回り道した1つの愛

樺純

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5話

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エマside


テルキはモグモグとサンドイッチを食べながら、何かを考えてるのか急に無口になりココアをひと口飲んで口を開いた。


T「じゃさ?俺とプラネタリウムでも…行く?」


テルキの突然の提案に胸がドキドキして顔が熱くなる…。


いつも会うのは決まって私の部屋だった。


セフレになって以来、私とテルキは外では会っていない。


久しぶりにテルキと外を歩けると思うと素直に嬉しくてたまらない。


でも、私の誕生日が今日だということはそれは必然的に双子の妹であるユマの誕生日でもある。


ただでさえ妹の彼氏に手を出し、セフレにしているというのに誕生日まで妹の彼氏を独占してしまうのはさすがに気が引けた私はテルキに言った。

*「私の誕生日ってことはユマの誕生日でもあるじゃん…テルキこそユマと会わないの?」

T「会わないからエマに聞いてんだけど?」

テルキは淡々とした顔をしてそう言った。

本当は行きたくて仕方ないのに本音を言えずに困った私が黙っていると、テルキが顔を覗き込む。

T「どうするんだよ?もうやめとく?」

テルキのその言葉を聞いて行きたいと心が叫び、私は小さな声で言った。

*「行きたいかも…」

T「じゃ、行こう!!早く食って準備するぞ!!」


そうして私は食事を終え、花柄のワンピースに袖を通してリビングで待つテルキの前に立つ。


*「お待たせ~じゃ行こうか!」


私がそう言うとテルキは口を一文字にして腕を組み上から下まで私をじーっと見る。


*「え…なに…?変?」

T「そのワンピースなんかやだ…着替えて。」

*「えなんでw可愛いじゃんw」

T「ジュンが好きそうなワンピースだからやだ…俺の好みじゃない。早く着替えて。」


テルキにそう言われて私は納得する。


そう言えば確かにこのワンピース。


ジュンと一緒に買い物行った時にジュンに似合うと勧められてプレゼントしてもらった花柄のワンピースだった。


*「はい…」


私は言う通りに着替えに戻り、クローゼットの中からシンプルな大きめの白地シャツ型ワンピースを取り出し、上から細めのベルトをして中にダメージ加工のされたスキニーを履いた。


*「これでいい?」


リビングにいるテルキにそう問いかけると、テルキは腕を組み私のジロジロと見ていった。


T「80点…ってとこかな?」

*「80点か~」

T「でも、これ付けたら100点だね。」


テルキはそう言って壁に掛けてあったスカーフをひょいと取り器用に私の首に巻く。


T「似合うじゃん。」


テルキに鏡の前に連れて行かれて私は鏡に映る自分を見つめる。


*「可愛い…」

T「自分で言うなよ。じゃ行くぞ。」


そう言ってテルキは笑い、自然に私の手を取り指を絡めて玄関に向かう。


私はカバンを持ち引っ張られるようにしてテルキについて行く。


テルキが靴を履き私も続いて靴を履こうとしたその瞬間…


私のスマホが鳴り、思わず私とテルキの動きが止まった。


しばらくの間、私のスマホからは着信音が流れ静かな部屋の中に鳴り響いている。


T「…出なよ…」


テルキの言葉に思わず私は首を横に振った。


なのにテルキは私のカバンの中にあるスマホを少し強引に取り出し、ディスプレイを見て私の手に持たせた。


T「出なきゃ。彼氏からの電話だよ。」


切れてはまた、鳴り響く着信音が私を徐々に追い込んでいく。

そのせいか?いや、私はもう何度も言いかけてはやめたその言葉を飲むこむ事が苦痛で言ってしまった。


*「ねぇ…テルキ…私…テルキがずっと好きだったの…だから…ジュンとは別れる…」


つい言ってしまった私のカミングアウト。


それを聞いたテルキは大きなため息を落とした。


T「じゃ、なんでジュンと付き合ったりなんかしたんだよ…マジで意味わかんねぇ。とりあえず電話に出ろって。」


私は涙が出そうになるのをぐっと堪え、言われるがままテルキの目の前でジュンからの着信を取った。


*「も…もしもし。」

J「エマお誕生日おめでとう。ごめんね?連絡遅くなって…もうすぐエマの家に着くから待っててね。」

*「・・・・・・。」

J「エマ?」

*「ごめん…今日友達と会う約束しちゃって…会えない…」

J「え…そ…かぁ…分かった…楽しんでおいで。また連絡する。」


そうして、私はジュンからの電話を切った。


T「嘘つき。」

*「だってテルキと一緒にいたいんだもん…」


私は最低な事を言っていると理解しながらもテルキの袖を掴んだ。


T「はぁ…もうそんな顔すんなよ…またシたくなるじゃん…」


テルキはそう言って私を抱き寄せ、耳たぶを甘噛みした。


*「ジュンとは…もう別れるから……」


私がそう言うとテルキは私の目を覗き込む。


T「俺たち…セフレだから興奮するんじゃない?秘密を共有するって最高な興奮材料だろ?」


その言葉を聞きて私は落胆するんだ、


テルキにとって私は所詮、その程度の女だって事に気付かされるから。


*「最低…」


妹の彼氏をセフレにしてる私の方がはるかに最低なのに、テルキにそう言ってしまうのはきっと自分を肯定したいから。


テルキから目を逸らして涙が溢れるのを誤魔化すと、グイッと両手で私の頬を包み自分に視線を向けさせるテルキ。


T「……嘘だよ。お前に惚れてるから呼んだらすぐ飛んでくるんだろ?そんな事も分かんねぇのかよ…ほんとバカ…」


そう言ってテルキは私を抱きしめた。

私はテルキの身体に手を回しながら呟く。

*「ウソツキ…」


するとテルキはゆっくりと私の唇に近づき…優しく啄むように何度もキスをした。


つづく
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