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16話

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アナside

ユナに急かされて私はトウヤに電話をかけてみた。

すると、すぐにあの独特な低い声が私の鼓膜を刺激した。

T「もしもし?」

A「あ…もしもし…アナです」

T「本当に電話かけてきてくれたんだ//」

A「あぁ…しない方が良かった?」

T「ううん…嬉しい。でも、もうすぐ打ち合わせ始まるからごめんね?」

A「あ、こっちこそ忙しい時にごめんね?じゃ、また!」 

T「うん。番号ちゃんと登録してよ?」

A「うん分かった…登録するね?じゃ…お仕事頑張ってね…ファイト!」

T「ありがと…じゃまたね?」

こうして私とトウヤの初めての電話が終わった。

ずっと、テレビやライブで見ていた存在だからなのか、トウヤのことを昔から知ってるかのような感覚に襲われた。

Y「なんて?」

A「ちゃんと登録しろよ~って!」

私がそう言うとなぜかユナは複雑な表情をして私を見つめる。

Y「そっか…ねぇ…トウヤじゃなくてジョウキの方が良かった…?」

ユナにそう問いかけられた私はユナの言っている意味がわからなくてユナの顔を見つめる。

A「え?何が?」

Y「電話番号よ!」

ユナの言葉を聞いて私は考えてみたが、なんとなくその答えは決まっていた。

A「さぁどうだろね?でも、ジョウキだったらもし番号もらったとしても電話しなかったかも…」

Y「なんで?」

A「もう、ファンやめるって決めちゃったから?私さ?こう見えて結構、頑固だからさ…ね?」

Y「こう見えてもどう見えてもあなたは頑固だけどね?」

そして、私たちの飲み物はいつしかコーヒーからワインに変わりいつものごとく楽しくお酒が進む。

ワイングラスをテーブルに起きスマホを見ると一通のメールが届いていた。

T「さっきは電話くれたのにちゃんと話せなくてごめんね?今日はもう遅いから寝ます。アナもあんま酒ばっか飲まないでちゃんと温かくして寝ろよ?トウヤより」

え!?なんでトウヤは私が飲んだくれてること知ってるの?

しかも…呼び捨てだ…驚きと照れから私は部屋の中にいるはずもないのにトウヤが覗いていないか部屋の中を見渡して確認した。

そして、先に寝落ちしてしまったユナにブランケットをかけてソファに座り直しトウヤに返信をした。

A「遅くまでお疲れ様。ライブ中だから忙しいんだね。トウヤも風邪ひかないように気をつけてね?私はパジャマをインにして寝る人なので大丈夫です!おやすみ アナより」

こんなむず痒くなるようなやり取りは何年ぶりだろう…?

スマホの画面を見ながらニヤニヤすることなんてジョウキの画像をみる以外でないと思ってたのに。

久しぶりに異性を想う気持ちが芽生えて私の心臓は早く動きだした。 

しかしそれと同時にトウヤが芸能人じゃなかったら良かったのにななんて思ってしまう自分もいた。


つづく
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