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26話

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アナside

会場を出て歩いて数分の所にある小さなレストランへと私たちは入った。

とりあえず生ビールを注文し涙と汗でカラカラに渇き切った身体を潤す。

「カンパーイ!!」

A「はぁ~ライブ後の酒は最後だ~!!」

Y「本当…最高のライブだったね!?」

そう言ったユナが珍しくグラスに入ったビールを眺めながら長いまつ毛に影を落としている。

お互い特にこれといった話をするわけでもなく、ビールを飲んでは小洒落たツマミに箸をつける。

そしてユナがゆっくりと口を開いた。

Y「さっきさ?楽屋で元旦那の新しい奥さんにもうゴナと会わないでくれって言われちゃった…」

そう言ったユナの声は少し震えていてじんわりと目に涙がたまっている。

A「え…リリさんって人…?」

ユナは微かに微笑み、ゆっくりと髪をかきあげる。

Y「そう…ゴナと会う時に何度かあの人と会った事はあるんだけどね…でも、とうとう言われちゃったか~って感じ…」

A「そんな…ゴナは会いたがってたじゃん!そんなのリリさんが決める権利な…」

Y「あるよ…」

A「え?」

Y「ある…これからゴナの母親になって育てるのはあの人なんだから…決める権利はある…」

私はユナの言葉を聞いて出てくる言葉が見つからなかった。

すると、ユナのスマホが慌ただしく動き出した。

ユナはスマホを手に取りチラッとディスプレイを確認してまた同じ場所に置いた。

A「出なくていいの?」

Y「うん…」

動きが止んだスマホはまた、存在をアピールするかのように激しく動きだした。

A「鳴ってるよ?急ぎかもしれないし出なよ!」

Y「出ない…」

A「なんでよ…?」

Y「今の私がこの電話に出たら…きっとこの人の優しさに甘えちゃうから……」

ユナの言葉にピンっときた私はユナのスマホを素早く奪い着信を取った。

Y「ちょっと!」

A「もしもし!」

M「え…あ…もしもし?」

やっぱり!!私の勘は当たり電話の相手はマハロからだった。

テーブルを挟んだ向かい側に座るユナは手を伸ばして私からスマホを奪おうとする。

A「ユナは今、落ち込んでるです!マハロくんが慰めてやって下さい!」 

Y「アナ!!何言ってんよ!」

すると受話器の向こうのマハロはクスクスッと笑いながらこう言った。

M「俺もそのつもりで電話したんだよ…?」

マハロの優しくて甘い言葉を聞いた私は顔から火が出るぐらいに…照れた。

Y「アミ?なに…照れてんの?」

私は不思議そうな顔をしたユナに力尽くでスマホを押し返した。


つづく
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