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162話
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マハロside
ユナがホテルを出てすぐ、いつもワガママを言わないゴナが珍しくクズりはじめた。
G「ママは…?」
M「ママは今、アナのとこに行ってるから一緒に待ってよう?」
半べそで俺の腕にしがみつくゴナ。
優しく手を握るが涙がみるみるうちに目に溜まっていく。
G「やぁだぁ~!オレもアナのとこいく~!オレもアナにあいたいんだ~!アナ…」
ついに声をあげてワンワン泣きはじめたゴナ。
もう、俺が何を言っても聞く耳を持たない。
G「やぁだぁ~うぇえ~ん~うぇえ~ん!アナのどごにいぐ~うぇえ~ん!泣」
M「ゴナ…今、ママとアナは大切な話してるからさ…ね?一緒に待ってよう?」
G「やぁだぁ~やぁだぁアナァァアァァァア~!泣」
いつもはすぐに泣き止むのにどんなにあやしても今日は泣き止む気配がない。
ゴナの大好きなハヤセくんも先に帰国しちゃったし…しょうがない…俺は泣き叫ぶゴナを抱き上げた。
M「分かった…アナのとこ行こう…」
俺はゴナの背中を撫でながら言うとゴナは大きく頷き泣き止んだ。
タクシーに乗り込んだ時には完全に泣きやみ、昨日聞いていたアナがいるヒスイさんの家に近づくに連れてゴナはご機嫌になっていた。
そして、俺ははじめて見たヒスイさんの家をみて驚愕した。
M「なんだこれ…お城かよ…」
G「うわぁ~すご~い!!アナのおうちめっちゃおおき~い!アナはおひめさまなの?アナ~ゴナがあいにきたよ~!!」
ゴナはお城のような家を見て大きな門の前で大騒ぎをしている。
恐る恐るインターホンを押して名前を名乗ると玄関から男性が走って出てきた。
M「あ…すいません…はじめまして…」
「はじめまして!ヒスイさんの秘書のリツです!」
M「大変お世話になっております僕はユナの恋人の…」
「そんな事よりユナさんが今大変で…ちょっとなんとかしてください!」
M「え?ぇぇえぇぇぇえ!?」
挨拶もろくにしないまま俺はゴナを抱きかかえ、リツさんに引っ張られるように家の中に入った。
すると、もうすでに家中にユナの叫び声が響き渡っていて俺の表情筋が引き攣る。
「マハロさんですよね!?ユナさんのパートナーの!社長から伺ってます!なので早く、早くユナさんを止めてください!」
リツさんは慌ててた様子で俺にユナを止めるように言った。
目の前に見えたユナの姿は涙でぐちゃぐちゃになりながらなりふり構う事なく、アナと扉越しに向き合っていた。
M「…….いや…止めません…きっとあれは今のアナにとって必要なことだから…」
俺の言葉にリツさんが驚く。
「マハロさんなに言ってんですか!こんな事ヒスイさんが知ったらユナさんも…」
HS「私が知ったら一体、どうなるのかな?」
リツさんの後ろから大男が顔をひょっこりと覗かせていて、リツさんの額かはさらに汗が噴き出した。
もしかして、この方がアナのお兄さん?
そう思った俺はユナの叫び声を聞きながらヒスイさんにご挨拶をした。
M「いつもユナがお世話になっております。ユナの婚約者の高藤マハロと申します。」
HS「初めまして。アナの兄です。マハロさんの噂はよく聞いておりますよ。」
こんな状況でも冷静な顔で挨拶をする俺も俺だが、それを丁寧に受けるヒスイさんもそれなりの肝っ玉だと俺は思った。
じっとユナの姿を見ていたゴナはアナが出てくると、俺のそばからトコトコと走って離れていき2人の元へと行った。
HS「少し会わない間にユナさんはとても素敵な女性になられました。きっと貴方という存在のおかげですね…」
ヒスイさんがユナの後ろ姿を見つめながらそう言った。
M「いえ…元々、彼女自身が持っていたものですよ。」
そして、ヒスイさんはユナやゴナと泣きながら抱き合うアナを見てこう言った。
HS「正直、私はユナさんにもジョウキさんにもジェラシーを感じますよ…あとゴナくんにもね?」
M「…え?」
HS「アナのあの頑固な性格。私の言うことは全く聞かないのに…どんなに可愛がっても兄という立場は好きな人や親友には勝てない。いい加減私も妹離れしなきゃダメですね…。」
そう言ったヒスイさんの目は少し寂しそうで見ているこっちも少し切なくなった。
そんな事があり、アナはようやく手術することを決心した。
きっとこれからも怖くて不安でいっぱいだと思う。
でも、きっと大丈夫だよ。
アナは沢山の人に愛されてる。
だから…頑張っておいで…
しかし、ゴナはいつの間にあんなマセガキになってしまったんだろ?
ヒスイさんの目の前でアナの頬にチュッとするもんだから俺とユナはヒヤヒヤした。
HS「アナ…入院の準備しよう…これから検査とかしないといけないから…」
ヒスイさんはそうアナに告げるとアナは軽くうなずいた。
HS「マハロさん少しお時間いいかな?ゴナくんはリツみてもらって2人で話がしたいんだが…」
ハヤセさんがそう言ったので俺はゴナをリツさんに預け、ヒスイさんの部屋へとついて行った。
つづく
ユナがホテルを出てすぐ、いつもワガママを言わないゴナが珍しくクズりはじめた。
G「ママは…?」
M「ママは今、アナのとこに行ってるから一緒に待ってよう?」
半べそで俺の腕にしがみつくゴナ。
優しく手を握るが涙がみるみるうちに目に溜まっていく。
G「やぁだぁ~!オレもアナのとこいく~!オレもアナにあいたいんだ~!アナ…」
ついに声をあげてワンワン泣きはじめたゴナ。
もう、俺が何を言っても聞く耳を持たない。
G「やぁだぁ~うぇえ~ん~うぇえ~ん!アナのどごにいぐ~うぇえ~ん!泣」
M「ゴナ…今、ママとアナは大切な話してるからさ…ね?一緒に待ってよう?」
G「やぁだぁ~やぁだぁアナァァアァァァア~!泣」
いつもはすぐに泣き止むのにどんなにあやしても今日は泣き止む気配がない。
ゴナの大好きなハヤセくんも先に帰国しちゃったし…しょうがない…俺は泣き叫ぶゴナを抱き上げた。
M「分かった…アナのとこ行こう…」
俺はゴナの背中を撫でながら言うとゴナは大きく頷き泣き止んだ。
タクシーに乗り込んだ時には完全に泣きやみ、昨日聞いていたアナがいるヒスイさんの家に近づくに連れてゴナはご機嫌になっていた。
そして、俺ははじめて見たヒスイさんの家をみて驚愕した。
M「なんだこれ…お城かよ…」
G「うわぁ~すご~い!!アナのおうちめっちゃおおき~い!アナはおひめさまなの?アナ~ゴナがあいにきたよ~!!」
ゴナはお城のような家を見て大きな門の前で大騒ぎをしている。
恐る恐るインターホンを押して名前を名乗ると玄関から男性が走って出てきた。
M「あ…すいません…はじめまして…」
「はじめまして!ヒスイさんの秘書のリツです!」
M「大変お世話になっております僕はユナの恋人の…」
「そんな事よりユナさんが今大変で…ちょっとなんとかしてください!」
M「え?ぇぇえぇぇぇえ!?」
挨拶もろくにしないまま俺はゴナを抱きかかえ、リツさんに引っ張られるように家の中に入った。
すると、もうすでに家中にユナの叫び声が響き渡っていて俺の表情筋が引き攣る。
「マハロさんですよね!?ユナさんのパートナーの!社長から伺ってます!なので早く、早くユナさんを止めてください!」
リツさんは慌ててた様子で俺にユナを止めるように言った。
目の前に見えたユナの姿は涙でぐちゃぐちゃになりながらなりふり構う事なく、アナと扉越しに向き合っていた。
M「…….いや…止めません…きっとあれは今のアナにとって必要なことだから…」
俺の言葉にリツさんが驚く。
「マハロさんなに言ってんですか!こんな事ヒスイさんが知ったらユナさんも…」
HS「私が知ったら一体、どうなるのかな?」
リツさんの後ろから大男が顔をひょっこりと覗かせていて、リツさんの額かはさらに汗が噴き出した。
もしかして、この方がアナのお兄さん?
そう思った俺はユナの叫び声を聞きながらヒスイさんにご挨拶をした。
M「いつもユナがお世話になっております。ユナの婚約者の高藤マハロと申します。」
HS「初めまして。アナの兄です。マハロさんの噂はよく聞いておりますよ。」
こんな状況でも冷静な顔で挨拶をする俺も俺だが、それを丁寧に受けるヒスイさんもそれなりの肝っ玉だと俺は思った。
じっとユナの姿を見ていたゴナはアナが出てくると、俺のそばからトコトコと走って離れていき2人の元へと行った。
HS「少し会わない間にユナさんはとても素敵な女性になられました。きっと貴方という存在のおかげですね…」
ヒスイさんがユナの後ろ姿を見つめながらそう言った。
M「いえ…元々、彼女自身が持っていたものですよ。」
そして、ヒスイさんはユナやゴナと泣きながら抱き合うアナを見てこう言った。
HS「正直、私はユナさんにもジョウキさんにもジェラシーを感じますよ…あとゴナくんにもね?」
M「…え?」
HS「アナのあの頑固な性格。私の言うことは全く聞かないのに…どんなに可愛がっても兄という立場は好きな人や親友には勝てない。いい加減私も妹離れしなきゃダメですね…。」
そう言ったヒスイさんの目は少し寂しそうで見ているこっちも少し切なくなった。
そんな事があり、アナはようやく手術することを決心した。
きっとこれからも怖くて不安でいっぱいだと思う。
でも、きっと大丈夫だよ。
アナは沢山の人に愛されてる。
だから…頑張っておいで…
しかし、ゴナはいつの間にあんなマセガキになってしまったんだろ?
ヒスイさんの目の前でアナの頬にチュッとするもんだから俺とユナはヒヤヒヤした。
HS「アナ…入院の準備しよう…これから検査とかしないといけないから…」
ヒスイさんはそうアナに告げるとアナは軽くうなずいた。
HS「マハロさん少しお時間いいかな?ゴナくんはリツみてもらって2人で話がしたいんだが…」
ハヤセさんがそう言ったので俺はゴナをリツさんに預け、ヒスイさんの部屋へとついて行った。
つづく
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