上 下
2 / 45

2話

しおりを挟む

浅井side


M「あの新しい担任さ?美術の先生なんだって。」


昼休みの昼食を終え、次の授業のダルさに頭を抱えていた俺に、校内では情報通で有名な三木が横の席に座りながらそう言った。


凸「へぇ~」


本当はもう少し聞きたかった。


だけど聞けなかったのはこの教室内で月島先生の味方はきっと俺だけだからだろう。


M「ん?それだけ?珍しく自分から誰かを助けたりしてたら興味あんのかな~と思って情報拾ってきてやったのに。」

凸「え……っと…」

M「バレてるからw他の奴らは隕石に夢中だったけど俺はお前のこと見てたからwせっかく面白い情報お前のために持ってきてやったのに残念だわ~」


三木はそう言って長い手を頭の後ろで組みわざとらしく微笑んでいる。


そして、俺はと言えば…悔しいかな…


その情報とやらが気になりすぎて今にも拳で壁に穴を開けてしまいそうだ。


凸「お前がどうしても話したいって言うなら聞いてやってもいいけど?」


俺がそう言えば、三木は全て俺の心を見透かしているかのように笑みを浮かべ俺の方へと体を向けた。


M「どうしても知りたいって言うなら教えてやってもいいけど?」


謎に俺VS三木の睨み合いが始まり、気付き始めた周りの生徒たちが面白がって俺たちにハッパをかける。


凸「別に言いたくらないなら言わなきゃいいじゃん。」

M「別にお前が聞きたくないなら俺は言わない。」


頑固な俺たちは一歩も譲る事なくおもむろに立ち上がり、ただ睨み合う。


すると…


凹「なにどうしたの!?喧嘩!?」


教室内に立ち込めている雰囲気にそぐわない声が響いて、思わず俺は三木から目を逸らすとそこにいたのは…


凸「…月島先生…」


月島先生が必死な顔をして俺たちの横に立っていた。


P「月島先生~浅井くんと三木くんが~ケンカしてま~す!」


いつも自分たちは顔が変形し血まみれになるほどの殴り合いの喧嘩をしてるくせに、なぜか俺と三木が不穏な空気を漂わせただけでそうチクるププ。


凹「喧嘩はダメだよ。ちゃんと話し合わなきゃ。」

凸「別に喧嘩なんてしてねぇし…うぜぇ…」

M「だってコイツが月島先生のこと好きなくせ…」

凸「うるせぇ!!余計なこと言うなバカ!!」


俺は余計な事を大声で言いそうになった三木の口を無理やり押さえて止める。


そんな様子に驚いたのか月島先生は俺の腕を掴んで三木から離させようとした。


凹「こら!暴力はいけません!離しなさい!もうすぐ午後の授業なんだから!しっかり授業に集中すること!2人とも今日は居残りです!放課後先生のとこに来なさい!」


月島先生がそう言うと、5時間目の数学の先生が入ってきてそれと入れ違いに月島先生は教室を出て行く。


チラッと横の席に座る三木を見ると、三木は口パクで俺に「お前のせいだぞ!」と言って怒っていたが俺はそれを無視して窓の外を眺めた。


つづく
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

共の蓮にて酔い咲う

あのにめっと
BL
神原 蓮華はΩSub向けDom派遣サービス会社の社員である。彼はある日同じ職場の後輩のαSubである新家 縁也がドロップしかける現場に居合わせる。他にDomがいなかったため神原が対応するが、彼はとある事件がきっかけでαSubに対して苦手意識を持っており…。 トラウマ持ちのΩDomとその同僚のαSub ※リバです。 ※オメガバースとDom/Subユニバースの設定を独自に融合させております。今作はそれぞれの世界観の予備知識がないと理解しづらいと思われます。ちなみに拙作「そよ風に香る」と同じ世界観ですが、共通の登場人物はいません。 ※詳細な性的描写が入る場面はタイトルに「※」を付けています。 ※他サイトでも完結済

次は絶対死なせない

真魚
BL
【皇太子x氷の宰相】  宰相のサディアスは、密かにずっと想っていたカイル皇子を流行病で失い、絶望のどん底に突き落とされた。しかし、目覚めると数ヶ月前にタイムリープしており、皇子はまだ生きていた。  次こそは絶対に皇子を死なせないようにと、サディアスは皇子と聖女との仲を取り持とうとするが、カイルは聖女にまったく目もくれない。それどころかカイルは、サディアスと聖女の関係にイラつき出して…… ※ムーンライトノベルズにも掲載しています

淫獄桃太郎

煮卵
BL
鬼を退治しにきた桃太郎が鬼に捕らえられて性奴隷にされてしまう話。 何も考えないエロい話です。

クソゲーの異世界で俺、どうしたらいいんですか?

けいき
BL
夜道で交通事故にあった竹海瑠架は意識を失う。 誰かに声をかけられ目を開くと目の前にはゲームやアニメのようなあり得ない色味の髪をした女の子がいた。 話を聞くと奴隷商人に売られたと言う。 え、この現代に奴隷?奴隷!?もしかしてコレは俺の夢なのかな? そんなことを思っていたらなんだか隔離されてるのか部屋の外が騒がしい。 敵が攻めてきた?それとも助けてくれる人?どっちかわからないけれど、もしこの部屋に来たら攻撃してもーー? 大丈夫。怖くない、怖くないよ。死んだらきっと起きるだけ……。 時間が経つにつれ、なんかリアルっぽいんですけど……。 もしかしてゲームやアニメ。ラノベ天ぷら……じゃなくてテンプレ展開ですか!? この作品は「ムーンライトノベルズ」に4/13より掲載しています。

虎の刻の君

皆中透
BL
 薫次(くんじ)は、生まれつき体が弱く、気が強い自分の心と真逆なその体を「イレモノ」と呼んで嫌っていた。  ある早朝、そんなイレモノに嫌気がさして、泥酔したまま飛び降りようとしていたところ、突然現れた美男子に唇を奪われる。 「魂と体のバランスが取れてないって言うなら、新しいのあげよっか?」  そう言い始めたその男は、「ハクト」と名乗った。  新しい体を手に入れて、意気揚々と生活を再開した薫次は、次第にあることに気づき始め……。

越えられない壁で僕らの幸せは・・・

綾瑪 東暢
BL
 繋家に産まれた繋 志飛(つなぎ しと)は男だった。残念なことに繋家に男は不要だった。両親は初めての子供だと言うことで志飛を女として育てることにし繋 志綾(つなぎ しあ)と名前を変えた。  繋家と違って女を不要としている要家。要家とはお隣同士の家であり両家の決まりで必ず繋家と要家の子供同士は結婚しないといけなかった。  それは伝統で昔からやって来ていること。誰も変えることの出来ない伝統。  要家の三男として要 荼泉(かなめ とい)が産まれた。  この流れで行くと荼泉と志綾は結婚することになる。が、どっちらも男。  伝統を守り、性別を隠しながら結婚するのか、伝統を破り、性別を明かして追い出されるか・・・

臆病な僕らは、健気なΩの愛を乞う

野中にんぎょ
BL
※この小説は、オメガバースです※ ※受け二人に対し、攻めは一人だけです※ ※都×小雪、都×理人、理人×小雪の表現があります※  東神田小雪(28歳・Ω)は社会学者である夫の都(28歳・α)と平穏な生活を送っていたが、都から突然「都の運命の番」である霧島理人(19歳・Ω)を紹介され、一夫多夫制を提案される。戸惑う小雪と理人だったが、都に言いくるめられ、試験的に一つ屋根の下で暮らすことに。反発し合う小雪と理人。けれど三人で暮らすうち、互いに心身の変化が訪れて……?  三人で紡いでいく、新しい日々。そして「僕ら」は、愛になる。

【完結】入れ替わった双子の伯爵令息は、優美で獰猛な獣たちの巣食う復讐の檻に囚われる

.mizutama.
BL
『僕は殺された。 この世でたった一人の弟である君に、僕は最初で最後のお願いをしたい。 僕を殺した犯人を、探し出してくれ。 ――そして、復讐して欲しい』 山間の小さな村でひっそりと暮らしていた、キース・エヴァンズ。 存在すら知らされていなかった双子の兄、伯爵令息のルイ・ダグラスの死をきっかけに、キースは兄としての人生を歩むことになる。 ――視力を取り戻したキースが見た、兄・ルイが生きてきた世界は、憎悪と裏切りに満ちていた……。 美しき執事、幼馴染、従兄弟、王立学院のライバルたち……。 「誰かが『僕』を殺した」 双子の兄・ルイからのメッセージを受け取ったキースは「ルイ・ダグラス」となり、兄を殺害した真犯人を見つけだすことを誓う。 ・・・・・・・・・・・・ この作品は、以前公開していた作品の設定等を大幅に変更して改稿したものです。 R18シーンの予告はありません。タグを確認して地雷回避をお願いします。

処理中です...