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23話
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ジョウside
ウチの店は俺がNo.1になってから、クリスマスイヴにイベントをしクリスマスには店を閉めてホスト達の体を休めさせ、その後にくる年末の忙しさを乗り越える…というシステムになった。
それはオーナーであるナルキさんと話し合いスタッフの健康第一を1番に考え、金稼ぎよりもホスト達の身体を優先にすることでより質のいい接客が出来るのではという俺の提案をナルキさんが認めてくれたから。
そのため煌びやかな世界で人に囲まれて過ごす俺は毎年クリスマスだというのにひとりぼっちで過ごす。
昨日のイヴはトラウマを忘れてトモさんと心穏やかに過ごせると思っていたのに結局、トモさんに振られてしまった俺は毎年、襲いかかる不安感と向き合いながら一睡もできないまま過ごしクリスマスを迎えた。
カヲルさんとはクリスマスパーティーにお邪魔すると約束したが、トモさんに振られた俺がトモさんの働くカヲルさんのお店に行けるはずがなく結局、今年のクリスマスもひとりぼっち。
しかし、ふとした瞬間に思い出すのはトモさんとの甘いキス。
あの時のトモさんは間違いなく俺に好意があった……
ような気がした…
俺のことを拒む素振りすら見せなかったし、トモさん自身だって俺の身体を撫でくれていたから。
俺はあのキスの味を思い出し思わずソコの芯が疼き身震いする。
J「あんなにもしっくりきたキス初めてだったのにな…」
そう思いながら恋人達が手を繋ぎ華やいでいる街を一人寂しくポツポツと歩いていると、偶然、見慣れた後ろ姿を見つけ俺は小走りで近寄る。
J「ナルキさん。こんなとこで何やってるんですか?」
N「おぅ!ジョウ~1人で寂しいから街にいるカップルみて潤ってんの。」
J「余計に寂しいじゃんw」
N「うるせぇ。」
J「よかったら一緒に飲みに行きません?」
N「おぉ~いいね~」
ナルキさんとそう話しながら歩いていると、たまたまショーウィンドウに飾られてあったスノードームが俺の目に止まった。
そのスノードームは白いクマが2匹、雪の中で寄り添っていて1つの赤いマフラーを分け合って巻いている。
あまりの可愛さから俺は自然とその店に吸い込まれそのスノードームを手に取る。
するとナルキはんがすかさず俺の横に来て言った。
N「誰かにクリスマスプレゼントか?」
と…
クリスマスプレゼントなんてあげる相手もいないし、むしろ俺は失恋したばかりでそれをナルキさんにバレたくない俺は見栄を張り答える。
J「はい……。」
それがまた虚しさを増させるのに、勢いのまま店員にスノードームを渡すと、店員はスノードームがクリスマスプレゼントだなんてロマンティックですね。なんて言って微笑み、ナルキさんはキザな男だよな?って笑っているから俺は苦笑いしか出てこなかった。
会計を済ましスノードームをラッピングされている間、ナルキさんは珍しくキャンドルを買っていて、俺は店内を見渡しながら誰からも連絡なんて来ていないのに来たフリをしてインスタを開く。
するとそこには俺の番犬であるププが嬉しそうにとても綺麗な整った顔をした男性とツーショットを撮っていて、思わず俺の手が止まった。
こ…これは…まさか…トモさんの素顔!!!?
俺はその写真を見て何故かトモさんだということが一瞬でわかった。
俺はまだ生で素顔のトモさんを見ていないというのに…俺よりも先に素顔のトモさんと会いやがって…
J「あいつ……」
可愛らしくラッピングされたスノードームを受け取ると、怒り心頭な俺はナルキさんを道連れにその勢いのままカヲルさんの店へと向かう。
ププめ…俺より先にトモさんとツーショットを撮るなんて…おぼえておけ…
俺はそう鼻息を荒げていたがナルキさんはなんだよ!?今日は聖なる夜だから抗争はお休みだぞ!?なんて横で言いながらふざけて笑っていた。
つづく
ウチの店は俺がNo.1になってから、クリスマスイヴにイベントをしクリスマスには店を閉めてホスト達の体を休めさせ、その後にくる年末の忙しさを乗り越える…というシステムになった。
それはオーナーであるナルキさんと話し合いスタッフの健康第一を1番に考え、金稼ぎよりもホスト達の身体を優先にすることでより質のいい接客が出来るのではという俺の提案をナルキさんが認めてくれたから。
そのため煌びやかな世界で人に囲まれて過ごす俺は毎年クリスマスだというのにひとりぼっちで過ごす。
昨日のイヴはトラウマを忘れてトモさんと心穏やかに過ごせると思っていたのに結局、トモさんに振られてしまった俺は毎年、襲いかかる不安感と向き合いながら一睡もできないまま過ごしクリスマスを迎えた。
カヲルさんとはクリスマスパーティーにお邪魔すると約束したが、トモさんに振られた俺がトモさんの働くカヲルさんのお店に行けるはずがなく結局、今年のクリスマスもひとりぼっち。
しかし、ふとした瞬間に思い出すのはトモさんとの甘いキス。
あの時のトモさんは間違いなく俺に好意があった……
ような気がした…
俺のことを拒む素振りすら見せなかったし、トモさん自身だって俺の身体を撫でくれていたから。
俺はあのキスの味を思い出し思わずソコの芯が疼き身震いする。
J「あんなにもしっくりきたキス初めてだったのにな…」
そう思いながら恋人達が手を繋ぎ華やいでいる街を一人寂しくポツポツと歩いていると、偶然、見慣れた後ろ姿を見つけ俺は小走りで近寄る。
J「ナルキさん。こんなとこで何やってるんですか?」
N「おぅ!ジョウ~1人で寂しいから街にいるカップルみて潤ってんの。」
J「余計に寂しいじゃんw」
N「うるせぇ。」
J「よかったら一緒に飲みに行きません?」
N「おぉ~いいね~」
ナルキさんとそう話しながら歩いていると、たまたまショーウィンドウに飾られてあったスノードームが俺の目に止まった。
そのスノードームは白いクマが2匹、雪の中で寄り添っていて1つの赤いマフラーを分け合って巻いている。
あまりの可愛さから俺は自然とその店に吸い込まれそのスノードームを手に取る。
するとナルキはんがすかさず俺の横に来て言った。
N「誰かにクリスマスプレゼントか?」
と…
クリスマスプレゼントなんてあげる相手もいないし、むしろ俺は失恋したばかりでそれをナルキさんにバレたくない俺は見栄を張り答える。
J「はい……。」
それがまた虚しさを増させるのに、勢いのまま店員にスノードームを渡すと、店員はスノードームがクリスマスプレゼントだなんてロマンティックですね。なんて言って微笑み、ナルキさんはキザな男だよな?って笑っているから俺は苦笑いしか出てこなかった。
会計を済ましスノードームをラッピングされている間、ナルキさんは珍しくキャンドルを買っていて、俺は店内を見渡しながら誰からも連絡なんて来ていないのに来たフリをしてインスタを開く。
するとそこには俺の番犬であるププが嬉しそうにとても綺麗な整った顔をした男性とツーショットを撮っていて、思わず俺の手が止まった。
こ…これは…まさか…トモさんの素顔!!!?
俺はその写真を見て何故かトモさんだということが一瞬でわかった。
俺はまだ生で素顔のトモさんを見ていないというのに…俺よりも先に素顔のトモさんと会いやがって…
J「あいつ……」
可愛らしくラッピングされたスノードームを受け取ると、怒り心頭な俺はナルキさんを道連れにその勢いのままカヲルさんの店へと向かう。
ププめ…俺より先にトモさんとツーショットを撮るなんて…おぼえておけ…
俺はそう鼻息を荒げていたがナルキさんはなんだよ!?今日は聖なる夜だから抗争はお休みだぞ!?なんて横で言いながらふざけて笑っていた。
つづく
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