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163話
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ユナside
ヒスイさんはマハロを連れて部屋へと戻って行った。
ゴナはいつの間にかリツさんに懐いていて少しの間、庭で遊んでくると言って庭へ行った。
久しぶりに訪れた私とアナ2人の時間。
少し前までは当たり前のように毎日、2人で飲んで騒いで泣いて笑っていた。
そんな事が今ではとても懐かしく感じる。
A「ユナごめんね…本当にありがとう…」
アナは私と腕を組んで甘えるようにそう言った。
Y「ねぇ、アナ?ジョウキのことなんだけど。本気でアナにあんなこと言ったと思ってる?」
ジョウキの名前を出した途端にアナの顔は曇っていく。
A「自ら手放した恋なのにね。ジョウキに彼女がいるって言われて何も考えられなくなった。」
今にも折れてしまいそうに細く感じるアナの手を私は優しく包み込んだ。
Y「ジョウキね…アナいなくなってからろくに食事が喉を通らずガリガリに痩せて苦しんだんだよ?そんなジョウキが…本当にアナ以外の女の人と付き合うと思う…?」
A「……。」
アナの手は冷たくなり微かに震えてる。
Y「あんな下手なジョウキのウソに引っかかるのはアナぐらいよ…。ヒスイさんもアナの事何もわかってない。こんなウソをついてアナが納得して手術を受けるだろなんて考えは、私から言わせたらツメが甘いのよね。」
A「ユナ…それって…」
Y「アナ?今、アナがすることは病気と向き合って手術の準備をすること。お願いだから…切り裂かれるような想いで言ったジョウキの言葉も涙も無駄にしないであげて。全部、アナの為に想ってした事だから…ね…?」
アナは私の言葉に大きく何度も頷き、その弾みで涙がポロポロとこぼれ落ちた。
そして、私はアナの入院のための荷作りを手伝った。
物忘れが多くなっていたアナはもしかしたら、その不安とずっと1人で戦っていたのかもしれない。
鏡の前には付箋がいくつも貼られていて大切な要件が並んでいた。
A「ユナ…」
Y「うん?」
アナが不安そうな声でそう話しかけてきた。
A「もし、もしもね?私の手術が終わって私の記憶が全てなくなってしまってたら…ユナが知ってる私の全てを教えてほしい。ユナが知ってる事全て…」
アナはそう言って少し不安そうに微笑んでいた。
Y「大丈夫、忘れないよ。アナは何も忘れない。家族の事も私の事もみんなの事も…もちろんジョウキの事も絶対忘れない。もし、忘れてしまっても、きっと私たちはまた親友になって、アナはまたジョウキに恋をする。今までと何も変わらないよ。大丈夫、結局アナはジョウキから離れられないんだよ…」
A「うん…あとね…もし…手術が失敗して…私がこの世からいなくなってしまったら…ジョウキに私のこと…忘れるよう言ってね…お願い。」
Y「いやよ。そんな事、私に言わせないように…アナが生きて戻れば良いだけの話でしょ…」
涙が出そうになる私が涙を誤魔化しながらそういうとアナはまた、目に涙を滲ませながら窓の外に広がる青空を見上げた。
A「また会いたいな…ジョウキに…」
アナは眩しい光に目を細めながら言った。
Y「ジョウキは今頃、飛行機かな?さきに帰国したのよ。こっちにいるとアナに会いたくなるからだと思うよ…」
アナは小さなため息をついて笑った。
A「私…いつもジョウキのウソに騙されてばっかり。子供の時からずっと。もう、今度は許さないんだから…やり返してやる。このままじゃ…納得いかないよ。」
アナが遠い目をしていたずらに笑った。
Y「そうね…元気になったらギャフンと言わせてやんなさい。」
A「うん…」
そう言ったアナの笑顔は今にも消えてしまいそうなほど儚げで私の胸の奥をギュっと締め付けた。
つづく
ヒスイさんはマハロを連れて部屋へと戻って行った。
ゴナはいつの間にかリツさんに懐いていて少しの間、庭で遊んでくると言って庭へ行った。
久しぶりに訪れた私とアナ2人の時間。
少し前までは当たり前のように毎日、2人で飲んで騒いで泣いて笑っていた。
そんな事が今ではとても懐かしく感じる。
A「ユナごめんね…本当にありがとう…」
アナは私と腕を組んで甘えるようにそう言った。
Y「ねぇ、アナ?ジョウキのことなんだけど。本気でアナにあんなこと言ったと思ってる?」
ジョウキの名前を出した途端にアナの顔は曇っていく。
A「自ら手放した恋なのにね。ジョウキに彼女がいるって言われて何も考えられなくなった。」
今にも折れてしまいそうに細く感じるアナの手を私は優しく包み込んだ。
Y「ジョウキね…アナいなくなってからろくに食事が喉を通らずガリガリに痩せて苦しんだんだよ?そんなジョウキが…本当にアナ以外の女の人と付き合うと思う…?」
A「……。」
アナの手は冷たくなり微かに震えてる。
Y「あんな下手なジョウキのウソに引っかかるのはアナぐらいよ…。ヒスイさんもアナの事何もわかってない。こんなウソをついてアナが納得して手術を受けるだろなんて考えは、私から言わせたらツメが甘いのよね。」
A「ユナ…それって…」
Y「アナ?今、アナがすることは病気と向き合って手術の準備をすること。お願いだから…切り裂かれるような想いで言ったジョウキの言葉も涙も無駄にしないであげて。全部、アナの為に想ってした事だから…ね…?」
アナは私の言葉に大きく何度も頷き、その弾みで涙がポロポロとこぼれ落ちた。
そして、私はアナの入院のための荷作りを手伝った。
物忘れが多くなっていたアナはもしかしたら、その不安とずっと1人で戦っていたのかもしれない。
鏡の前には付箋がいくつも貼られていて大切な要件が並んでいた。
A「ユナ…」
Y「うん?」
アナが不安そうな声でそう話しかけてきた。
A「もし、もしもね?私の手術が終わって私の記憶が全てなくなってしまってたら…ユナが知ってる私の全てを教えてほしい。ユナが知ってる事全て…」
アナはそう言って少し不安そうに微笑んでいた。
Y「大丈夫、忘れないよ。アナは何も忘れない。家族の事も私の事もみんなの事も…もちろんジョウキの事も絶対忘れない。もし、忘れてしまっても、きっと私たちはまた親友になって、アナはまたジョウキに恋をする。今までと何も変わらないよ。大丈夫、結局アナはジョウキから離れられないんだよ…」
A「うん…あとね…もし…手術が失敗して…私がこの世からいなくなってしまったら…ジョウキに私のこと…忘れるよう言ってね…お願い。」
Y「いやよ。そんな事、私に言わせないように…アナが生きて戻れば良いだけの話でしょ…」
涙が出そうになる私が涙を誤魔化しながらそういうとアナはまた、目に涙を滲ませながら窓の外に広がる青空を見上げた。
A「また会いたいな…ジョウキに…」
アナは眩しい光に目を細めながら言った。
Y「ジョウキは今頃、飛行機かな?さきに帰国したのよ。こっちにいるとアナに会いたくなるからだと思うよ…」
アナは小さなため息をついて笑った。
A「私…いつもジョウキのウソに騙されてばっかり。子供の時からずっと。もう、今度は許さないんだから…やり返してやる。このままじゃ…納得いかないよ。」
アナが遠い目をしていたずらに笑った。
Y「そうね…元気になったらギャフンと言わせてやんなさい。」
A「うん…」
そう言ったアナの笑顔は今にも消えてしまいそうなほど儚げで私の胸の奥をギュっと締め付けた。
つづく
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