愛を知らないキミへ

樺純

文字の大きさ
上 下
4 / 49

第四話

しおりを挟む

ユサの店に入った途端にユサは眉間にシワを寄た。

Y「ここはサボりの来る場所じゃねぇぞ?」

A「はぁ~あ。ねぇ、パンケーキが食べたい。」

私のおねだりの理由に気づいたのかユサははぁ~と大きなため息をつきながらキッチンへと向かった。

ユサを待っている間にスマホを見ると…何年振りだろう?キヒヤからのメールが入っていた。

K「教室の落書きみたけど大丈夫?」

普通に考えて大丈夫なわけない…あんな事書かれて傷つかない人がどこにいるんだろう。

しかも散々私のこと避けておいて、今さら大丈夫とか心配してるような素振り見せないでほしい。

そう思いながらもキヒヤの事がまだ 諦めきれない私はキヒヤに返信してしまう。

A「大丈夫じゃない。私いじめられてるみたい。もう、学校行かない。辞める。」

授業中のはずなのにキヒヤからのメッセージはすぐに返ってきた。

なんなのほんと…もう…私に構わないでよ…

キヒヤも私のこと嫌いだから避けてるんでしょ?そう思いながら私らキヒヤからの返信を見つめる。

K「誰にいじめられてるんだよ?」

はぁ…おそらくあなたの彼女ですよ。

ラノンは私が聞かれた事に対してちゃんと返事をしなかったのが気に入らなかったんでしょうね。

そう分かっているのに私は何故かその事実をキヒヤに言えなかった。

A「もういいから…放っといて。」

私はそうキヒヤにメールを送るとスマホをカバンの中に入れた。

すると、しばらくしてパンケーキを持ったユサが私のところへときて、私の向かい側の椅子に座った。

A「これこれ~!!美味しそう!」

私がフォークとナイフを持ってパンケーキを切ろうとすると、ユサがお皿をパッと自分の方へと引いて私の手元からパンケーキを離した。

思わず私がユサの顔を見るとユサは何故か苦しそうな顔をして私に言った。

Y「泣くか食うかどっちかにしろ。」

そう言われて初めて気づいた…自分が泣いている事に…

ユサは私の隣へと移動し、私の頭を撫でながらグイッと私の頭を自分の胸へと抱き寄せた。

Y「ウチで社員として働くか?」

何もまだ話してないユサからの問いかけに私は思わず顔をあげる。

すると、ユサは私の頬に流れる涙を親指で拭いながら話した。

Y「さっき、アノンが来る前にミネトから連絡あったよ。全部聞いた。嫌なら…学校なんか辞めてもいいんじゃねぇ?アノンが本当に嫌なら学校辞めてウチで働けば?」

A「ユサ…」

Y「俺も夕方だけじゃなく昼間も手伝ってもらえたら助かるし。」

ユサはいつも自分の意見を強要したりしない…いつも私が選びやすいように言葉に余裕を持たせて話してくれる。

A「ユサ…」

Y「うん?」

A「もう一回ぎゅっとして。」

私がそう言うとユサは呆れたように笑いながらぎゅっーっと強く抱きしめ髪を撫でてくれた。

その体温は本当に温かくて…

私の傷ついた心を包み込むように癒してくれた。

つづく
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】愛も信頼も壊れて消えた

miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」 王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。 無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。 だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。 婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。 私は彼の事が好きだった。 優しい人だと思っていた。 だけど───。 彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。 ※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。 因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。 そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。 彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。 晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。 それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。 幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。 二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。 カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。 こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。

【完結】婚約者に忘れられていた私

稲垣桜
恋愛
「やっぱり帰ってきてた」  「そのようだね。あれが問題の彼女?アシュリーの方が綺麗なのにな」  私は夜会の会場で、間違うことなく自身の婚約者が、栗毛の令嬢を愛しそうな瞳で見つめながら腰を抱き寄せて、それはそれは親しそうに見つめ合ってダンスをする姿を視線の先にとらえていた。  エスコートを申し出てくれた令息は私の横に立って、そんな冗談を口にしながら二人に視線を向けていた。  ここはベイモント侯爵家の夜会の会場。  私はとある方から国境の騎士団に所属している婚約者が『もう二か月前に帰ってきてる』という話を聞いて、ちょっとは驚いたけど「やっぱりか」と思った。  あれだけ出し続けた手紙の返事がないんだもん。そう思っても仕方ないよでしょ?    まあ、帰ってきているのはいいけど、女も一緒?  誰?  あれ?  せめて婚約者の私に『もうすぐ戻れる』とか、『もう帰ってきた』の一言ぐらいあってもいいんじゃない?  もうあなたなんてポイよポイッ。  ※ゆる~い設定です。  ※ご都合主義です。そんなものかと思ってください。  ※視点が一話一話変わる場面もあります。

もういいです、離婚しましょう。

杉本凪咲
恋愛
愛する夫は、私ではない女性を抱いていた。 どうやら二人は半年前から関係を結んでいるらしい。 夫に愛想が尽きた私は離婚を告げる。

公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-

猫まんじゅう
恋愛
 そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。  無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。  筈だったのです······が? ◆◇◆  「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」  拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?  「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」  溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない? ◆◇◆ 安心保障のR15設定。 描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。 ゆるゆる設定のコメディ要素あり。 つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。 ※妊娠に関する内容を含みます。 【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】 こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)

懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。

梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。 あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。 その時までは。 どうか、幸せになってね。 愛しい人。 さようなら。

【完結】もう辛い片想いは卒業して結婚相手を探そうと思います

ユユ
恋愛
大家族で大富豪の伯爵家に産まれた令嬢には 好きな人がいた。 彼からすれば誰にでも向ける微笑みだったが 令嬢はそれで恋に落ちてしまった。 だけど彼は私を利用するだけで 振り向いてはくれない。 ある日、薬の過剰摂取をして 彼から離れようとした令嬢の話。 * 完結保証付き * 3万文字未満 * 暇つぶしにご利用下さい

【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。

文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。 父王に一番愛される姫。 ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。 優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。 しかし、彼は居なくなった。 聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。 そして、二年後。 レティシアナは、大国の王の妻となっていた。 ※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。 小説家になろうにも投稿しています。 エールありがとうございます!

処理中です...