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140話
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ジョウキside
走ってエレベーターホールへと向かうがアナの乗ったエレベーターはもう下へと向かっていた。
焦りのあまり何度もボタンを押しようやく来たエレベーターに俺は乗りこむ。
ロビーに着き小走りで出るとアナの後ろ姿がホテルの玄関入り口で見えた。
走りながらアナを呼び止めようとしたその瞬間…
黒い車の影からアナに向かって大きく手を広げる男の姿がみえた。
アナがあ…危ない!!
そう思った俺が思わず叫びそうになったその時…
その男の胸に自ら飛び込んだのはアナの方だった。
そしてその男は優しい瞳でアナを見つめ、優しくアナの髪を撫でる。
アナの顔はまるでその男に答えているように微笑んでいて、俺の胸はぎゅっと縮こまり悲鳴をあげる。
あの数分前に起きた俺たちの甘い時間は一体なんだったんだろ?
アナが言った好きというあの言葉には何の意味などなかったのだろうか?
1度掴みかけたからこそその虚しさはさらに増すばかりで俺は寒くもないのに身体が震え出した。
その男は慣れた手つきでアナの腰に手を回し、黒い車の扉を開けアナを車へと乗せて走り去って行った。
い…一体…何が起きてるんだ?
俺は何も出来ずただその場に立ち尽くしていた。
どれくらいの時間が経ったのだろ?
「ジョウキ!」
俺は身体を大きく揺すられ…我に返った。
J「え、アナ…?」
A「なにやってんの?こんなとこで。」
いつの間にか俺の目の前にアナが戻ってきていて、あれは悪い夢だったのかと思うほど今、俺の目に映るアナは俺の知ってるアナでついさっき、他の男と抱き合っていたとはまるで思えない。
J「アナこそ…何やってんのさっきの男…誰…?」
A「え?さっきの男ってなんの話してるの?」
J「とぼけるなよ!あの男は誰なんだよ!!なんで俺以外の男と抱き合っといてそんな平然とできんだよ!!」
俺はつい、場所も考えずに感情のままアナに声を荒げた。
A「私ほんとにジョウキの言ってる意味が分からないよ…私はただスマホをジョウキの部屋に忘れたからそれを取りに戻っただけで…」
アナは俺に少し怯えながら小さな声で言った。
J「んなことどうでもいいし。俺が聞きたいのそんなことじゃなくて!!」
俺がアナの腕を掴み詰め寄る。
すると…俺の手をすごい力でアナの腕から離す男の手が目に入った。
俺がその手の行方に目をやるとそこには俺を睨みつけるさっきの男がいた。
男「気安く触ってんじゃねぇぞ。こいつが誰だと思ってんだ。」
お前こそ…誰なんだよ…!!
目の前に現れた男は俺でも見上げるほどの大男だった。
J「はぁ?そっちこそアナに何、馴れ馴れしく触ってんだよ!?」
俺は掴まれた手を思いきっり振りほどきながら言った。
男「馴れ馴れしい?笑わせるな。おいっ!いいかよく聞けよ?」
男は俺の胸ぐらを掴みグッと上に引っ張り上げ、俺の首に男の拳が食い込み息が止まりそうになる。
A「ちょっと…ヒスイやめて!」
アナは小さな体で必死に俺たちの間に入り止めようとする。
J「なんだよマジで!離せよ!」
俺も男の気迫に負けないように胸ぐらを掴み返すが苦しくて力が入らない。
男「お前が誰であろうと俺には関係ない。二度とアナの前に現れないでくれ。」
男はそう言って俺を投げ飛ばすように地面へと叩きつけ、アナの腕を引っ張りホテルの玄関へと連れて行った。
俺は立ちあがろうとするものの、病み上がりの俺にはもうその後ろ姿を眺める力しか残っていなかった。
A「ちょっと!離して…ヒスイお願い!!」
ヒスイ…あの男…ヒスイって言うのか…
「スマホは俺がユナに連絡して持ってきてもらう。あの男にはもう二度と会うな。」
ヒスイという男はそう言いながら無理矢理アナを引きずるようにして車に乗せホテルから消え去った。
あいつ誰だよマジで…
あの男…ユナとも知り合いなのか?
俺はふらつく足で立ち上がりぼんやりとする頭のままマハロくんの部屋へと向かった。
ドンドンドンドンっ!
J「マハロくん開けて!ユナに聞きたいことがあるんだ!」
俺は横にインターホンがあることも忘れて無我夢中で部屋の扉を叩いた。
M「ジョウキ…どうしたんだよ?と…とりあえず中に入れ…」
中に入るとゴナを抱いたユナが座っていた。
Y「ジョウキ…あんな大声で…一体…どうしたのよ…?」
J「ごめん。ユナあのさ、ヒスイって男…知ってるだろ?」
ユナはその名前を聞くと同時に目を大きく見開くと眉間に深いシワを寄せた。
Y「知ってるけど…まさか…ジョウキ…ヒスイさんと会ったの?」
J「…胸ぐら掴まれてもう二度とアナと会うなって言われた…」
さらに俺の言葉を聞いたユナは目を丸くする。
M「ちょ…ちょっと待って!そのヒスイって男…誰なの…?」
マハロくんが俺たち落ち着かせるようにそう言った。
J「知らない。だからユナに聞きに来た…ヒスイって一体…アナの何なの?」
俺がそう問いかけるとユナは深呼吸をし俺を真っ直ぐ見つめて言った。
Y「ジョウキ…あのね?ヒスイさんはアナの…」
ユナがそう言いかけると自分できいたはずなのに全身が震えだし指先が冷たくなっていく。
J「うん…」
俺は震える手を自分でにぎりユナの次の言葉を待った。
つづく
走ってエレベーターホールへと向かうがアナの乗ったエレベーターはもう下へと向かっていた。
焦りのあまり何度もボタンを押しようやく来たエレベーターに俺は乗りこむ。
ロビーに着き小走りで出るとアナの後ろ姿がホテルの玄関入り口で見えた。
走りながらアナを呼び止めようとしたその瞬間…
黒い車の影からアナに向かって大きく手を広げる男の姿がみえた。
アナがあ…危ない!!
そう思った俺が思わず叫びそうになったその時…
その男の胸に自ら飛び込んだのはアナの方だった。
そしてその男は優しい瞳でアナを見つめ、優しくアナの髪を撫でる。
アナの顔はまるでその男に答えているように微笑んでいて、俺の胸はぎゅっと縮こまり悲鳴をあげる。
あの数分前に起きた俺たちの甘い時間は一体なんだったんだろ?
アナが言った好きというあの言葉には何の意味などなかったのだろうか?
1度掴みかけたからこそその虚しさはさらに増すばかりで俺は寒くもないのに身体が震え出した。
その男は慣れた手つきでアナの腰に手を回し、黒い車の扉を開けアナを車へと乗せて走り去って行った。
い…一体…何が起きてるんだ?
俺は何も出来ずただその場に立ち尽くしていた。
どれくらいの時間が経ったのだろ?
「ジョウキ!」
俺は身体を大きく揺すられ…我に返った。
J「え、アナ…?」
A「なにやってんの?こんなとこで。」
いつの間にか俺の目の前にアナが戻ってきていて、あれは悪い夢だったのかと思うほど今、俺の目に映るアナは俺の知ってるアナでついさっき、他の男と抱き合っていたとはまるで思えない。
J「アナこそ…何やってんのさっきの男…誰…?」
A「え?さっきの男ってなんの話してるの?」
J「とぼけるなよ!あの男は誰なんだよ!!なんで俺以外の男と抱き合っといてそんな平然とできんだよ!!」
俺はつい、場所も考えずに感情のままアナに声を荒げた。
A「私ほんとにジョウキの言ってる意味が分からないよ…私はただスマホをジョウキの部屋に忘れたからそれを取りに戻っただけで…」
アナは俺に少し怯えながら小さな声で言った。
J「んなことどうでもいいし。俺が聞きたいのそんなことじゃなくて!!」
俺がアナの腕を掴み詰め寄る。
すると…俺の手をすごい力でアナの腕から離す男の手が目に入った。
俺がその手の行方に目をやるとそこには俺を睨みつけるさっきの男がいた。
男「気安く触ってんじゃねぇぞ。こいつが誰だと思ってんだ。」
お前こそ…誰なんだよ…!!
目の前に現れた男は俺でも見上げるほどの大男だった。
J「はぁ?そっちこそアナに何、馴れ馴れしく触ってんだよ!?」
俺は掴まれた手を思いきっり振りほどきながら言った。
男「馴れ馴れしい?笑わせるな。おいっ!いいかよく聞けよ?」
男は俺の胸ぐらを掴みグッと上に引っ張り上げ、俺の首に男の拳が食い込み息が止まりそうになる。
A「ちょっと…ヒスイやめて!」
アナは小さな体で必死に俺たちの間に入り止めようとする。
J「なんだよマジで!離せよ!」
俺も男の気迫に負けないように胸ぐらを掴み返すが苦しくて力が入らない。
男「お前が誰であろうと俺には関係ない。二度とアナの前に現れないでくれ。」
男はそう言って俺を投げ飛ばすように地面へと叩きつけ、アナの腕を引っ張りホテルの玄関へと連れて行った。
俺は立ちあがろうとするものの、病み上がりの俺にはもうその後ろ姿を眺める力しか残っていなかった。
A「ちょっと!離して…ヒスイお願い!!」
ヒスイ…あの男…ヒスイって言うのか…
「スマホは俺がユナに連絡して持ってきてもらう。あの男にはもう二度と会うな。」
ヒスイという男はそう言いながら無理矢理アナを引きずるようにして車に乗せホテルから消え去った。
あいつ誰だよマジで…
あの男…ユナとも知り合いなのか?
俺はふらつく足で立ち上がりぼんやりとする頭のままマハロくんの部屋へと向かった。
ドンドンドンドンっ!
J「マハロくん開けて!ユナに聞きたいことがあるんだ!」
俺は横にインターホンがあることも忘れて無我夢中で部屋の扉を叩いた。
M「ジョウキ…どうしたんだよ?と…とりあえず中に入れ…」
中に入るとゴナを抱いたユナが座っていた。
Y「ジョウキ…あんな大声で…一体…どうしたのよ…?」
J「ごめん。ユナあのさ、ヒスイって男…知ってるだろ?」
ユナはその名前を聞くと同時に目を大きく見開くと眉間に深いシワを寄せた。
Y「知ってるけど…まさか…ジョウキ…ヒスイさんと会ったの?」
J「…胸ぐら掴まれてもう二度とアナと会うなって言われた…」
さらに俺の言葉を聞いたユナは目を丸くする。
M「ちょ…ちょっと待って!そのヒスイって男…誰なの…?」
マハロくんが俺たち落ち着かせるようにそう言った。
J「知らない。だからユナに聞きに来た…ヒスイって一体…アナの何なの?」
俺がそう問いかけるとユナは深呼吸をし俺を真っ直ぐ見つめて言った。
Y「ジョウキ…あのね?ヒスイさんはアナの…」
ユナがそう言いかけると自分できいたはずなのに全身が震えだし指先が冷たくなっていく。
J「うん…」
俺は震える手を自分でにぎりユナの次の言葉を待った。
つづく
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