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44話

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ジュンサクサイド


あの日から


俺は毎日、自分の部屋の窓を開けてテイヤくんに呼びかけた。


J「テイヤくん…お願い…開けて…」


しかし、その俺の声は虚しく消えていき目の前にあるテイヤくんの部屋の窓が開くことはなかった。


そんな俺を見かねたマモルさんが家に上がらせてくれて、テイヤくんの部屋の前まで連れてきてくれた。


M「近所の目もあるし…テイヤに話しかけたいなら今日からはここにしろ…両親もジュンサクのことはもう知ってるから。」

J「すいません…」


俺は震える声でマモルさんにそう言うと俺は扉越しにテイヤくんに話しかけた。


J「テイヤくん…俺だよ…ジュンサク。ご飯…ちゃんと食べてる?ちゃんと…眠れてる?テイヤくん、俺……テイヤくんに会いたいよ…」


そんなことを口にすれば涙が溢れてきて、ポロポロと涙を流しながらテイヤくんに話しかけても、テイヤくんは扉を開けてくれる事はなくあの愛しい声すらも聞かせてくれない。


そんな日々がつづき…


毎日毎日…


俺は扉に向かってひとりで話した。


そんな俺はきっと周りから見れば滑稽で扉に手を当て、テイヤくゆの温もりを扉越しに感じようとするが…


ただ、冷たくてさらに俺の心を震えさせた。


そんな日々を2週間ほど続けた俺とテイヤくん。


今日もテイヤくんに声をかけるために扉の前に立つ。


J「テイヤくん…今日二学期の始業式だから行ってくるね…」


返事のない扉の向こう側にそう話しかけ、俺はテイヤくんのご両親に頭を下げマモルさんと一緒に家を出た。


マモルさんはあの日、俺の家を出たその足で加害者の家に殴り込みに行ったらしい。


向こうも暴行をされたから被害届を出すと脅してきたそうだが、マモルさんはそうすればお宅の息子さんの悪事が全てバレるだけの話だから好きにすればいいと言って出て行ったそうだ。


それ以来、マモルさんからその話は出てないが…


マモルさんはもう安心しろそれだけ俺に伝えてきた。


それに変わり俺は自分の気持ちを整理するのにいっぱいいっぱいで…


マモルさんのようにテイヤくんのために何一つしてあげれなかった事を後になって悔やんだ。


そして、そいつらはマモルさんと事情を知ったセイジ先生の圧力により、二学期から他の高校に転校する事になったと風の噂で聞かされた。


俺はあの日から何度も起きた出来事を思い出しては、テイヤくんと喧嘩して一人で帰らせたことを後悔し続けた。


あんなに俺に厳しかったマモルさんはあの日から俺を励ましてくれるようになり…


テイヤくんの様子を詳しく教えてくれるようになった。


俺はそんな事でしか繋がっていられないテイヤくゆとの関係がさらにもどかしくて…


自分の部屋の窓からもう開くことのなくなったテイヤくんの部屋の窓をじっと見つめたりもした。

つづく
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