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32話
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アナside
隣に座るジョウキの横顔を見てやっぱりこの人の事好きだな…なんてファンを辞めるとか言いながらも未練たらしい事を考えながらグラスの中で輝くカシスソーダに手を伸ばす。
私はユラユラと揺れるカシスソーダを眺めながら音楽に耳を傾けているとジョウキが口を開いた。
J「飲んだくれがカシスソーダなんて随分と可愛い酒飲むんだね?」
ジョウキは私の方を見るわけでもなく目の前のカウンターに沢山ならんだお酒のボトルを眺めながら言った。
A「飲んだくれじゃないでね。」
J「ふっw」
私の言葉にジョウキがわざとらしく笑い私の方に視線を向けた。
そしてゆっくりと私の横に置かれれているバッグに視線を落とす。
J「スマホなってるよ?」
そう言ってジョウキはウイスキーをひと口飲み私から視線を外した。
そして私はバッグの中からスマホを取り出し着信相手の表示を確認した。
A「トウ…ぁッ!」
思わず口に出しそうになってしまった名前を辛うじてグッと飲み込んだが隣に座るジョウキは一瞬、動きが止まった。
そして、私は席を外して着信を取ろうと思い長い脚の椅子から立ち上がろうとテーブルに手をつくと手首をギュっとジョウキに掴まれた。
A「あ…ごめん…電話だから…あっちで出…」
J「出ないで。」
ジョウキは私の言葉にかぶせ気味にそう言ってまた、ギュっと私の手首に力を込める。
A「ぃ…痛い…」
J「電話…でるなよ…頼む…」
ジョウキの瞳はキャンドルに照らされて揺ら揺らと揺れ動き、私の心も同じように揺れ動く。
A「分かった…」
私が椅子に座りなおすと手首はそっと解放された。
なのに手首にはジョウキの手のひらの感触が鮮明に残りドクドクと脈を打つ。
A「で…私はなんでここに呼び出されたんでしょうか?」
私は改めてここに呼び出された理由をジョウキに問いかけた。
すると片方の口角をグイッと上げてこう言った。
J「また、惚れさせるため…かな?」
A「はぁ?」
私はなんとも自信過剰な言葉に度肝を抜かれた。
そして改めて気づく…
やっぱりキャーキャー言ってた時の方が幸せだった…と。
私も軽く見られたもんだ…頭ではそう思っているのに私の心臓は勝手に早く動き出しギュっと苦しくなる。
A「残念ながらそのご期待には添えませんね…失礼します!」
私が立ち上がりバッグを持って入り口に向かおうとするとジョウキはニヤッと笑って言った。
J「その言葉…あとで後悔する事になるよ?」
ジョウキの腰あたりでクマのキーホルダーがユラユラと揺れている。
ジョウキは余裕な表情で残りのウイスキーを一気に飲み干し、私は店を出た。
つづく
隣に座るジョウキの横顔を見てやっぱりこの人の事好きだな…なんてファンを辞めるとか言いながらも未練たらしい事を考えながらグラスの中で輝くカシスソーダに手を伸ばす。
私はユラユラと揺れるカシスソーダを眺めながら音楽に耳を傾けているとジョウキが口を開いた。
J「飲んだくれがカシスソーダなんて随分と可愛い酒飲むんだね?」
ジョウキは私の方を見るわけでもなく目の前のカウンターに沢山ならんだお酒のボトルを眺めながら言った。
A「飲んだくれじゃないでね。」
J「ふっw」
私の言葉にジョウキがわざとらしく笑い私の方に視線を向けた。
そしてゆっくりと私の横に置かれれているバッグに視線を落とす。
J「スマホなってるよ?」
そう言ってジョウキはウイスキーをひと口飲み私から視線を外した。
そして私はバッグの中からスマホを取り出し着信相手の表示を確認した。
A「トウ…ぁッ!」
思わず口に出しそうになってしまった名前を辛うじてグッと飲み込んだが隣に座るジョウキは一瞬、動きが止まった。
そして、私は席を外して着信を取ろうと思い長い脚の椅子から立ち上がろうとテーブルに手をつくと手首をギュっとジョウキに掴まれた。
A「あ…ごめん…電話だから…あっちで出…」
J「出ないで。」
ジョウキは私の言葉にかぶせ気味にそう言ってまた、ギュっと私の手首に力を込める。
A「ぃ…痛い…」
J「電話…でるなよ…頼む…」
ジョウキの瞳はキャンドルに照らされて揺ら揺らと揺れ動き、私の心も同じように揺れ動く。
A「分かった…」
私が椅子に座りなおすと手首はそっと解放された。
なのに手首にはジョウキの手のひらの感触が鮮明に残りドクドクと脈を打つ。
A「で…私はなんでここに呼び出されたんでしょうか?」
私は改めてここに呼び出された理由をジョウキに問いかけた。
すると片方の口角をグイッと上げてこう言った。
J「また、惚れさせるため…かな?」
A「はぁ?」
私はなんとも自信過剰な言葉に度肝を抜かれた。
そして改めて気づく…
やっぱりキャーキャー言ってた時の方が幸せだった…と。
私も軽く見られたもんだ…頭ではそう思っているのに私の心臓は勝手に早く動き出しギュっと苦しくなる。
A「残念ながらそのご期待には添えませんね…失礼します!」
私が立ち上がりバッグを持って入り口に向かおうとするとジョウキはニヤッと笑って言った。
J「その言葉…あとで後悔する事になるよ?」
ジョウキの腰あたりでクマのキーホルダーがユラユラと揺れている。
ジョウキは余裕な表情で残りのウイスキーを一気に飲み干し、私は店を出た。
つづく
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