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55話

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それから数日後…

父のお葬式が行われた。

ジユとトモキはまだ退院はしていなかったが、病状も安定し、医者であるオサとユウアちゃんが側にいる事から、お葬式と火葬に参加することを病院から許可されていた。

私とトモキを親族席に座らせるよう他の親族と掛け合ってくれたオサには本当…心から感謝している。

そして、後からゆっくりと現れた70代半ばぐらいの男性が親族席にやってきた。

オサはその人の姿を見つけて立ち上がった。

この人…私どこかで会ったことある気が…

するとオサが言った…

O「会長…」

か…会長?

ってことはジョングギのお祖父さん…?

会「オサ…全てお前1人に背負わせてしまって申し訳ないな…」

O「いえ…息子として当然の事をしただけです。」

そう言ってオサは頭を下げた。

私がずっとお父さんだと思っていた人…

実際、血の繋がりはなかったけれど私に父親としての愛を教えてくれた人。

優しくて温かくて大好きだった。

今でもお父さんの笑顔は忘れられない。

ゆっくりとジユをみると涙をポロポロと流し震えるほど泣いていた。 

その肩をオサが支えてる。

今はジユの中で生きているお父さん…

私たちを愛してくれてありがとう。

そう、心の中で私はつぶやき首元で揺れる白詰草のネックレスに触れた。

火葬が始まり

私は風にあたるため外へと1人出た。

雲ひとつないとても綺麗な青空でお父さんが煙となって天へ登っていく…

「…ルリ…だね?」

低くて少し掠れた声がする方を見ると会長であるジユのお祖父さんが立っていた。

*「え…ぁ…はい…」

会「オサから全て聞いてるよ…ルリは…私のこと覚えているかい?」

その言葉を聞いて私の中にあるお父さんのと思い出が早送りかのように頭の中で駆け巡った…

あ…もしかして…

*「私…会ったこと…」

会「あぁ…トモキが産まれる前まではよくルリを連れて私の別宅に遊びにきていたんだよ…今、キミが住む丘の上のあの家に…」

*「え…」

会「まだ、ルリは幼かったから覚えていないだろうがあの家の庭でよくバトミントンやシャボン玉をして遊んでいたよ。」

*「そうですか…あの…少しお聞きしたいのですが…」

会「ん?なんだね?」

*「父…と私の母は…本当に愛人関係だったのでしょうか?」

私の言葉に会長は私の目を見て言った。

会「そうだな…そろそろ本当の話をしないといけない時が来たという事かな?ルリ…少し年寄りの昔話に付き合ってくれるかい?」

会長はそう言って近くにあったベンチに腰掛けた。


つづく
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