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56話
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アナside
突然のトウヤの告白から私は落ち着いてなんかいられなかった。
テンパる私はソワソワしてお酒ばかりが進んだ。
トウヤはあれから私を見つめては微笑んでくる。
ユナがベロベロに酔っ払ってるから私がしっかりしなきゃいけないと思いつつも正直、飲まなきゃ平常心を保ってられない。
食事会も終盤に差し掛かりこの会はハヤセが奢ってくれる事になった。
A「ハヤセ太っ腹!さすがその腕時計付けてるだけあるわ!」
金色に輝く腕時計を指差しながら私が言うとハヤセはここぞとばかりに腕を捲り高そうな高級時計を私たちに見せびらかす。
H「当たり前だろ~!アナとユナにだったらいつでも奢ってあげちゃう!」
Y「そんな調子いい事言って。本当は私とアナのカラダが目当てなのね~!やだ~やらしい~!」
絶対にありえない事をユナがふざけた様子で言ってユナは胸を両手で隠していた。
H 「あはは~バカなんじゃない~?残念ながら俺は女に不自由してませんのでご心配なく!!」
ハヤセも負けずにふざけた顔してユナに対抗しててマハロはそんな2人を見て笑っているのに、ちらっとトウヤを見るとトウヤは私を見ていて目が合った。
H「じゃ、タクシー来たみたいだから出よか?」
ハヤセはなんだかんだ言いながらも面倒をよく見てくれて酔っ払いの私が転ばないように気にかけてくれている。
ユナはガッチリとマハロに腕を掴まれるが千鳥足でフラフラだ。
トウヤもついて来てるか確認すると、転ばないようハヤセが腕を取ってくれてる私を見て、不貞腐れた顔で私たちの後ろをトコトコとついて来る。
そして、マハロとユナはタクシーに乗り込んだ。
A「待って!私とユナ、同じ方向だから一緒に帰るよ?」
私の言葉にハヤセが私の頭を人差し指でコツンと突っついた。
H「アナはほんと空気読めないよね?おバカなの?ねぇ?マハロ~ユナのこと頼んだよ!」
ハヤセはそう言ってマハロに手を上げ合図を送った。
A「バカとは失礼な!方向一緒だからって言っただけなのに!」
私がハヤセにムキになっているとスッと後ろから手を引かれ、振り返るとそこにはトウヤがいて私の手はなぜかトウヤの手と繋ぎ合わせられている。
T「アナ帰るよ。ハヤセくんご馳走さま!じゃね?」
A「うぇ!?へ?は?」
私がテンパってオロオロしているとハヤセは大きな口を開けて笑いながら手を振った。
H「はいはーい!お疲れちゃ~ん!」
そして、気づけばタクシーの扉は閉まり笑顔のハヤセがだんだんと小さくなっていく。
T「ちょっと話しがしたいから俺の部屋来てね…」
トウヤは私に有無を言わせずにタクシーの運転手場所を告げた。
まだ、私の手はトウヤに繋がれたままで心臓がドキドキて早く動く。
どうしよ…こんな状況で意識しないわけがない。
告白されたあとに手を繋がれるだなんて気になるに決まってんじゃん。
私と手を握ったまま前かがみで運転手と話しているトウヤの襟足を見ながら私はそう思った。
一度だけ入り口まできたトウヤのマンション。
中に入るのは初めてで私の心臓がうるさい。
T「どうぞ…入って?」
トウヤはスリッパを私に出してリビングへと移動する。
ゆっくりと私もトウヤの背中についていった。
トウヤの部屋は可愛いインテリアが多いのに優しい照明のおかげで落ち着いた雰囲気となっていて、黒の革張りのソファが存在感をアピールしている。
T「ソファに座ってて?ココアでいいよね?」
トウヤはジャケットを脱ぎながら私に問いかける。
A「うん…ありがとう…」
トウヤはジャケットを慣れた手つきでヒョイっと掛けて、後ろにあるデッキのボタンをポチっと押した。
すると、心地よいジャズが流れはじめた。
トウヤいつもこんなお洒落な音楽聴いてるんだ…そんな事を考えながらソファに座っていると飲みすぎたお酒が今になってさらに回りはじめ、部屋の温かさと心地よい音楽により私は眠気に襲われた。
何度も目を大きく開いては閉じかける…
そうしているうちに私は意識を手放してしまった。
そして、私はまたあの夢を見た。
ブランコで1人泣いてる幼き頃の私。
不安でさみしくて悲しいという感情が私を襲う。
するといつも夢に出てくる少年がやって来て私に言うんだ。
「泣くな!泣いたら弱くなる!笑え!」
そう言って私の手をギュッと握りウサギのキーホルダー私の手に持たせる。
私はハッと目を覚ましあまりにもリアルな感触で戸惑っていると、見慣れない部屋のベッドで私は横になっていた。
背中から伝わる心地よい温もりと感触を感じ、自分の手を見ると大きな手が私の手をギュッと包み込んでいる。
そして、ゆっくり後ろを振り返ると少し口を開けて眠っている無防備なトウヤがいた。
私…眠っちゃったんだ…トウヤがここまで運んでくれたんだね。
そんな事を思うと愛しさがこみ上げてきて私はゆっくりとトウヤの方に寝返りをしてトウヤの胸に顔をうずめた。
トウヤの優しく甘い香りが私の鼻を刺激する。
このまま一緒にいれたら幸せだろうな…
トウヤの頬を撫で、私の心がそう欲張りかけた時…
私はハッと我にかえりゆっくりとトウヤから離れた。
暗闇の中、寝室を出てリビングへと向かいスマホを手に取った。
ユナからのメール通知が出ていたので開くと、トークページで下の方にあったはずのジョウキの名前がユナの下に表示されていた。
あれ?ジョウキとはあれからメールしてないはずなのに…
私は不思議に思いジョウキのトークのページを開くと見覚えのないメッセージが届いていた。
時間を見るとちょうどジョウキの部屋についた後だった。
私はその内容をみてメールの返信する。
A「ごめん。アプリが不具合起きてたみたいで今気づいた…。もう、遅いから…また連絡します。」
私はそうジョウキにメールをしてトウヤの部屋をそっと出た。
つづく
突然のトウヤの告白から私は落ち着いてなんかいられなかった。
テンパる私はソワソワしてお酒ばかりが進んだ。
トウヤはあれから私を見つめては微笑んでくる。
ユナがベロベロに酔っ払ってるから私がしっかりしなきゃいけないと思いつつも正直、飲まなきゃ平常心を保ってられない。
食事会も終盤に差し掛かりこの会はハヤセが奢ってくれる事になった。
A「ハヤセ太っ腹!さすがその腕時計付けてるだけあるわ!」
金色に輝く腕時計を指差しながら私が言うとハヤセはここぞとばかりに腕を捲り高そうな高級時計を私たちに見せびらかす。
H「当たり前だろ~!アナとユナにだったらいつでも奢ってあげちゃう!」
Y「そんな調子いい事言って。本当は私とアナのカラダが目当てなのね~!やだ~やらしい~!」
絶対にありえない事をユナがふざけた様子で言ってユナは胸を両手で隠していた。
H 「あはは~バカなんじゃない~?残念ながら俺は女に不自由してませんのでご心配なく!!」
ハヤセも負けずにふざけた顔してユナに対抗しててマハロはそんな2人を見て笑っているのに、ちらっとトウヤを見るとトウヤは私を見ていて目が合った。
H「じゃ、タクシー来たみたいだから出よか?」
ハヤセはなんだかんだ言いながらも面倒をよく見てくれて酔っ払いの私が転ばないように気にかけてくれている。
ユナはガッチリとマハロに腕を掴まれるが千鳥足でフラフラだ。
トウヤもついて来てるか確認すると、転ばないようハヤセが腕を取ってくれてる私を見て、不貞腐れた顔で私たちの後ろをトコトコとついて来る。
そして、マハロとユナはタクシーに乗り込んだ。
A「待って!私とユナ、同じ方向だから一緒に帰るよ?」
私の言葉にハヤセが私の頭を人差し指でコツンと突っついた。
H「アナはほんと空気読めないよね?おバカなの?ねぇ?マハロ~ユナのこと頼んだよ!」
ハヤセはそう言ってマハロに手を上げ合図を送った。
A「バカとは失礼な!方向一緒だからって言っただけなのに!」
私がハヤセにムキになっているとスッと後ろから手を引かれ、振り返るとそこにはトウヤがいて私の手はなぜかトウヤの手と繋ぎ合わせられている。
T「アナ帰るよ。ハヤセくんご馳走さま!じゃね?」
A「うぇ!?へ?は?」
私がテンパってオロオロしているとハヤセは大きな口を開けて笑いながら手を振った。
H「はいはーい!お疲れちゃ~ん!」
そして、気づけばタクシーの扉は閉まり笑顔のハヤセがだんだんと小さくなっていく。
T「ちょっと話しがしたいから俺の部屋来てね…」
トウヤは私に有無を言わせずにタクシーの運転手場所を告げた。
まだ、私の手はトウヤに繋がれたままで心臓がドキドキて早く動く。
どうしよ…こんな状況で意識しないわけがない。
告白されたあとに手を繋がれるだなんて気になるに決まってんじゃん。
私と手を握ったまま前かがみで運転手と話しているトウヤの襟足を見ながら私はそう思った。
一度だけ入り口まできたトウヤのマンション。
中に入るのは初めてで私の心臓がうるさい。
T「どうぞ…入って?」
トウヤはスリッパを私に出してリビングへと移動する。
ゆっくりと私もトウヤの背中についていった。
トウヤの部屋は可愛いインテリアが多いのに優しい照明のおかげで落ち着いた雰囲気となっていて、黒の革張りのソファが存在感をアピールしている。
T「ソファに座ってて?ココアでいいよね?」
トウヤはジャケットを脱ぎながら私に問いかける。
A「うん…ありがとう…」
トウヤはジャケットを慣れた手つきでヒョイっと掛けて、後ろにあるデッキのボタンをポチっと押した。
すると、心地よいジャズが流れはじめた。
トウヤいつもこんなお洒落な音楽聴いてるんだ…そんな事を考えながらソファに座っていると飲みすぎたお酒が今になってさらに回りはじめ、部屋の温かさと心地よい音楽により私は眠気に襲われた。
何度も目を大きく開いては閉じかける…
そうしているうちに私は意識を手放してしまった。
そして、私はまたあの夢を見た。
ブランコで1人泣いてる幼き頃の私。
不安でさみしくて悲しいという感情が私を襲う。
するといつも夢に出てくる少年がやって来て私に言うんだ。
「泣くな!泣いたら弱くなる!笑え!」
そう言って私の手をギュッと握りウサギのキーホルダー私の手に持たせる。
私はハッと目を覚ましあまりにもリアルな感触で戸惑っていると、見慣れない部屋のベッドで私は横になっていた。
背中から伝わる心地よい温もりと感触を感じ、自分の手を見ると大きな手が私の手をギュッと包み込んでいる。
そして、ゆっくり後ろを振り返ると少し口を開けて眠っている無防備なトウヤがいた。
私…眠っちゃったんだ…トウヤがここまで運んでくれたんだね。
そんな事を思うと愛しさがこみ上げてきて私はゆっくりとトウヤの方に寝返りをしてトウヤの胸に顔をうずめた。
トウヤの優しく甘い香りが私の鼻を刺激する。
このまま一緒にいれたら幸せだろうな…
トウヤの頬を撫で、私の心がそう欲張りかけた時…
私はハッと我にかえりゆっくりとトウヤから離れた。
暗闇の中、寝室を出てリビングへと向かいスマホを手に取った。
ユナからのメール通知が出ていたので開くと、トークページで下の方にあったはずのジョウキの名前がユナの下に表示されていた。
あれ?ジョウキとはあれからメールしてないはずなのに…
私は不思議に思いジョウキのトークのページを開くと見覚えのないメッセージが届いていた。
時間を見るとちょうどジョウキの部屋についた後だった。
私はその内容をみてメールの返信する。
A「ごめん。アプリが不具合起きてたみたいで今気づいた…。もう、遅いから…また連絡します。」
私はそうジョウキにメールをしてトウヤの部屋をそっと出た。
つづく
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