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91話
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ユナside
あれからアナは1週間経っても目を覚まさない。
仕事帰りにアナの病室に寄るとお母様が疲れた顔をして今日も付き添っていた。
Y「お母様…」
母「ユナちゃん…今日も来てくれたのね…ありがとう…」
そう言ったお母様の頬があきらかにコケて身体が細くなっている。
Y「お母様、私明日休みなんで今日は私が付き添います。なのでお母様は家に帰って休んで下さい…」
お母様は私の声が聞こえてないのか、アナの手をギュッと握りながらずっとアナの頬を撫でている。
母「ユナちゃん…トウヤさんって方…知ってる?」
Y「え?」
母「…この子ね…うわ言でずっとジョウキ…トウヤ…って呼んでるの。私たちより2人の名前を繰り返してるの。勝手にアナの過去も名前も全て奪った私たちの事なんてもう忘れちゃったのかな…?」
そう話しているうちにお母様の目から涙が溢れ出しポタポタとシーツにシミをつける。
すると、ちょうど社長であるアナのお父様が病室の扉の所に立っていた。
Y「社長…お疲れさまです…」
父「お疲れさま。ユナ、今日はアナの付き添いをお願いするよ。何かあれば私に連絡してくれ…」
Y「はい…」
父「あと…高藤マハロさんという方から私に連絡があったよ…」
Y「えっ!?」
父「もう、十分…今の君なら息子さんを引き取れると私は思うがね?じゃ、アナをよろしく頼むよ…」
なぜマハロがゴナの事で社長に連絡をしたのだろう。
一体、何を話したのだろうか?
私は少しパニックになりながらもお母様に寄り添って帰って行く社長のお見送りをした。
アナの病室にもどり独り言のようにアナに話しかける。
Y「ねぇ…アナ。一体、いつまでそうやってるつもりなの?うわ言でジョウキとトウヤの名前呼ぶぐらい2人想ってるならさ?早く目覚めなさいよ…バカアナ…」
そんな事を言ってもアナは目覚めてくれなくて、大切な親友であり大好きな妹のような存在のアナがこんな事になってしまい私の心もそろそろ限界だ。
その夜、私はアナが眠るベッドに顔伏せたまま声を殺して1人泣いた。
そしていつの間にか私は深い眠りに落ちていて、眩しい光と体が激しく揺さぶられる振動と懐かしくて大好きな声で目覚めた。
「ちょっとユナ!!起きて!私、なんでここにいるの!?ユナってば!!」
元気いっぱいのその声はずっと聞きたくて仕方なかった声で、私を夢の中から現実へと引き戻す。
ゆっくりと思い瞼を開けるとそこにはアナが不思議そうに私の顔を見つめていた。
Y「え…アナ?アナ!?め…目覚めたの!?」
A「う…うん。ねぇここどこ?」
アナは状況が理解出来ない様子で病室の中を見渡しながらそう言った。
Y「もう!心配したんだからね!」
私は力いっぱいアナをギュッと抱きしめてまた、泣いた。
つづく
あれからアナは1週間経っても目を覚まさない。
仕事帰りにアナの病室に寄るとお母様が疲れた顔をして今日も付き添っていた。
Y「お母様…」
母「ユナちゃん…今日も来てくれたのね…ありがとう…」
そう言ったお母様の頬があきらかにコケて身体が細くなっている。
Y「お母様、私明日休みなんで今日は私が付き添います。なのでお母様は家に帰って休んで下さい…」
お母様は私の声が聞こえてないのか、アナの手をギュッと握りながらずっとアナの頬を撫でている。
母「ユナちゃん…トウヤさんって方…知ってる?」
Y「え?」
母「…この子ね…うわ言でずっとジョウキ…トウヤ…って呼んでるの。私たちより2人の名前を繰り返してるの。勝手にアナの過去も名前も全て奪った私たちの事なんてもう忘れちゃったのかな…?」
そう話しているうちにお母様の目から涙が溢れ出しポタポタとシーツにシミをつける。
すると、ちょうど社長であるアナのお父様が病室の扉の所に立っていた。
Y「社長…お疲れさまです…」
父「お疲れさま。ユナ、今日はアナの付き添いをお願いするよ。何かあれば私に連絡してくれ…」
Y「はい…」
父「あと…高藤マハロさんという方から私に連絡があったよ…」
Y「えっ!?」
父「もう、十分…今の君なら息子さんを引き取れると私は思うがね?じゃ、アナをよろしく頼むよ…」
なぜマハロがゴナの事で社長に連絡をしたのだろう。
一体、何を話したのだろうか?
私は少しパニックになりながらもお母様に寄り添って帰って行く社長のお見送りをした。
アナの病室にもどり独り言のようにアナに話しかける。
Y「ねぇ…アナ。一体、いつまでそうやってるつもりなの?うわ言でジョウキとトウヤの名前呼ぶぐらい2人想ってるならさ?早く目覚めなさいよ…バカアナ…」
そんな事を言ってもアナは目覚めてくれなくて、大切な親友であり大好きな妹のような存在のアナがこんな事になってしまい私の心もそろそろ限界だ。
その夜、私はアナが眠るベッドに顔伏せたまま声を殺して1人泣いた。
そしていつの間にか私は深い眠りに落ちていて、眩しい光と体が激しく揺さぶられる振動と懐かしくて大好きな声で目覚めた。
「ちょっとユナ!!起きて!私、なんでここにいるの!?ユナってば!!」
元気いっぱいのその声はずっと聞きたくて仕方なかった声で、私を夢の中から現実へと引き戻す。
ゆっくりと思い瞼を開けるとそこにはアナが不思議そうに私の顔を見つめていた。
Y「え…アナ?アナ!?め…目覚めたの!?」
A「う…うん。ねぇここどこ?」
アナは状況が理解出来ない様子で病室の中を見渡しながらそう言った。
Y「もう!心配したんだからね!」
私は力いっぱいアナをギュッと抱きしめてまた、泣いた。
つづく
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