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81話
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アナside
MV撮影当日
私とユナは約束の時間の10分前になりドレスが入った大きめの袋を抱えた。
私とユナがマンションの下に降りると既に迎えの車が到着していた。
私が車に近づくと自動で扉が開き、車に乗り込みスタッフさんに挨拶をした。
A「おはようございます!お待たせしちゃいましたか…?」
※「おはよう~!大丈夫!今からジョウキを迎えに行くんだけど、いつも起きないからつい癖でここにも早めに来ちゃったんだ。」
スタッフさんは早朝とは思えないぐらいの爽やかな笑顔で私たちをお迎えして下さり、車を慣れた手つきで運転し始めた。
Y「確かジョウキさん寝起き悪そうな顔してますもんね?」
※「ユナちゃん言うね~」
Y「あははは~冗談です。」
※「それがあながち間違ってないってのが怖い所で…早朝のジョウキを見たらびっくりするよ!?本当テンションヤバイから!」
そんな会話を2人がしていると見覚えのあるマンションの前に車が停車した。
Y「え?もしかしてジョウキさんのマンションってここですか?まさかここまでご近所だったとは…」
そう言いながらユナは目を大きく見開いて私に問いかける。
A「うん…そうだね…」
※「ジョウキ、まだ降りてきてないな。ジョウキに電話するから待っててね?」
スタッフさんは若干、焦りながらジョウキに電話してるがどうやら電話に出ない様子。
A「出ないんですか?」
※「ヤバイ…こうなった時は起きないパターンだな…」
そう言ってスタッフさんは頭を抱えながらカバンの中をあさりだす。
Y「オートロックのチャイムを押したら音で起きるんじゃないですか?」
A「そうですよ!何回も押したらさすがに起きると…」
※「2人ともジョウキの寝起きを分かってない。これで部屋に行ってくるね!ちょっと待ってて?」
スタッフさんはカバンから鍵を取り出して私たちに見せ、ジョウキの部屋に行こうと車から降りようとするとちょうど後ろから大きめの車が来た。
※「やば…車動かさないと後ろの車が通れないや…アナちゃん!お願いこれで中に入ってジョウキを起こしてきて!」
A「へ?私がですか!?」
私がスタッフさんの言葉に呆然としているとユナが車の扉を開けて私を外に押し出した。
Y「早く起こさなきゃ遅刻する!!早くいってきなさ~い!!」
その言葉を残して2人が乗った車は動き始めた。
ポツンと取り残された私は仕方なくマンションの入り口に行き、オートロックに鍵をかざす。
すると、ガチャっと音を立てて開く自動ドア。
あの日、ジョウキと一緒に乗ったエレベーターに1人で乗り少しの違和感と緊張感が私の中にジワジワと押し寄せた。
エレベーターを降り、ジョウキの部屋の前に立つ。
念のためもう一度インターホンを押すがもちろん返事はなし。
仕方なく鍵を開け、ゆっくりと扉を開けると大好きなあの匂いが私に襲いかかった。
懐かしく感じるのは大好きなジョウキのこの匂いを覚えてしまったから。
薄暗い部屋の中に入り遠慮気味に声をかけてみる。
A「おはようございます…朝ですよ…時間ですよ…」
虚しく私の声が響くだけで返答なんてかえってくるわけがない。
寝室だと思われる扉の前に立ちゆっくりと深呼吸をして扉を開ける。
すると、規則正しい寝息を立ててうつ伏せのまま眠るジョウキがベッドの上にいた。
私はベッドサイドまでいきジョウキの肩を優しく叩いてみる。
A「ジョウキおはよう…仕事だよ?起きて…」
ジョウキは寝ぼけているのかうめき声をあげてなんとも色っぽい吐息をもらす。
J「ん…」
長いまつげに綺麗な鼻筋、プックリとした唇に色気を放つ頬の小さなホクロ。
私は気づいたら頬をなぞるようにそのホクロに触れていた。
やっぱり似てる…夢に出てくるあの子に…
だから私は自分でも気づかない間にジョウキとあの少年を重ねてジョウキのファンになってたのかな?
あの子は今どこでなにしてるんだろ?
私をチエリと呼んだあの少年は…
A「ジョジョ…」
私は無意識に彼の名前を呼び、その自分の声に驚いてジョウキの頬から手を離しもう一度、ジョウキの名前を呼ぼうと立ち上がったその瞬間!!
私は手首をグッと引かれベッドに眠るジョウキの胸に倒れこんでいた。
A「ひゃぁ!!」
J「また、俺のことジョジョって呼んだ。アナは…誰なんだ?もしかして…チエリか…?」
寝ていたと思ってたジョウキは起きていて、ジョウキの口から出たチエリという思いもよらない名前に私は驚きしかない。
A「チエリって…ジョウキ…チエリって子の事知ってるの?」
J「知ってる…アナも知ってるの?チエリって名前…」
A「たぶん…知ってる…」
J「たぶんってなんだよ。ちゃんと答えろよ。」
そう言ってジョウキはまた、腕にぎゅっと力を入れる。
A「ちょ…ちょっと待って!時計みて遅刻する!MV撮影!」
J「あ…マジでやば…!」
そう言うとジョウキは抱きしめていた私をパッと離し時計を見て慌てて準備をし始めた。
A「先に下に行くね?」
J「リビングで待ってて!!」
私はジョウキに言われるまま仕方なくリビングのソファに座り、ジョウキの支度が出来るのを待った。
つづく
MV撮影当日
私とユナは約束の時間の10分前になりドレスが入った大きめの袋を抱えた。
私とユナがマンションの下に降りると既に迎えの車が到着していた。
私が車に近づくと自動で扉が開き、車に乗り込みスタッフさんに挨拶をした。
A「おはようございます!お待たせしちゃいましたか…?」
※「おはよう~!大丈夫!今からジョウキを迎えに行くんだけど、いつも起きないからつい癖でここにも早めに来ちゃったんだ。」
スタッフさんは早朝とは思えないぐらいの爽やかな笑顔で私たちをお迎えして下さり、車を慣れた手つきで運転し始めた。
Y「確かジョウキさん寝起き悪そうな顔してますもんね?」
※「ユナちゃん言うね~」
Y「あははは~冗談です。」
※「それがあながち間違ってないってのが怖い所で…早朝のジョウキを見たらびっくりするよ!?本当テンションヤバイから!」
そんな会話を2人がしていると見覚えのあるマンションの前に車が停車した。
Y「え?もしかしてジョウキさんのマンションってここですか?まさかここまでご近所だったとは…」
そう言いながらユナは目を大きく見開いて私に問いかける。
A「うん…そうだね…」
※「ジョウキ、まだ降りてきてないな。ジョウキに電話するから待っててね?」
スタッフさんは若干、焦りながらジョウキに電話してるがどうやら電話に出ない様子。
A「出ないんですか?」
※「ヤバイ…こうなった時は起きないパターンだな…」
そう言ってスタッフさんは頭を抱えながらカバンの中をあさりだす。
Y「オートロックのチャイムを押したら音で起きるんじゃないですか?」
A「そうですよ!何回も押したらさすがに起きると…」
※「2人ともジョウキの寝起きを分かってない。これで部屋に行ってくるね!ちょっと待ってて?」
スタッフさんはカバンから鍵を取り出して私たちに見せ、ジョウキの部屋に行こうと車から降りようとするとちょうど後ろから大きめの車が来た。
※「やば…車動かさないと後ろの車が通れないや…アナちゃん!お願いこれで中に入ってジョウキを起こしてきて!」
A「へ?私がですか!?」
私がスタッフさんの言葉に呆然としているとユナが車の扉を開けて私を外に押し出した。
Y「早く起こさなきゃ遅刻する!!早くいってきなさ~い!!」
その言葉を残して2人が乗った車は動き始めた。
ポツンと取り残された私は仕方なくマンションの入り口に行き、オートロックに鍵をかざす。
すると、ガチャっと音を立てて開く自動ドア。
あの日、ジョウキと一緒に乗ったエレベーターに1人で乗り少しの違和感と緊張感が私の中にジワジワと押し寄せた。
エレベーターを降り、ジョウキの部屋の前に立つ。
念のためもう一度インターホンを押すがもちろん返事はなし。
仕方なく鍵を開け、ゆっくりと扉を開けると大好きなあの匂いが私に襲いかかった。
懐かしく感じるのは大好きなジョウキのこの匂いを覚えてしまったから。
薄暗い部屋の中に入り遠慮気味に声をかけてみる。
A「おはようございます…朝ですよ…時間ですよ…」
虚しく私の声が響くだけで返答なんてかえってくるわけがない。
寝室だと思われる扉の前に立ちゆっくりと深呼吸をして扉を開ける。
すると、規則正しい寝息を立ててうつ伏せのまま眠るジョウキがベッドの上にいた。
私はベッドサイドまでいきジョウキの肩を優しく叩いてみる。
A「ジョウキおはよう…仕事だよ?起きて…」
ジョウキは寝ぼけているのかうめき声をあげてなんとも色っぽい吐息をもらす。
J「ん…」
長いまつげに綺麗な鼻筋、プックリとした唇に色気を放つ頬の小さなホクロ。
私は気づいたら頬をなぞるようにそのホクロに触れていた。
やっぱり似てる…夢に出てくるあの子に…
だから私は自分でも気づかない間にジョウキとあの少年を重ねてジョウキのファンになってたのかな?
あの子は今どこでなにしてるんだろ?
私をチエリと呼んだあの少年は…
A「ジョジョ…」
私は無意識に彼の名前を呼び、その自分の声に驚いてジョウキの頬から手を離しもう一度、ジョウキの名前を呼ぼうと立ち上がったその瞬間!!
私は手首をグッと引かれベッドに眠るジョウキの胸に倒れこんでいた。
A「ひゃぁ!!」
J「また、俺のことジョジョって呼んだ。アナは…誰なんだ?もしかして…チエリか…?」
寝ていたと思ってたジョウキは起きていて、ジョウキの口から出たチエリという思いもよらない名前に私は驚きしかない。
A「チエリって…ジョウキ…チエリって子の事知ってるの?」
J「知ってる…アナも知ってるの?チエリって名前…」
A「たぶん…知ってる…」
J「たぶんってなんだよ。ちゃんと答えろよ。」
そう言ってジョウキはまた、腕にぎゅっと力を入れる。
A「ちょ…ちょっと待って!時計みて遅刻する!MV撮影!」
J「あ…マジでやば…!」
そう言うとジョウキは抱きしめていた私をパッと離し時計を見て慌てて準備をし始めた。
A「先に下に行くね?」
J「リビングで待ってて!!」
私はジョウキに言われるまま仕方なくリビングのソファに座り、ジョウキの支度が出来るのを待った。
つづく
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