二人の王子様はどっちが私の王様？

126話

アナside

私はジョウキとトウヤにお別れの手紙を書いてすぐ、兄が暮らすイギリスへと飛び立った。

ジョウキとトウヤの2人はそれぞれ私にとったらとても大切な人だった。 

ジョウキは私が1番苦しんでるときにずっとそばにいて励ましてくれた。 

トウヤは私を命がけで助けてくれた。

こんな2人のどちらか1人を選ぶなんて私には絶対に出来なかった。

早く言えば…私は答えを出すのが嫌で2人から逃げたんだ。

イギリスに着いてすぐ私は兄から嬉しいお願いをされた。

「実は今、メンズファッションブランドを立ち上げる準備を進めてるんだ…もしよかったらアナもデザイナーとして携わってくれないか？」 

っと… 本当はイギリスにいる間、本格的な仕事はするつもりじゃなかったが、デザイナーとしての血が騒ぎ私はすぐに兄からの提案に承諾した。

しばらくして気持ちが落ち着いたら日本に戻って仕事復帰するつもりだったけど、あまりにもイギリスでの仕事がうまくいきなかなか帰国できずにいた。

そんな時に夢中で作った1枚の黒のジャケット。

自分から彼の元を逃げた私は元々渡すつもりなんてなかったが、彼との未来を想像しながら作った。

そのジャケットは私が今まで作った作品の中でも上位にくるぐらい満足のいく仕上がりとなった。

周りのスタッフも兄もこのジャケットをものすごく気に入ってくれて販売したいと言われた。

でも、申し訳ないがそれは事情を説明してお断りした。

すると、なぜかその次の日にそのジャケットはショーケースに入れられ刺繍で胸元に入れた金色のウサギがキラキラと輝いていた。 

そしていつしかスタッフたちはそのジャケットのサイズに合う人を探しはじめた。

ジャケットの主をスタッフたちはゴールデンラビットと呼ぶようになっていた頃、ユナからの突然の報告があった。

Y「UNoがライブでイギリスに行くことになった…」

その言葉を聞いた時、私は正直焦ったが、どこかでもうみんなは私の事なんて忘れてるだろう…という気持ちと私のこと見つけてくれるかな…っという厚かましい気持ちが入り混じった。

でも、私は久しぶりにユナとゴナに会えるのがすごく嬉しかった。

そしてその日がついに訪れ、久しぶりに会ったユナの顔はとても幸せそうで、彼氏に大切にしてもらってるんだなって思ったら私まで幸せだった。

ユナの大好きな彼氏はどんな人なんだろ？いつかユナの素敵な彼氏に会えたらいいなって私は思っていた。

ユナの再会のあと、すぐ家に帰るつもりだったがちょうど店の近くなので寄って帰ろうと店に入るとスタッフがアジア系の男性と話をしていた。

そしてその男性は私の顔を見るなり嬉しそうに微笑み、私の名前を親しげに呼び自分の名を名乗る。 

ハヤセ？

どっかで聞いたこと…あ…ハヤセ！

また１つ…私は大切なこと忘れてしまってたんだね。


つづく