上 下
92 / 196

92話

しおりを挟む
トウヤside

俺は病室でジョウキとアナのお母様の話を聞いて以来、仕事に追われて病院に行くことが出来ずにいた。

そんな中でも毎日、ユナからアナの様子を報告するメールが届いていた。

そして、やっと待ちに待った明日はオフで俺はやっぱりアナの顔が見たいなと思ってしまう。

そんな事を考えながら帰り支度をしているとハヤセくんが俺に声をかけてきた。

H「みんな、明日休みだろ?久しぶりにみんなで飯でも行かない?」

アナの事があってからメンバーの空気も重くなっていた。

いい雰囲気とは言えないそんな状況をハヤセくんは見兼ねたんだと思う。

ハヤセくんの誘いにそれぞれが返事をした。

S「ハヤセごめん!俺、今からソロのRecなんだよ。」

ショウくんがそういうとノイくんとレンくん 、マハロは待っていたかのように続いて予定があると言い始めた。

そして、ハヤセくんはホッペを膨らませて拗ねている。

H「えぇ~もう!ねぇねぇ!ジョウキとトウヤは行くよね?まさか、優しいハヤセくんのお誘いを断ったりしないよね?」

ハヤセくんはそう言い、俺はチラッとジョウキをみるとバッチリ目があった。

J「俺は行きますけど?トウヤくんはどうします?」

T「俺も行くけど。」

J「そう。」

別にお互い喧嘩をしたわけでもないのに俺たち2人の間には何とも言えない空気が漂ってた。

H「じゃ俺の家で鍋でも食べよ!ユナも呼んでさ!!」

そう言ってハヤセくんはユナに電話をかけているがどうやらその電話はユナに繋がらない様子。

T「ユナも忙しいんじゃないですか?アナが会社抜けて全部、任せられてるみたいだし。」

H「じゃ、しょうがないね…」

ハヤセくんがカバンを持ち部屋を出て行き、俺とジョウキもそれについて行くがお互い特に何かを話すわけでもなくハッキリ言って気まずい空気だ。

そんな雰囲気の中、ハヤセくんのマンションに向かう途中にあるスーパーで買い出しをし、ハヤセくんは雰囲気を明るくしようと笑顔を見せながらキッチンに立ち鍋の材料を切って行く。

ジョウキはなぜかハヤセくんの部屋を自分の部屋のように寛ぎ、ソファに座ってテレビを見てる。

俺は居場所を探すかのようにハヤセくんの所へ行った。

T「なんか手伝いますよ?」

H「こんなのすぐ終わるんだからジョウキと先に飲んでていいよ。」

自炊が得意なハヤセくんは白菜を慣れた手つきで切っていく。

T「ハヤセくんが一緒じゃなきゃヤだ…」

俺がそう言うとハヤセくんの顔はニヤっと緩んでいき嬉しそうな顔をする。

H「そうかそうか!トウヤはそんなに俺が好きか!」

満足気にそう微笑み俺に頬ずりをしてきたハヤセくんに俺は変な気分になりそう言う意味じゃない!とハヤセくんを跳ね除けるとなんだよ。と拗ねていた。

そうこうしている間に下ごしらえが終わり、リビングへと材料を持っていくハヤセくんの背中を俺がついていく。

H「ジョウキおまたせ!!」

J「ってかさっきからトウヤくんなにやってんの?ずっとハヤセくんにベッタリでさ?」

ジョウキは呆れように鼻で笑ってそう言った。

いつもならそんなこと聞き流すのに何故かこの時、俺はついそのジョウキの態度にイラっとしてしまった。
 

つづく
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役って楽しい

おきょう
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、頭を打ったことがきっかけで自分が乙女ゲームの悪役令嬢なのだと気づいてしまった。 しかしヒロインの泣き顔が可愛すぎた。真っ赤になって震える姿が素敵すぎた。 そんな生まれ持ったドS気質ゆえ、どうしてもイジメをやめられない。 ※他サイトで掲載したものの改稿版になります

記憶が還える頃に…

夜月
恋愛
事故に合って記憶を失くしてしまった高校1年生の少女が失った記憶を周りの友達と協力して思いだしながらも青春をしようとする物語です。

愛玩犬は、銀狼に愛される

きりか
BL
《漆黒の魔女》の呪いにより、 僕は、昼に小型犬(愛玩犬?)の姿になり、夜は人に戻れるが、ニコラスは逆に、夜は狼(銀狼)、そして陽のあるうちには人に戻る。 そして僕らが人として会えるのは、朝日の昇るときと、陽が沈む一瞬だけ。 呪いがとけると言われた石、ユリスを求めて旅に出るが…

[本編完結]彼氏がハーレムで困ってます

はな
BL
佐藤雪には恋人がいる。だが、その恋人はどうやら周りに女の子がたくさんいるハーレム状態らしい…どうにか、自分だけを見てくれるように頑張る雪。 果たして恋人とはどうなるのか? 主人公 佐藤雪…高校2年生  攻め1 西山慎二…高校2年生 攻め2 七瀬亮…高校2年生 攻め3 西山健斗…中学2年生 初めて書いた作品です!誤字脱字も沢山あるので教えてくれると助かります!

とびきりのクズに一目惚れし人生が変わった俺のこと

未瑠
BL
端正な容姿と圧倒的なオーラをもつタクトに一目惚れしたミコト。ただタクトは金にも女にも男にもだらしがないクズだった。それでも惹かれてしまうタクトに唐突に「付き合おう」と言われたミコト。付き合い出してもタクトはクズのまま。そして付き合って初めての誕生日にミコトは冷たい言葉で振られてしまう。 それなのにどうして連絡してくるの……?

【完結】ええと?あなたはどなたでしたか?

ここ
恋愛
アリサの婚約者ミゲルは、婚約のときから、平凡なアリサが気に入らなかった。 アリサはそれに気づいていたが、政略結婚に逆らえない。 15歳と16歳になった2人。ミゲルには恋人ができていた。マーシャという綺麗な令嬢だ。邪魔なアリサにこわい思いをさせて、婚約解消をねらうが、事態は思わぬ方向に。

完結 お飾り正妃も都合よい側妃もお断りします!

音爽(ネソウ)
恋愛
正妃サハンナと側妃アルメス、互いに支え合い国の為に働く……なんて言うのは幻想だ。 頭の緩い正妃は遊び惚け、側妃にばかりしわ寄せがくる。 都合良く働くだけの側妃は疑問をもちはじめた、だがやがて心労が重なり不慮の事故で儚くなった。 「ああどうして私は幸せになれなかったのだろう」 断末魔に涙した彼女は……

ただ、愛しただけ…

きりか
恋愛
愛していただけ…。あの方のお傍に居たい…あの方の視界に入れたら…。三度の生を生きても、あの方のお傍に居られなかった。 そして、四度目の生では、やっと…。 なろう様でも公開しております。

処理中です...