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8話
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ジョウside
俺はナルキさんの背中を追うように後をついていくと、ナルキさんは何者かも分からない俺を自分の車に乗せた。
横に座るナルキさんからはとてつもないオーラが漂い、当時の俺はそれだけで息がとまってしまいそうだった。
額に汗を滲ませゴクリと唾を飲み込む。
すると、ゆっくりと車が停車し俺が降りると、そこは高級ホストクラブが並ぶ煌びやかな夜の街だった。
なぜ俺がこんな所に連れてこられたんだろ…?
そう首を傾げながら俺の前を歩くナルキさんの後ろをついて行くとナルキさんは高級感漂うビルの中に入る。
エレベーターに乗り込みなんとも言えない緊張感の中、チン♪と音をさせてエレベーターの扉が開くと俺は思わず息を飲んだ。
J「…すげぇ…」
俺がそう呟くとナルキさんはクスッと笑う。
N「ここは俺のオアシス…いや、正しくはお客様の心を癒すオアシスだね?」
そう言って手を広げるナルキさんの後ろには黄金に輝く螺旋階段とシャンデリアがあり、真ん中には噴水のようなモニュメントが色とりどりのLEDライトで光っている。
奥にはグランドピアノと高そうなソファが沢山並んでいて俺は開いた口が塞がらない。
N「キミ…ここで働いてみない?顔もスタイルもいいし…命を守ってあげる代わりにここで化けてみない?女も男も虜にするホストクラブ…MOONの一員として。」
そう言ったナルキさんの目を俺は今でも忘れられない。
その当時の俺には選択肢なんてなくて、変な奴らにカモられ命を狙われてしまう事になってしまった結果、この先の人生を追われて暮らすか…はたまたここでホストとしてナルキさんに守られながら暮らすかの2択だった。
そんな究極の選択のなか俺はナルキさんに付く事を選び、ホストクラブMOONでホストとして働くことになった。
次の日
俺はクリスマスという聖なる夜にホストデビューする事となった。
黒髪のどんぐり頭でヨレヨレの服にぼろぼろのスニーカーを履いていた俺にナルキさんは迷う事なく高級なスーツと靴を買い、スタジオのような綺麗な美容サロンで、俺のカットとカラーをスタイリストにお任せし、その間ナルキさんは俺を見つめながら優雅に後ろでお紅茶を飲んでいた。
N「俺の目に狂いはなかったね。」
ナルキさんが買ってくれた高級スーツに袖を通し、履き慣れない高級靴を履いて眉を整えられ、綺麗にカラーカットされた俺は鏡に写る自身の姿を見て言葉を失った。
そこに映るのは俺ではなくまるで別人だったから。
N「んふふw人はみんな磨けば光る。ただ、磨き方を知ってるか知らないかの違いだよ。まぁ、キミの場合は石ころがダイアモンドに化けたほどのクオリティだけどね?」
そう言って笑うナルキさんは昨日、あの倉庫で会った時の印象とは全く違い、どこか温かく親しみやすい雰囲気だった。
そうしてクリスマスにホストデビューを果たした俺は夢中でMOONのホストになろうと働いた。
ナルキさんが経営するMOONは他のホストクラブとはひと味違う。
そう…このホストクラブでは女性はもちろんだが男性も楽しむことができ、もちろん中性や無性の人たちも楽しむ事ができる。
それはここにいるホストたちのプロ意識が高く、性別に囚われる事なく全ての人間に愛を捧ぐという事をテーマにしているからで、どの性別からも愛されることからとても人気が高く繁盛店だ。
そんな中、ホスト見習いとして入った俺は右も左も分からないなかただ、必死で働いた。
中には嫌がらせをしてくる連中もいたけど、俺はそんなの気にしてる暇もなかった。
何故なら、働いていくうちにここで不動のNo.1として働いていたフウマさんというホストに憧れをもったから。
ホストだというのに腰が低く優しくて穏やかでオシャレでセンスがいい。
細かい所まで気が利いて繊細さを持ち、常に明るい笑顔のフウマさんがマジギレした時にだけ見せるあの鬼のような目を見た時、俺は同じ男なのにゾクゾクとした。
俺みたいな下っ端は声をかけることすら恐れ多くて出来なかったけど、フウマさんはいつも目が合うとお疲れ様。そう言って微笑んでくれるだけで男の俺でも心が躍った。
どうせ使い物にならなくなるまでこの世界で生きていかないといけないのなら、フウマさんのようになりたい。
そう俺はフウマさんを見て憧れ、それを実現するかのように人見知りで愛嬌のない俺が必死で努力をして研究した。
つづく
俺はナルキさんの背中を追うように後をついていくと、ナルキさんは何者かも分からない俺を自分の車に乗せた。
横に座るナルキさんからはとてつもないオーラが漂い、当時の俺はそれだけで息がとまってしまいそうだった。
額に汗を滲ませゴクリと唾を飲み込む。
すると、ゆっくりと車が停車し俺が降りると、そこは高級ホストクラブが並ぶ煌びやかな夜の街だった。
なぜ俺がこんな所に連れてこられたんだろ…?
そう首を傾げながら俺の前を歩くナルキさんの後ろをついて行くとナルキさんは高級感漂うビルの中に入る。
エレベーターに乗り込みなんとも言えない緊張感の中、チン♪と音をさせてエレベーターの扉が開くと俺は思わず息を飲んだ。
J「…すげぇ…」
俺がそう呟くとナルキさんはクスッと笑う。
N「ここは俺のオアシス…いや、正しくはお客様の心を癒すオアシスだね?」
そう言って手を広げるナルキさんの後ろには黄金に輝く螺旋階段とシャンデリアがあり、真ん中には噴水のようなモニュメントが色とりどりのLEDライトで光っている。
奥にはグランドピアノと高そうなソファが沢山並んでいて俺は開いた口が塞がらない。
N「キミ…ここで働いてみない?顔もスタイルもいいし…命を守ってあげる代わりにここで化けてみない?女も男も虜にするホストクラブ…MOONの一員として。」
そう言ったナルキさんの目を俺は今でも忘れられない。
その当時の俺には選択肢なんてなくて、変な奴らにカモられ命を狙われてしまう事になってしまった結果、この先の人生を追われて暮らすか…はたまたここでホストとしてナルキさんに守られながら暮らすかの2択だった。
そんな究極の選択のなか俺はナルキさんに付く事を選び、ホストクラブMOONでホストとして働くことになった。
次の日
俺はクリスマスという聖なる夜にホストデビューする事となった。
黒髪のどんぐり頭でヨレヨレの服にぼろぼろのスニーカーを履いていた俺にナルキさんは迷う事なく高級なスーツと靴を買い、スタジオのような綺麗な美容サロンで、俺のカットとカラーをスタイリストにお任せし、その間ナルキさんは俺を見つめながら優雅に後ろでお紅茶を飲んでいた。
N「俺の目に狂いはなかったね。」
ナルキさんが買ってくれた高級スーツに袖を通し、履き慣れない高級靴を履いて眉を整えられ、綺麗にカラーカットされた俺は鏡に写る自身の姿を見て言葉を失った。
そこに映るのは俺ではなくまるで別人だったから。
N「んふふw人はみんな磨けば光る。ただ、磨き方を知ってるか知らないかの違いだよ。まぁ、キミの場合は石ころがダイアモンドに化けたほどのクオリティだけどね?」
そう言って笑うナルキさんは昨日、あの倉庫で会った時の印象とは全く違い、どこか温かく親しみやすい雰囲気だった。
そうしてクリスマスにホストデビューを果たした俺は夢中でMOONのホストになろうと働いた。
ナルキさんが経営するMOONは他のホストクラブとはひと味違う。
そう…このホストクラブでは女性はもちろんだが男性も楽しむことができ、もちろん中性や無性の人たちも楽しむ事ができる。
それはここにいるホストたちのプロ意識が高く、性別に囚われる事なく全ての人間に愛を捧ぐという事をテーマにしているからで、どの性別からも愛されることからとても人気が高く繁盛店だ。
そんな中、ホスト見習いとして入った俺は右も左も分からないなかただ、必死で働いた。
中には嫌がらせをしてくる連中もいたけど、俺はそんなの気にしてる暇もなかった。
何故なら、働いていくうちにここで不動のNo.1として働いていたフウマさんというホストに憧れをもったから。
ホストだというのに腰が低く優しくて穏やかでオシャレでセンスがいい。
細かい所まで気が利いて繊細さを持ち、常に明るい笑顔のフウマさんがマジギレした時にだけ見せるあの鬼のような目を見た時、俺は同じ男なのにゾクゾクとした。
俺みたいな下っ端は声をかけることすら恐れ多くて出来なかったけど、フウマさんはいつも目が合うとお疲れ様。そう言って微笑んでくれるだけで男の俺でも心が躍った。
どうせ使い物にならなくなるまでこの世界で生きていかないといけないのなら、フウマさんのようになりたい。
そう俺はフウマさんを見て憧れ、それを実現するかのように人見知りで愛嬌のない俺が必死で努力をして研究した。
つづく
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