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「僕と恋人と桜」
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エニシサイド
心地よい風が僕らを包み始めた頃
H「エニシ~お花見行きたい!!」
僕の可愛い恋人のそんな可愛いリクエストにより僕たちは今…
H「うわぁ~綺麗~」
桜の木の下でライトアップをされた夜桜のお花見をしている。
普通なら人混みのなか夜桜を見るのが一般的なはずだが、僕たちがこうして気兼ねなく夜桜を見られているのは、たまたま僕の仕事関係で行った庭園に大きな桜の木が植えてあったのがきっかけだ。
本来、そこは毎年桜が咲く頃には庭園を開放して沢山の人が出入りし夜遅くまでライトアップをしている。
しかし、今年は建物の建て替えにより庭園の開放するのを中止したらしい。
そこで僕は庭園を経営するご主人に頼んだんだ。
E「勝手なことを言って申し訳ないのですが…1日だけ…いや、夜だけでいいんで貸し切りにさせて頂けませんか?料金はいくらでも支払います。」
ダメ元で頼んだ僕の厚かましいお願いをご主人は快く受け入れてくれ、僕と恋人の2人っきりの夜桜お花見デートは実現した。
E「ここだと誰かの目も気にしなくていいし…ここの屋敷も庭園もぜーんぶ今日は僕たちだけのもの!!」
H「マジ…すげ…エニシ…いつもはドケチなのに…」
E「ヒュウの為ならお金なんて惜しくないよ?ってか、ドケチってヒドwあれは節約ね節約!」
僕はそう言って恋人の肩を抱く。
風に揺れ舞う花びらが僕の可愛い恋人の柔らかい髪に飾りを付けると、あまりにも愛おしくてそっと恋人の髪にキスを落とした。
E「寒くない?」
H「寒くないよ?」
E「僕は寒い。」
本当は寒くなんてないのに恋人に触れたくてわざと大きめの上着を着てきた僕は上着を広げて恋人を僕の上着の中に閉じ込める。
H「んふふふ…エニシあったかい…」
僕に包まれた恋人は幸せそうな顔をして夜桜を見上げた。
H「僕ね………本当は桜見るのあんまり好きじゃなかったんだ…」
僕の恋人はあの綺麗な瞳でゆらゆらと揺れる桜の花びらを見つめながら言った。
E「え?そうなの?じゃ…なんで花見したいなんて言ったの。」
H「うん…エニシとなら…見たいなって思ったから…。」
E「え?」
僕が不思議そうに恋人の顔を見ると、僕の恋人は微笑みながら桜から俺に視線を戻し、僕の目にかかる前髪を指先で撫でた。
H「桜ってさ…すごく綺麗で華やかで…柔らかな風に吹かれて花びらを散らすたびに…その姿すら美しいって褒め称えられて…こんなにも人々を虜にするじゃん…?なのに花がない時は誰も見向きもしなくて素通りで…なんだか桜の木そのものが……人の人生みたいだなっと思って…」
E「まぁ…言われてみれば…そうだね…」
H「少し怖かったんだ…」
E「え?」
H「桜の花が綺麗すぎて僕は少しだけ怖かった…僕たちも若い時期がすぎて花だと言われる日がすぎたから、いつか、花のない桜の木のように誰からも見向きもされない日が来るのかなと思って…」
E「なになに?僕がいるのにまだ他の人にモテたい?」
H「そうじゃなくて~仕事とかもさ花盛りの若さが強みになることあるじゃん?」
E「ん~まぁ、モデルっていう職業のヒュウは特にそう感じるかもしれないね。」
今まで僕自身が彼のそばにいて少し不安に感じてるのかな?と思っていたことだ。
僕の恋人はモデルとして活躍し、今では沢山の仕事を抱えている。
そんな僕の恋人が少し前にこんな事をボソッと言っていた。
いつかモデル・ヒュウが今みたいに輝く場所に存在する事が難しくなった時…
何人の人たちがモデル・ヒュウを想い見つめてファンでいてくれるのだろうかと。
僕の恋人はいつもポワポワしていて、何も考えてないように見えてものすごく考えている。
そして、その繊細な心で見えない所に傷を付けながら、誰かに優しく寄り添う方法をいつも探してるんだ。
H「でもね?僕が生きてる中であと何回、この桜の花を見れるんだろうって考えたんだ。美しくて…儚くて…彩りあるこの桜を…。そしたら、ちゃんとこの目に桜の花を焼き付けておかなきゃと思って…ひとりで見るのは怖くても…エニシとなら大丈夫な気がしたから。」
僕の恋人は肩をすくめてニコッと笑うと僕の肩に頭を預けた。
E「今も…まだ少し怖い?」
僕が恋人の肩をトントンと優しく叩きながら言うと、僕の恋人は僕の腰に手を回す。
H「うん…怖い…でもまた来年も会いたい…この桜の木に…」
E「そうだね。来年も再来年も…おじいちゃんになるまで一緒に会いに来よう…この桜の木に…」
H「約束のキス…して。」
そして、僕は可愛いおねだりをする僕の恋人の桜色の唇にそっとキスを落とした。
おわり
心地よい風が僕らを包み始めた頃
H「エニシ~お花見行きたい!!」
僕の可愛い恋人のそんな可愛いリクエストにより僕たちは今…
H「うわぁ~綺麗~」
桜の木の下でライトアップをされた夜桜のお花見をしている。
普通なら人混みのなか夜桜を見るのが一般的なはずだが、僕たちがこうして気兼ねなく夜桜を見られているのは、たまたま僕の仕事関係で行った庭園に大きな桜の木が植えてあったのがきっかけだ。
本来、そこは毎年桜が咲く頃には庭園を開放して沢山の人が出入りし夜遅くまでライトアップをしている。
しかし、今年は建物の建て替えにより庭園の開放するのを中止したらしい。
そこで僕は庭園を経営するご主人に頼んだんだ。
E「勝手なことを言って申し訳ないのですが…1日だけ…いや、夜だけでいいんで貸し切りにさせて頂けませんか?料金はいくらでも支払います。」
ダメ元で頼んだ僕の厚かましいお願いをご主人は快く受け入れてくれ、僕と恋人の2人っきりの夜桜お花見デートは実現した。
E「ここだと誰かの目も気にしなくていいし…ここの屋敷も庭園もぜーんぶ今日は僕たちだけのもの!!」
H「マジ…すげ…エニシ…いつもはドケチなのに…」
E「ヒュウの為ならお金なんて惜しくないよ?ってか、ドケチってヒドwあれは節約ね節約!」
僕はそう言って恋人の肩を抱く。
風に揺れ舞う花びらが僕の可愛い恋人の柔らかい髪に飾りを付けると、あまりにも愛おしくてそっと恋人の髪にキスを落とした。
E「寒くない?」
H「寒くないよ?」
E「僕は寒い。」
本当は寒くなんてないのに恋人に触れたくてわざと大きめの上着を着てきた僕は上着を広げて恋人を僕の上着の中に閉じ込める。
H「んふふふ…エニシあったかい…」
僕に包まれた恋人は幸せそうな顔をして夜桜を見上げた。
H「僕ね………本当は桜見るのあんまり好きじゃなかったんだ…」
僕の恋人はあの綺麗な瞳でゆらゆらと揺れる桜の花びらを見つめながら言った。
E「え?そうなの?じゃ…なんで花見したいなんて言ったの。」
H「うん…エニシとなら…見たいなって思ったから…。」
E「え?」
僕が不思議そうに恋人の顔を見ると、僕の恋人は微笑みながら桜から俺に視線を戻し、僕の目にかかる前髪を指先で撫でた。
H「桜ってさ…すごく綺麗で華やかで…柔らかな風に吹かれて花びらを散らすたびに…その姿すら美しいって褒め称えられて…こんなにも人々を虜にするじゃん…?なのに花がない時は誰も見向きもしなくて素通りで…なんだか桜の木そのものが……人の人生みたいだなっと思って…」
E「まぁ…言われてみれば…そうだね…」
H「少し怖かったんだ…」
E「え?」
H「桜の花が綺麗すぎて僕は少しだけ怖かった…僕たちも若い時期がすぎて花だと言われる日がすぎたから、いつか、花のない桜の木のように誰からも見向きもされない日が来るのかなと思って…」
E「なになに?僕がいるのにまだ他の人にモテたい?」
H「そうじゃなくて~仕事とかもさ花盛りの若さが強みになることあるじゃん?」
E「ん~まぁ、モデルっていう職業のヒュウは特にそう感じるかもしれないね。」
今まで僕自身が彼のそばにいて少し不安に感じてるのかな?と思っていたことだ。
僕の恋人はモデルとして活躍し、今では沢山の仕事を抱えている。
そんな僕の恋人が少し前にこんな事をボソッと言っていた。
いつかモデル・ヒュウが今みたいに輝く場所に存在する事が難しくなった時…
何人の人たちがモデル・ヒュウを想い見つめてファンでいてくれるのだろうかと。
僕の恋人はいつもポワポワしていて、何も考えてないように見えてものすごく考えている。
そして、その繊細な心で見えない所に傷を付けながら、誰かに優しく寄り添う方法をいつも探してるんだ。
H「でもね?僕が生きてる中であと何回、この桜の花を見れるんだろうって考えたんだ。美しくて…儚くて…彩りあるこの桜を…。そしたら、ちゃんとこの目に桜の花を焼き付けておかなきゃと思って…ひとりで見るのは怖くても…エニシとなら大丈夫な気がしたから。」
僕の恋人は肩をすくめてニコッと笑うと僕の肩に頭を預けた。
E「今も…まだ少し怖い?」
僕が恋人の肩をトントンと優しく叩きながら言うと、僕の恋人は僕の腰に手を回す。
H「うん…怖い…でもまた来年も会いたい…この桜の木に…」
E「そうだね。来年も再来年も…おじいちゃんになるまで一緒に会いに来よう…この桜の木に…」
H「約束のキス…して。」
そして、僕は可愛いおねだりをする僕の恋人の桜色の唇にそっとキスを落とした。
おわり
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