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21話
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アナside
あぁ…タイミング悪いな…私は…よりによってジョウキがあんな事を言ってる時に行かなくてもいいのに…
しかも、ジョウキはユナが楽屋に行くのは迷惑じゃないのに私が行くのは迷惑なんだ。
なんか泣ける…ユナは綺麗だもんね…ユナはジョウキのタイプだもんね!知ってるもん!知ってるもんもぉ~ジョウキのバァカ~!
なんて心の中で叫びながら楽屋を飛び出して右も左も分からずとりあえず無我夢中に走った。
すると、ひと気の少ない出入り口を見つけやっと外に出れると思い扉を開けるとそこは外は外なのだが塀に囲まれていた。
あぁ…もう…どこなのここ…完全に迷子だこれ…
そう半泣きになっている私はあまりにも自分が身軽になっていることに気づき我にかえる。
ゲッ…悲しさとショックのあまりカバン…落とした…
力尽きた私はしゃがみ込みパニックになった頭を整理し落ち着かせる。
楽屋に行かなければあんな言葉を聞くこともなかった。
まず、そもそもあのカフェに行かなければジョウキにムカついたりしなかった。
あの日、ジョウキに出会わなければ憧れのままの存在だったのに…
私が勝手に作りあげていたジョウキは見事に崩れ落ち、今やジョウキは嫌な奴へと変わってしまった。
やっぱ…現実を知らないのが華なんだね…
よ~く分かりました!身に沁みて分かりました!
私はぼ~っとそんな事を考えていると誰かがしゃがみ込みながら脇腹を突ついてきた。
ヒャッ!!と飛び上がりその方向をゆっくり見るとなんとそこには私の王子様から嫌なやつへとレベルダウンしたジョウキがいた。
J「なにやってんだ?」
今や1番会いたくない人となってしまったその人は隣で眉間にシワを寄せている。
A「迷子」
J「あっそ」
自分で聞いといて全く関心のなさそうな返事をするなら聞かなきゃいいのにと心の中で悪態をつきながら、他に頼れる人がいない私は仕方なく問いかける。
A「出口どっち?」
J「さぁ?知らねぇ」
絶対に知ってるくせに教えてくれないとか…本当に嫌な奴なんだけど!?ますます幻滅していく私の推しだった人(既に過去形)に小さなため息をつきながら問いかける。
A「じゃ、楽屋はどっち?」
J「自分で探せば?」
ジョウキは私の反応を楽しむようにしれ~っとした顔してそんな事を言い、本当に苛立ち始めた私は勢いよく立ち上がる。
A「もういい!」
J「俺は良くない!」
A「はぁ?意味わかんない!」
J「何、トウヤくんと連絡先交換してんだよ!」
A「ジョウキには関係ないでしょ!?」
J「ある。」
A「ない!」
J「ある!」
私とジョウキが子供みたいな言い争いをしているとそんな言い合いを止めるようにトウヤが現れた。
T「やっと見つけた…」
トウヤが息を切らしながら私たちの方へと駆け寄る。
T「アナ…あんま心配させんなよ…ゴホッゴホッゴホ」
すると、トウヤは激しく咳き込み苦しそうな表情をしながらその場に倒れ込んだ。
A「トウヤ!トウヤ!?大丈夫!?」
私は慌ててトウヤに駆け寄り、トウヤを抱き上げトウヤの上半身を膝に乗せると頬を優しく両手で包み込んだ。
J「トウヤくん!大丈夫!?」
後ろからジョウキが駆け寄ってきてトウヤの意識を確認する。
J「トウヤ!トウヤ!」
ジョウキがトウヤの首筋に触れた途端、ジョウキの眉間のシワが深くなった。
J「熱がある…おいアナ!行くぞ!」
ジョウキはトウヤを抱えながら立ち上がり、自分の肩にトウヤの腕を回して歩き始めた。
トウヤはボンヤリとした意識のまま歩くのがやっとの状態だった。
私は突然の事で立ちすくみ2人の背中をぼーっと眺めていた。
J「おい!バカ!早くしねぇと置いてくぞ!」
A「あ…うん…」
私は慌てて2人の背中を追いかけてトウヤの横について歩いた。
J「悪いけど、そっちも支えてやってくんね?」
急にジョウキが優しい眼差しでトウヤを見ながらそんな事を言うもんだから、少し戸惑ってしまったが私は言われた通りトウヤの腕を自分の肩へ回した。
しばらく歩くと見覚えのある廊下に辿り着きジョウキがある部屋の扉を開けて中へと私たちは入った。
J「アナ、ここにトウヤくんを寝かせるぞ!」
そう言って顎で示した先には簡易ベッドがあった。
トウヤをゆっくりとそこへ寝かせて、私はトウヤの靴を脱がせて横に置いてあったブランケットをそっとトウヤにかぶせた。
J「たぶん、トウヤくん熱がある…」
そうジョウキが話していすると勢いよく扉を開けて冷や汗をかいた黒縁メガネのマネージャーさんが登場した。
マネ「なに!?トウヤどうしたの!?」
J「とりあえず、あっちで話しましょ…」
ジョウキがそう言ってマネージャーさんと廊下に出て行き、トウヤも眠ってるので私はとりあえずカバンを取りに楽屋に取りに行こうと思いトウヤの元から離れようとすると、トウヤの弱々しい声が聞こえた。
T「待って…1人にしないで…」
微かに瞼を開けたトウヤが私の手首をそっと掴みそう言った。
A「ぁ…ん…分かった…」
そして私は横にあった椅子に座り、トウヤの様子を眺めているとジョウキがそっと扉を開けて中へと戻ってきた。
J「マネージャーが今、薬と冷えピタ取りに行ってる…じゃ…俺楽屋に戻るわ…」
A「待って!あ…あのさ?お願いがあるんだけど…私のカバン持ってきて貰えない?」
私はどうせ断られるだろうと思いながらもダメ元でジョウキにお願いをした。
J「カバン?あぁ~分かった。今、取ってくるわ。」
すると、ジョウキは予想とは反対に意外にもあっさりと承諾してくれた。
つづく
あぁ…タイミング悪いな…私は…よりによってジョウキがあんな事を言ってる時に行かなくてもいいのに…
しかも、ジョウキはユナが楽屋に行くのは迷惑じゃないのに私が行くのは迷惑なんだ。
なんか泣ける…ユナは綺麗だもんね…ユナはジョウキのタイプだもんね!知ってるもん!知ってるもんもぉ~ジョウキのバァカ~!
なんて心の中で叫びながら楽屋を飛び出して右も左も分からずとりあえず無我夢中に走った。
すると、ひと気の少ない出入り口を見つけやっと外に出れると思い扉を開けるとそこは外は外なのだが塀に囲まれていた。
あぁ…もう…どこなのここ…完全に迷子だこれ…
そう半泣きになっている私はあまりにも自分が身軽になっていることに気づき我にかえる。
ゲッ…悲しさとショックのあまりカバン…落とした…
力尽きた私はしゃがみ込みパニックになった頭を整理し落ち着かせる。
楽屋に行かなければあんな言葉を聞くこともなかった。
まず、そもそもあのカフェに行かなければジョウキにムカついたりしなかった。
あの日、ジョウキに出会わなければ憧れのままの存在だったのに…
私が勝手に作りあげていたジョウキは見事に崩れ落ち、今やジョウキは嫌な奴へと変わってしまった。
やっぱ…現実を知らないのが華なんだね…
よ~く分かりました!身に沁みて分かりました!
私はぼ~っとそんな事を考えていると誰かがしゃがみ込みながら脇腹を突ついてきた。
ヒャッ!!と飛び上がりその方向をゆっくり見るとなんとそこには私の王子様から嫌なやつへとレベルダウンしたジョウキがいた。
J「なにやってんだ?」
今や1番会いたくない人となってしまったその人は隣で眉間にシワを寄せている。
A「迷子」
J「あっそ」
自分で聞いといて全く関心のなさそうな返事をするなら聞かなきゃいいのにと心の中で悪態をつきながら、他に頼れる人がいない私は仕方なく問いかける。
A「出口どっち?」
J「さぁ?知らねぇ」
絶対に知ってるくせに教えてくれないとか…本当に嫌な奴なんだけど!?ますます幻滅していく私の推しだった人(既に過去形)に小さなため息をつきながら問いかける。
A「じゃ、楽屋はどっち?」
J「自分で探せば?」
ジョウキは私の反応を楽しむようにしれ~っとした顔してそんな事を言い、本当に苛立ち始めた私は勢いよく立ち上がる。
A「もういい!」
J「俺は良くない!」
A「はぁ?意味わかんない!」
J「何、トウヤくんと連絡先交換してんだよ!」
A「ジョウキには関係ないでしょ!?」
J「ある。」
A「ない!」
J「ある!」
私とジョウキが子供みたいな言い争いをしているとそんな言い合いを止めるようにトウヤが現れた。
T「やっと見つけた…」
トウヤが息を切らしながら私たちの方へと駆け寄る。
T「アナ…あんま心配させんなよ…ゴホッゴホッゴホ」
すると、トウヤは激しく咳き込み苦しそうな表情をしながらその場に倒れ込んだ。
A「トウヤ!トウヤ!?大丈夫!?」
私は慌ててトウヤに駆け寄り、トウヤを抱き上げトウヤの上半身を膝に乗せると頬を優しく両手で包み込んだ。
J「トウヤくん!大丈夫!?」
後ろからジョウキが駆け寄ってきてトウヤの意識を確認する。
J「トウヤ!トウヤ!」
ジョウキがトウヤの首筋に触れた途端、ジョウキの眉間のシワが深くなった。
J「熱がある…おいアナ!行くぞ!」
ジョウキはトウヤを抱えながら立ち上がり、自分の肩にトウヤの腕を回して歩き始めた。
トウヤはボンヤリとした意識のまま歩くのがやっとの状態だった。
私は突然の事で立ちすくみ2人の背中をぼーっと眺めていた。
J「おい!バカ!早くしねぇと置いてくぞ!」
A「あ…うん…」
私は慌てて2人の背中を追いかけてトウヤの横について歩いた。
J「悪いけど、そっちも支えてやってくんね?」
急にジョウキが優しい眼差しでトウヤを見ながらそんな事を言うもんだから、少し戸惑ってしまったが私は言われた通りトウヤの腕を自分の肩へ回した。
しばらく歩くと見覚えのある廊下に辿り着きジョウキがある部屋の扉を開けて中へと私たちは入った。
J「アナ、ここにトウヤくんを寝かせるぞ!」
そう言って顎で示した先には簡易ベッドがあった。
トウヤをゆっくりとそこへ寝かせて、私はトウヤの靴を脱がせて横に置いてあったブランケットをそっとトウヤにかぶせた。
J「たぶん、トウヤくん熱がある…」
そうジョウキが話していすると勢いよく扉を開けて冷や汗をかいた黒縁メガネのマネージャーさんが登場した。
マネ「なに!?トウヤどうしたの!?」
J「とりあえず、あっちで話しましょ…」
ジョウキがそう言ってマネージャーさんと廊下に出て行き、トウヤも眠ってるので私はとりあえずカバンを取りに楽屋に取りに行こうと思いトウヤの元から離れようとすると、トウヤの弱々しい声が聞こえた。
T「待って…1人にしないで…」
微かに瞼を開けたトウヤが私の手首をそっと掴みそう言った。
A「ぁ…ん…分かった…」
そして私は横にあった椅子に座り、トウヤの様子を眺めているとジョウキがそっと扉を開けて中へと戻ってきた。
J「マネージャーが今、薬と冷えピタ取りに行ってる…じゃ…俺楽屋に戻るわ…」
A「待って!あ…あのさ?お願いがあるんだけど…私のカバン持ってきて貰えない?」
私はどうせ断られるだろうと思いながらもダメ元でジョウキにお願いをした。
J「カバン?あぁ~分かった。今、取ってくるわ。」
すると、ジョウキは予想とは反対に意外にもあっさりと承諾してくれた。
つづく
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