兄たちが溺愛するのは当たり前だと思ってました

第1章

42.お客様3

『あなたは何者ですか...』


自分が知りたい事を一言で伝えたくて色々言葉考えたけど結局変な言葉になってしまった。

一瞬空気がしーんと静まり返るが、その沈黙は謎の美丈夫によって直ぐに破られる。


｢うん？僕のこと？僕はね、ランスの事がだぁいすきなんだ！ランスの魔力も可愛い所も！｣


なんだよぉ、急に饒舌になりやがって。
びっくりするじゃん！！


｢で、でも僕は...そ、の見ての通りで、初めてお会う方には1人で向かい合えない...そんな人です。｣

｢それがどうしたのぉ？｣


さっきのカタコトはどこへ行ったんだ、

すると、そっとフラン兄様が耳元で
｢ランスも会ったことあるよ...｣と囁いた。

え、誰だろう...


｢ランス、ランス？僕に名前をつけて？｣

｢何故、名前を付けるのですか...？｣


僕は相変わらずフラン兄様の胸に顔を埋めて、答える。兄様の胸濡れてないかな？


｢僕がやっと1人前になれたからだよ！！｣

｢1人前...とは｣

｢魔力もらった！！！｣ 

｢えっ！？まさかあの声、の子？｣


驚きすぎて普通に顔をそっちに向けてしまった。

ばちっと目が合った僕らは2人固まり再び流れる沈黙の時間。
あぁ、目逸らしたいけどなんだか逸らせない。
あんなキラキラした目で見られたら、こんな態度好きで取ってるわけじゃないけど、僕が悪いみたいじゃないか。

すると、見兼ねたフラン兄様が抱っこをし直すように1度僕の脇に手を入れ、より密着するように抱っこしてくれた。

僕は無理に庭園に連れて行かれた事は、少しトラウマだ。

兄様もいるし、頑張るしかないよね。


｢あ、の。お名前はない...のですか？｣

｢うん！そうだよ！！｣

｢そう...なんですね、それであなたは何者なんですか｣

｢僕はね、ランスのことがね！｣


あっ、そう言うことでは...


｢ランスが聞きたいのはそうではない。お前がどこから来たとかだ。｣


そうそう！ヴィンス兄様ナイス！


｢僕？僕は、風の妖精です！！｣

｢よ、う...せい？｣

｢うん！一目惚れしたから1人前なってここきた！！｣


え、一目惚れとは。
妖精にも一目惚れとかあんのかい。
てか、それの為に来たの？


｢そ、の。一目惚れの相手を、探しにきた...んですよね？わざわざ、頑張って成長して...｣

｢うん！そうだよ！！｣

｢じゃあ僕がお相手する必要ありますか？
兄様がお相手した方が...｣

｢うん！！だってランスに一目惚れしたんだもん！！｣