26 / 196
26話
しおりを挟む
アナside
会場を出て歩いて数分の所にある小さなレストランへと私たちは入った。
とりあえず生ビールを注文し涙と汗でカラカラに渇き切った身体を潤す。
「カンパーイ!!」
A「はぁ~ライブ後の酒は最後だ~!!」
Y「本当…最高のライブだったね!?」
そう言ったユナが珍しくグラスに入ったビールを眺めながら長いまつ毛に影を落としている。
お互い特にこれといった話をするわけでもなく、ビールを飲んでは小洒落たツマミに箸をつける。
そしてユナがゆっくりと口を開いた。
Y「さっきさ?楽屋で元旦那の新しい奥さんにもうゴナと会わないでくれって言われちゃった…」
そう言ったユナの声は少し震えていてじんわりと目に涙がたまっている。
A「え…リリさんって人…?」
ユナは微かに微笑み、ゆっくりと髪をかきあげる。
Y「そう…ゴナと会う時に何度かあの人と会った事はあるんだけどね…でも、とうとう言われちゃったか~って感じ…」
A「そんな…ゴナは会いたがってたじゃん!そんなのリリさんが決める権利な…」
Y「あるよ…」
A「え?」
Y「ある…これからゴナの母親になって育てるのはあの人なんだから…決める権利はある…」
私はユナの言葉を聞いて出てくる言葉が見つからなかった。
すると、ユナのスマホが慌ただしく動き出した。
ユナはスマホを手に取りチラッとディスプレイを確認してまた同じ場所に置いた。
A「出なくていいの?」
Y「うん…」
動きが止んだスマホはまた、存在をアピールするかのように激しく動きだした。
A「鳴ってるよ?急ぎかもしれないし出なよ!」
Y「出ない…」
A「なんでよ…?」
Y「今の私がこの電話に出たら…きっとこの人の優しさに甘えちゃうから……」
ユナの言葉にピンっときた私はユナのスマホを素早く奪い着信を取った。
Y「ちょっと!」
A「もしもし!」
M「え…あ…もしもし?」
やっぱり!!私の勘は当たり電話の相手はマハロからだった。
テーブルを挟んだ向かい側に座るユナは手を伸ばして私からスマホを奪おうとする。
A「ユナは今、落ち込んでるです!マハロくんが慰めてやって下さい!」
Y「アナ!!何言ってんよ!」
すると受話器の向こうのマハロはクスクスッと笑いながらこう言った。
M「俺もそのつもりで電話したんだよ…?」
マハロの優しくて甘い言葉を聞いた私は顔から火が出るぐらいに…照れた。
Y「アミ?なに…照れてんの?」
私は不思議そうな顔をしたユナに力尽くでスマホを押し返した。
つづく
会場を出て歩いて数分の所にある小さなレストランへと私たちは入った。
とりあえず生ビールを注文し涙と汗でカラカラに渇き切った身体を潤す。
「カンパーイ!!」
A「はぁ~ライブ後の酒は最後だ~!!」
Y「本当…最高のライブだったね!?」
そう言ったユナが珍しくグラスに入ったビールを眺めながら長いまつ毛に影を落としている。
お互い特にこれといった話をするわけでもなく、ビールを飲んでは小洒落たツマミに箸をつける。
そしてユナがゆっくりと口を開いた。
Y「さっきさ?楽屋で元旦那の新しい奥さんにもうゴナと会わないでくれって言われちゃった…」
そう言ったユナの声は少し震えていてじんわりと目に涙がたまっている。
A「え…リリさんって人…?」
ユナは微かに微笑み、ゆっくりと髪をかきあげる。
Y「そう…ゴナと会う時に何度かあの人と会った事はあるんだけどね…でも、とうとう言われちゃったか~って感じ…」
A「そんな…ゴナは会いたがってたじゃん!そんなのリリさんが決める権利な…」
Y「あるよ…」
A「え?」
Y「ある…これからゴナの母親になって育てるのはあの人なんだから…決める権利はある…」
私はユナの言葉を聞いて出てくる言葉が見つからなかった。
すると、ユナのスマホが慌ただしく動き出した。
ユナはスマホを手に取りチラッとディスプレイを確認してまた同じ場所に置いた。
A「出なくていいの?」
Y「うん…」
動きが止んだスマホはまた、存在をアピールするかのように激しく動きだした。
A「鳴ってるよ?急ぎかもしれないし出なよ!」
Y「出ない…」
A「なんでよ…?」
Y「今の私がこの電話に出たら…きっとこの人の優しさに甘えちゃうから……」
ユナの言葉にピンっときた私はユナのスマホを素早く奪い着信を取った。
Y「ちょっと!」
A「もしもし!」
M「え…あ…もしもし?」
やっぱり!!私の勘は当たり電話の相手はマハロからだった。
テーブルを挟んだ向かい側に座るユナは手を伸ばして私からスマホを奪おうとする。
A「ユナは今、落ち込んでるです!マハロくんが慰めてやって下さい!」
Y「アナ!!何言ってんよ!」
すると受話器の向こうのマハロはクスクスッと笑いながらこう言った。
M「俺もそのつもりで電話したんだよ…?」
マハロの優しくて甘い言葉を聞いた私は顔から火が出るぐらいに…照れた。
Y「アミ?なに…照れてんの?」
私は不思議そうな顔をしたユナに力尽くでスマホを押し返した。
つづく
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
悪役って楽しい
おきょう
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、頭を打ったことがきっかけで自分が乙女ゲームの悪役令嬢なのだと気づいてしまった。
しかしヒロインの泣き顔が可愛すぎた。真っ赤になって震える姿が素敵すぎた。
そんな生まれ持ったドS気質ゆえ、どうしてもイジメをやめられない。
※他サイトで掲載したものの改稿版になります
愛玩犬は、銀狼に愛される
きりか
BL
《漆黒の魔女》の呪いにより、 僕は、昼に小型犬(愛玩犬?)の姿になり、夜は人に戻れるが、ニコラスは逆に、夜は狼(銀狼)、そして陽のあるうちには人に戻る。
そして僕らが人として会えるのは、朝日の昇るときと、陽が沈む一瞬だけ。
呪いがとけると言われた石、ユリスを求めて旅に出るが…
[本編完結]彼氏がハーレムで困ってます
はな
BL
佐藤雪には恋人がいる。だが、その恋人はどうやら周りに女の子がたくさんいるハーレム状態らしい…どうにか、自分だけを見てくれるように頑張る雪。
果たして恋人とはどうなるのか?
主人公 佐藤雪…高校2年生
攻め1 西山慎二…高校2年生
攻め2 七瀬亮…高校2年生
攻め3 西山健斗…中学2年生
初めて書いた作品です!誤字脱字も沢山あるので教えてくれると助かります!
とびきりのクズに一目惚れし人生が変わった俺のこと
未瑠
BL
端正な容姿と圧倒的なオーラをもつタクトに一目惚れしたミコト。ただタクトは金にも女にも男にもだらしがないクズだった。それでも惹かれてしまうタクトに唐突に「付き合おう」と言われたミコト。付き合い出してもタクトはクズのまま。そして付き合って初めての誕生日にミコトは冷たい言葉で振られてしまう。
それなのにどうして連絡してくるの……?
【完結】ええと?あなたはどなたでしたか?
ここ
恋愛
アリサの婚約者ミゲルは、婚約のときから、平凡なアリサが気に入らなかった。
アリサはそれに気づいていたが、政略結婚に逆らえない。
15歳と16歳になった2人。ミゲルには恋人ができていた。マーシャという綺麗な令嬢だ。邪魔なアリサにこわい思いをさせて、婚約解消をねらうが、事態は思わぬ方向に。
完結 お飾り正妃も都合よい側妃もお断りします!
音爽(ネソウ)
恋愛
正妃サハンナと側妃アルメス、互いに支え合い国の為に働く……なんて言うのは幻想だ。
頭の緩い正妃は遊び惚け、側妃にばかりしわ寄せがくる。
都合良く働くだけの側妃は疑問をもちはじめた、だがやがて心労が重なり不慮の事故で儚くなった。
「ああどうして私は幸せになれなかったのだろう」
断末魔に涙した彼女は……
ただ、愛しただけ…
きりか
恋愛
愛していただけ…。あの方のお傍に居たい…あの方の視界に入れたら…。三度の生を生きても、あの方のお傍に居られなかった。
そして、四度目の生では、やっと…。
なろう様でも公開しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる