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27話

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ユナside

何度も鳴り響く私のスマホをアナが勝手に取り上げ勝手に出た。

そして、なにやら目の前にいるアナの顔はみるみるうちに真っ赤に染まり、なぜかモジモジしながら私にスマホを押し返した。

私は仕方なく返されたスマホに耳をあてる。

Y「もしもし……」

M「はぁ~なんで俺の電話出てくれないの?」

ため息まじりに受話器の向こうでマハロがそう言った。

Y「あぁ…気づかなかった…」

M「アナちゃんは気づいてたのに?」

Y「あはは~ごめん…」

マハロのごもっともな言葉に私は苦笑いしか出てこず、胸の奥がチクっと痛む。

M「今から会いたい…ダメかな?」

マハロの甘い声が私の鼓膜と涙腺を刺激する。

ダメだ…私の弱い心が溢れ出てもう、今にも泣きそうだ…

Y「ダメ…もう会わないよ…」

きっと今、マハロに会ってしまったらもっとマハロに会いたくなる。

もっとマハロを求めてしまいそうになる…

私の出た言葉に目の前のアナが目を丸くして驚いていた。

M「なんで?」

Y「…….ごめん…もう…切るね!じゃ…!!」
 
M「ちょっと待っ」

私はマハロの言葉を最後まで聞き終わる前に電話を切った。

目の前のアナは心配そうな目で私をみる。

A「ユナ…そんな電話の切り方して良かったの?」

Y「良かったのよ!これで良いの!ってか、私のことよりそっちはどうなってんのよ~!連絡来てんじゃないの~トウヤから!」

自分に言い聞かせるように私はアナにそう言って話の話題をアナに変えた。

アナは納得がいかないように少し口を尖らせながら仕方なさそうにカバンからスマホを取り出す。

そして、アナは画面を見たまましばらく固まった。 

Y「アナ?どうしたの?」

A「なんか…し…知らない番号から何回も着信が入ってる…」

あきらかにアナの顔は怯えていて困惑している。

Y「え?掛け直してみたら?知り合いが番号変えただけかもしれないじゃん?」

A「うん…いや…いい!なんか用があればまたかかって来るだろうし!変な電話だったら怖いし……」
Y「変な電話って…まさか…ストーカー…?」

A「え…やめてよ…怖いじゃん……」

Y「だってアナが変なこと言うから……」 

すると、アナのスマホが鳴り響いた。

アナはまたスマホの画面を見て硬直する。

Y「なに!?また!?もう貸して!私がちょっと言ってやる!!」

今度は私がアナのスマホを奪い取り、着信を出た。

Y「どちら様ですか!?」

勢いよく言った私はこの後、相手を確認しなかった事を深く後悔することになる。


つづく
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