53 / 85
53話
しおりを挟む
私はゆっくりとジユの目を見つめた。
*「ジユが弟だって知った時ね…本当に心臓が止まるかと思った。愛しちゃいけない人なのにもう、愛してしまってて…側にいればいるほどもっと深く愛してしまいそうで…もう…気が狂いそうだった。…でも、オサが言ってくれたのよ。ジユの手術が終わるまでは姉弟とかもう、どうでもいいだろって…だから…手術が成功したらちゃんと話してお互いこれからのこと考えればいいって…」
J「オサくんそんな事言ってたんだ…オサくんにもさっき話したらさ…やっぱりな~って言ってた…」
*「オサは知らなかったの…?ジユはいつ知ったの?私達が異母兄弟じゃないってこと…ずっと前から知ってたの?」
J「オサくんは何も知らなかったよ。俺も本当に少し前まではルリと異母姉弟だと思ってた。だけど、どうしてもルリと姉弟だって信じたくなくて…ダメ元でDNA鑑定にだした。ルリがウチにきて指を怪我した事あったでしょ?それを病院に持って行って水族館に行った次の日かな…知ったのは…」
それを聞いて私の胸はドキッと跳ねた…
じゃ…あの愛し合った時にはまだ…
ジユは知らなかったってこと…?
J「あの時は正直…この人が実の姉だったらどうしようって思いながらも夢中で抱いてた…でも…どうしても我慢出来なかったんだ…ごめん… 」
*「ううん…」
J「あの丘で初めてルリを見たのはまだ、8歳の時であの丘には入院がちだった俺を連れてじいちゃんがよく連れて行ってくれたんだ。」
*「うん…」
J「ある日、初めてルリとトモキを見て、親父の机にいつも飾ってあった写真立ての2人だってすぐに分かった。そんな俺をじいちゃんは可哀想に思ってか2人を見つめる俺に写真撮ろって言ってさ?楽しくもねぇのに無理矢理撮ったんだ。その日以来じいちゃんはあの丘には連れて行ってくれなくて、俺はその写真を頼りにオサくんに頼んであの丘に連れて行ってもらうようになったんだ。」
*「実はねジユの幼い頃の話…少しオサから聞いたの…」
ジユは時々、私の手を見つめて何かを確かめるように手を繋ぎ直した。
J「そっか…俺はさルリに会いたくて何度もあの丘に行った。でも、いない事の方が多くて…会えた時は本当にラッキーだった。それから、13歳の時だったかな?親父との関係も冷め切っててあの丘にあるじいちゃんの家に引っ越した日、片付けを終えてあの丘に行ったらルリが1人で月を見上げてたんだ。その姿があまりにも綺麗で儚くて…恋をしてしまった。だから、じいちゃんに聞いたんだ。なぜあの2人が親父の机にある写真立てに映っているのかって…そしたら、じいちゃんはあの2人は異母姉弟だからこれ以上は関わるなって言われてさ?」
*「え?おじい様が?」
J「うん。俺それがすごいショックで飯もろくに喉を通らなかったよ。それから丘に行くことは減ったけど…どうしても苦しいとき…あの丘に行った。それから、ルリと会うことはほとんどなくなってて…俺の心の傷もだいぶ癒えてきて新しい恋でもするかなって思ってたのに…まさかの病気が再発したって聞かされて。あぁ…結局俺の人生ってこんなもんなんだなって思いながらあの丘に行ったら…ルリが泣きながら大きな荷物持って立ってて…もう、めっちゃ焦った。やっぱ好きだわって顔見ただけで思って…どうせ残り少ない人生だし後悔したくないと思ってルリに声かけた。」
*「そうだったんだ…私、最初すごい嫌な感じだったよね…?」
J「いや?可愛かったよ?大人のくせに子供みたいにクルクルと表情変えてさ?その度にあぁ…この人のこと手離したくねぇわ…って思ってた。ルリは俺のこと変なやつだと思ってたでしょ?」
*「うん…チャラって思った。強引だし。」
J「まぁ、家に連れて帰って実際、オサくんのあの顔みたらちょっと我に返ってルリのこと1度解放したんだけどね?実はルリが出て行った後、オサくんにめっちゃキレられたし。」
*「え?そうだったの?」
J「うん…。中途半端な気持ちなら関わるなって。あの人と関わるならそれなりの覚悟を決めろって言われた。それでもう一度、ルリをあの丘に探しに行っていなかったら…もう諦めようと思ってたんだ。なのに普通にいるからさ?もう、連れて帰るしか俺には選択肢は残ってなかったよね?」
ジユは少し笑いながら頭をかく。
*「ありがとう…あの時私を連れて帰ってくれて…………ねぇ、ジユ?これ、みて?」
私はカバンから2枚の写真を取り出した。
J「これって…」
*「こっちが私とトモキ…こっちは分かるよね?オサとジユ…ねぇ…写真の裏…見てみて?」
ジユはその写真を裏返し…
一瞬、目を大きく見開くとその目にまた、涙をユラユラと揺らし始めた。
つづく
*「ジユが弟だって知った時ね…本当に心臓が止まるかと思った。愛しちゃいけない人なのにもう、愛してしまってて…側にいればいるほどもっと深く愛してしまいそうで…もう…気が狂いそうだった。…でも、オサが言ってくれたのよ。ジユの手術が終わるまでは姉弟とかもう、どうでもいいだろって…だから…手術が成功したらちゃんと話してお互いこれからのこと考えればいいって…」
J「オサくんそんな事言ってたんだ…オサくんにもさっき話したらさ…やっぱりな~って言ってた…」
*「オサは知らなかったの…?ジユはいつ知ったの?私達が異母兄弟じゃないってこと…ずっと前から知ってたの?」
J「オサくんは何も知らなかったよ。俺も本当に少し前まではルリと異母姉弟だと思ってた。だけど、どうしてもルリと姉弟だって信じたくなくて…ダメ元でDNA鑑定にだした。ルリがウチにきて指を怪我した事あったでしょ?それを病院に持って行って水族館に行った次の日かな…知ったのは…」
それを聞いて私の胸はドキッと跳ねた…
じゃ…あの愛し合った時にはまだ…
ジユは知らなかったってこと…?
J「あの時は正直…この人が実の姉だったらどうしようって思いながらも夢中で抱いてた…でも…どうしても我慢出来なかったんだ…ごめん… 」
*「ううん…」
J「あの丘で初めてルリを見たのはまだ、8歳の時であの丘には入院がちだった俺を連れてじいちゃんがよく連れて行ってくれたんだ。」
*「うん…」
J「ある日、初めてルリとトモキを見て、親父の机にいつも飾ってあった写真立ての2人だってすぐに分かった。そんな俺をじいちゃんは可哀想に思ってか2人を見つめる俺に写真撮ろって言ってさ?楽しくもねぇのに無理矢理撮ったんだ。その日以来じいちゃんはあの丘には連れて行ってくれなくて、俺はその写真を頼りにオサくんに頼んであの丘に連れて行ってもらうようになったんだ。」
*「実はねジユの幼い頃の話…少しオサから聞いたの…」
ジユは時々、私の手を見つめて何かを確かめるように手を繋ぎ直した。
J「そっか…俺はさルリに会いたくて何度もあの丘に行った。でも、いない事の方が多くて…会えた時は本当にラッキーだった。それから、13歳の時だったかな?親父との関係も冷め切っててあの丘にあるじいちゃんの家に引っ越した日、片付けを終えてあの丘に行ったらルリが1人で月を見上げてたんだ。その姿があまりにも綺麗で儚くて…恋をしてしまった。だから、じいちゃんに聞いたんだ。なぜあの2人が親父の机にある写真立てに映っているのかって…そしたら、じいちゃんはあの2人は異母姉弟だからこれ以上は関わるなって言われてさ?」
*「え?おじい様が?」
J「うん。俺それがすごいショックで飯もろくに喉を通らなかったよ。それから丘に行くことは減ったけど…どうしても苦しいとき…あの丘に行った。それから、ルリと会うことはほとんどなくなってて…俺の心の傷もだいぶ癒えてきて新しい恋でもするかなって思ってたのに…まさかの病気が再発したって聞かされて。あぁ…結局俺の人生ってこんなもんなんだなって思いながらあの丘に行ったら…ルリが泣きながら大きな荷物持って立ってて…もう、めっちゃ焦った。やっぱ好きだわって顔見ただけで思って…どうせ残り少ない人生だし後悔したくないと思ってルリに声かけた。」
*「そうだったんだ…私、最初すごい嫌な感じだったよね…?」
J「いや?可愛かったよ?大人のくせに子供みたいにクルクルと表情変えてさ?その度にあぁ…この人のこと手離したくねぇわ…って思ってた。ルリは俺のこと変なやつだと思ってたでしょ?」
*「うん…チャラって思った。強引だし。」
J「まぁ、家に連れて帰って実際、オサくんのあの顔みたらちょっと我に返ってルリのこと1度解放したんだけどね?実はルリが出て行った後、オサくんにめっちゃキレられたし。」
*「え?そうだったの?」
J「うん…。中途半端な気持ちなら関わるなって。あの人と関わるならそれなりの覚悟を決めろって言われた。それでもう一度、ルリをあの丘に探しに行っていなかったら…もう諦めようと思ってたんだ。なのに普通にいるからさ?もう、連れて帰るしか俺には選択肢は残ってなかったよね?」
ジユは少し笑いながら頭をかく。
*「ありがとう…あの時私を連れて帰ってくれて…………ねぇ、ジユ?これ、みて?」
私はカバンから2枚の写真を取り出した。
J「これって…」
*「こっちが私とトモキ…こっちは分かるよね?オサとジユ…ねぇ…写真の裏…見てみて?」
ジユはその写真を裏返し…
一瞬、目を大きく見開くとその目にまた、涙をユラユラと揺らし始めた。
つづく
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
【R18】エリートビジネスマンの裏の顔
白波瀬 綾音
恋愛
御社のエース、危険人物すぎます───。
私、高瀬緋莉(27)は、思いを寄せていた業界最大手の同業他社勤務のエリート営業マン檜垣瑤太(30)に執着され、軟禁されてしまう。
同じチームの後輩、石橋蓮(25)が異変に気付くが……
この生活に果たして救いはあるのか。
※サムネにAI生成画像を使用しています
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~
taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。
お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥
えっちめシーンの話には♥マークを付けています。
ミックスド★バスの第5弾です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる