こそハッピーライフを目指します!~でも……ポメガバースって何?~
を引き続きよろしくお願いいたします。
たくさんアメジスト兄上に遊んでもらったことで大満足した俺は、無事に二足歩行のヒト型に戻ることが出来た。ポメ化したまま紹介されるのだけは避けることができて、ほっとしたよ。最初の第一印象が大事なのに、ポメのままだったら絶対締まらない。
そもそも魔族全員が可愛いもの好きとは限らない。虐げられたことはないし酷い態度を取られたことはないけれど、さすがに全員から好かれるなんてありえない。
まぁ、子供らしい愛くるしさこそあるけれど、どっちかというと平凡よりの俺のヒト型の姿じゃあ、むちゃくちゃ良い印象を相手に与えるっていうのは難しいだろうけど。兄上たちのように超絶美形とまではいかなくても、もう少し美形寄りならなぁ。
もしくはもっと派手ならなぁ、とちょっと思う。何せ俺の真っ白な髪の毛は珍しいと言えば珍しいけれど、瞳は黒っぽいグレーと、かなり地味な色だった。
(絶対皆美形なんだろうなぁ)
魔族は美形しかいないのか? ってくらいに周りが美形ばかりなので、最近麻痺しがちだけれど、美形を見るのは純粋に目の保養だし、正直嫌いじゃなかった。むしろワクワクする。今の暮らしって、正直あまり刺激がないというか平和すぎて退屈なところもあるので、いつもと違う日ってのは楽しみなんだよね。
「シオン坊ちゃま。ご機嫌ですわね」
部屋付きの侍女の一人で、本日の俺の身なりを整えてくれていたアーニャが、俺の機嫌が良いことを見抜き、ふふっと笑った。壮年の女性の姿をしている悪魔族の彼女は、俺の小さい時からずっと側に居てくれるヒトだ。パパと兄上たちの次くらいに俺も懐いている。ちなみに妖艶な美女って感じだ。
「うん! 友達になれたらいいなって!」
「シオン坊ちゃまなら大丈夫ですよ。あの冷徹で知られていた魔王様が、デレデレですからね。殿下たちだって、ご友人に坊ちゃまのこといつも、毛並みがもふもふで最高! ボールを投げるとすぐに取って来るしすごく賢いんだ! と、いつも自慢されていらっしゃいますし、本当に可愛いは最強ですわ」
「そ、そう……?」
アーニャはゆっくりと首を縦に振った。
(いや、それもう弟自慢って言うかペット自慢してる飼い主の言動だよね!?)
ゲームに入り込む前の、里中紫苑だった時に良く見たペットの飼い主さんまんますぎて、ちょっと兄上たちが心配になった。アズール兄上やアメジスト兄上は子供だから良いけど、外見はワイルド系の美丈夫であるミスティック兄上が同じことを言ってると思うと絵面的に心配だ。
パパの副官でもあるミスティック兄上は、威厳ある姿を周囲に見せないといけないだろうし……大丈夫なのかなぁ。意外とギャップ萌えとか? うーん。まぁ、でももう既に周知の事実みたいになってるなら、今更何言っても遅いか。
俺普段は子供らしい言動を心がけているけれど、中身は全部の人生合わせると、半世紀くらいは生きてるからちょっと皆を騙してるみたいで罪悪感があったりする。でも、俺は今度こそ幸せな人生……いや魔族だから、魔族生を歩みたいのでちょっとだけあざといのは許してほしい。
さすがに子供うちだけだろうしね、今みたいな溺愛は。
「アーニャはシオン坊ちゃまを応援していますから!」
「……うん、ありがとう!」
俺はアーニャに見送られながら、パパたちの待つ大広間に向かった。
――――――――――――☆☆☆―――☆☆☆――――――――――――――――――
※1 プロローグをいったん非公開にしています。また後日、本編の途中で幕間として修正したものを投稿します。
※2 タイトルが分かりづらかったため、タイトルとあらすじを変更いたしました。
一度目の人生で地獄を見た俺! 二度目のポメガバースな箱庭世界で今度こそハッピーライフを目指します!~でも……ポメガバースって何?~
を引き続きよろしくお願いいたします。
0
お気に入りに追加
166
あなたにおすすめの小説
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
────妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの高校一年生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の主人公への好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
君のことなんてもう知らない
ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。
告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。
だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。
今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが…
「お前なんて知らないから」
期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています
ぽんちゃん
BL
病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。
謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。
五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。
剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。
加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。
そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。
次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。
一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。
妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。
我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。
こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。
同性婚が当たり前の世界。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。
完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる