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22話

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月島side


浅井くんとのキスの間、俺はあと先のことを考えずただ本能のまま浅井くんのキスを受け入れてしまった。


食事の時間を知らせるチャイムの音がなり、現実に引き戻された俺は可愛い大切な教え子になんて事をしてしまったんだと後悔が押し寄せる。


それなのに俺の胸は正直すぎるほど浅井くんにドキドキしていて今にも泣き出してしまいそうだった。


食堂に向かっても食欲がないと言って俺の前で不貞腐れ反攻的な態度を取る浅井くん。


食堂で働いてる方のご好意でおにぎりを用意して頂ける事になったが、俺自身も口に食事を運んでいるものの何を食べているのか全く味がしなかった。


しっかりしろ…


そう自分自身に喝を入れ浅井くんを連れて部屋に戻った途端、浅井くんに名前を呼ばれて油断していた俺は心臓が止まるかと思った。


凹「なに…?」


ゆっくりと浅井くんの方を振り返りながならそう問いかけると、浅井くんの目は少し悲しそうな目をしていて俺の胸の奥をぎゅっと締め付け揺さぶる。


凸「俺、月島先生が好きなんだけど。」


浅井くんの言葉が届いているのに俺は何も答えることが出来なかった。


浅井くんに好きと言われて嬉しい…


そう思う反面、それを受け入れてしまうと浅井くんのこれからの明るい未来を俺の手で壊してしまいそうだったから。


浅井くんは俺から視線を逸らすことなく、じっと俺の目を見つめたままゆっくりと一歩、俺に近づいてくると俺は後ろに一歩、浅井くんとの心の距離をあけるように下がった。


凸「散々キスしといて今さら俺のこと避けんの?」


その言葉で一瞬にして自分の唇に浅井くんの唇の感触と温もりがフワッと蘇りドキドキと脈を打つ。


凹「あ…あれは…つい…」

凸「魔がさしただけ?」

凹「そういう意味じゃなくて…」

凸「どういう意味でもいいよ…だからさ?2人っきりの時くらい先生づらすんのやめろよ。」


浅井くんはそう言い残すと、少し苛立ったような顔をして頭をガシガシと掻きながらバスルームへと入って行った。


俺はその瞬間、全身の力が抜けたように力なくベッドに腰をストンと落とす。


やっぱ無理だ…


こんなにも浅井くんのことを好きになってしまってる…


彼の顔を見ただけで泣きたくなるほど自分の気持ちが溢れ出してしまいそうで苦しい。


俺には佐々木先生という恋人がいるのに…


浅井くんは俺の大切な教え子なのに…


なのに…


なのに…


そんな言葉が頭の中をぐるぐる回っても結果、たどり着いてしまうのは浅井くんが好き…


ただ、それだけだった。


俺はゆっくりと立ち上がり今にもこぼれ落ちてしまいそうな涙をなんとか堪え、浅井くんのいる部屋を出た。


少し夜風に当たったらこの火照った体や考えが冷めてくれる…そう思ったから。


宿舎を出て澄んだ外の空気を感じながら夏虫の声に耳を傾け、ため息を落とす。


雲ひとつない夜空には都会では見れないようなキラキラと光る星たちが埋め尽くし天の川を作っていた。


あまりの美しさに俺は息をのみ夜空を駆ける流れ星を見つけた。


その流れ星を見た俺はゆっくりと瞳を閉じ願ったんだ。


好きになったばかりのキミの幸せを…



つづく
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