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38話

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ジュンサクサイド

俺は勉強は大の苦手だが、こういう何かを作ると言うことは昔から好きで作り始めると夢中になる。


すると、イズミ先生が寂しそうな声で言った。


I「私はテイヤが羨ましいな…こんなにジュンサクくんにもセイジ先生にも愛されて…」


その目はいつもの明るく強いイズミ先生の目ではなく、どこか悲しく弱々しい瞳をしていた。


J「俺はまぁ…テイヤくんを愛してること否定しませんけど?セイジ先生のテイヤくんへの愛は…また違うと思いますよ?」

I「え?」

J「セイジ先生は悪い男ですね…イズミ先生のことをこんなにも不安にさせるなんて。やめといた方がいいですよ?あんな男…だって俺の特別補習で…」


俺がコソコソとイズミ先生に話しているといきなり天から大きなゲンコツが降ってきた。


J「痛てぇ!!」

S「お前はイズミ先生になに余計なことを吹き込んでるんだ!!」

J「別に吹き込んでませんよ。セイジ先生は悪い男だから気をつけてくださいねって話してただけです。ねぇ~イズミ先生!」


テイヤくんとばかり仲良くスノードームを作っていたセイジ先生に対して、拗ねているイズミ先生はプッと頬を膨らませてセイジ先生とは目を合わせようとしない。


そんなイズミ先生が先生ではなく子供みたいで可愛くてつい、俺は笑ってしまう。


すると、テイヤくんが作ったスノードームを持って俺の横に座った。


T「えなになに!?なんでイズミが拗ねてんの!!」

I「別に拗ねてないもん!!!!」

T「拗ねてんじゃんね?」

J「ヤキモチですよヤキモチ。」

I「もう、ジュンサクくんのおバカ!なんでそんなこと言うのよ!!」

J「素直にセイジ先生に言ったらいいじゃないですか?テイヤくんとばっかり仲良くして私のこと放置プレイするから拗ねてるの!!って。」


イズミ先生の代わりに俺がそう言うと、先生は真っ赤に顔を染めた。


I「拗ねてなんかないもん!!別に気にしてないもん!!ソジュン先生がテヒョンイのこと可愛がってるのは前から知ってたもん!!私のことなんて何とも思ってないって知ってたから別にどうでもいいもん!!」


そう言ってイズミ先生が勢いよく立ち上がり出て行こうとすると…


S「嘘つくなよ…」


セイジ先生が低い声でそう言って、難しい顔でイズミ先生の手首をギュッと掴み、俺たちはそのドラマのようなワンシーンを見せつけられて思わず目を合わせた。


テイヤくんはセイジ先生とイズミ先生のやり取りを見て、ウホウホと嬉しそうな声をあげて俺に後ろからしがみ付く。


S「どうでもいいなんて嘘つくなって言ってんだよ…ってか、妬けよ。今までまでみたいになんで私のこと見てくれないのって言えよ…なんで私じゃダメなのってもう言わないんだよ…前までずっとそう言って俺に何ヶ月もくっ付いてたくせに…なんでジュンサクが入学してから急に全然、言わなくなるんだよ…そっちだってジュンサクのこと生徒なのに特別な目で見てんじゃないの?ジュンサクのために作り置きのおかずとか作ってきてさ……」


内心…え?俺のせい!?と焦りながら俺は2人の会話に耳を傾けるが、正直…テイヤくんの件とイズミ先生の件でセイジ先生からの当たりがキツかったんだな…と今更ながらに俺は納得した。


I「だってそれはセイジ先生が私のこと好きじゃないって分かってるから…片思いでも一緒にいるだけでいいって思ってるから…困らせたくなくて…もう何も言わなくなっただけで…ってか、ジュンサクは関係ないし!!教え子よ!?作り置きのおかずだってジュンサクにじゃなくてセイジ先生にって私は言ったじゃん!!」

S「言ったけど…不安になるじゃん。あんな事されたら…本当はジュンサクのために作ってきたのかなって…前みたいに俺こともっと困らせろよ…一生好きって言って俺にくっ付いて困らせろよ…。ジュンサクのことタイプとか可愛いとか言ってんじゃねぇよ…なに俺以外の男と楽しそうにスノードーム作ってんだよ…ムカツク。」


セイジ先生はまるで子供みたいな事を言って自分の手に持ったスノードームをイズミ先生に強引に渡した。


イズミ先生は困惑しながらも恐る恐るそのスノードームを見ると突然…涙をポロポロと流し出した。


そして、後ろにいるテイヤくんはなぜが嬉しそうにニヤニヤしている。


S「イズミ先生は俺のことよく知ってるかもしれないけど俺はまだ、イズミ先生のこと何も知らないからテイヤにイズミ先生の好みとか…どんな雰囲気が好きかとか…色々聞いて作ったんだよ……俺…イズミ先生のこと…好きになっちゃったから…」


俺はセイジ先生の口から出た好きという言葉にギョッとなり仰反ると、テイヤくんは楽しそうに口パクできゃーと言って笑っている。


なのに目の前のイズミ先生は泣きじゃくっていてセイジ先生の告白に気づかない。


そんな先生2人の姿がなんだか二度目の青春って感じで、大人になってもあんな風に過ごせたらいいなって思いながら俺は2人を見守っていた。


S「ねぇ…聞いてる?俺…告白したんだけど…泣いてないでさ…なんか答えろよ…悲しいじゃん…」


セイジ先生はそんなことを言いながらも、もうすでにイズミ先生の頬に流れる涙を親指で拭い頬を撫でると、イズミ先生は我にかえりハッとする。


I「今…な…なんて…?」

S「聞いてないのかよ。だから! 俺も好きって言ったの。ずっと俺に惚れてんなこの人って思ってたら…気付いたら俺まで惚れちゃった。だからさ…俺の彼女になる?」


セイジ先生の言葉にテイヤくんの力が強くなり、俺をギューっと抱きしめて謎に頬ずりをしてくるから、俺は興奮しているテイヤくんが落ち着くように手をポンポンと叩たいて宥めた。


つづく
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