5 / 10
5話
しおりを挟む
エマside
テルキはモグモグとサンドイッチを食べながら、何かを考えてるのか急に無口になりココアをひと口飲んで口を開いた。
T「じゃさ?俺とプラネタリウムでも…行く?」
テルキの突然の提案に胸がドキドキして顔が熱くなる…。
いつも会うのは決まって私の部屋だった。
セフレになって以来、私とテルキは外では会っていない。
久しぶりにテルキと外を歩けると思うと素直に嬉しくてたまらない。
でも、私の誕生日が今日だということはそれは必然的に双子の妹であるユマの誕生日でもある。
ただでさえ妹の彼氏に手を出し、セフレにしているというのに誕生日まで妹の彼氏を独占してしまうのはさすがに気が引けた私はテルキに言った。
*「私の誕生日ってことはユマの誕生日でもあるじゃん…テルキこそユマと会わないの?」
T「会わないからエマに聞いてんだけど?」
テルキは淡々とした顔をしてそう言った。
本当は行きたくて仕方ないのに本音を言えずに困った私が黙っていると、テルキが顔を覗き込む。
T「どうするんだよ?もうやめとく?」
テルキのその言葉を聞いて行きたいと心が叫び、私は小さな声で言った。
*「行きたいかも…」
T「じゃ、行こう!!早く食って準備するぞ!!」
そうして私は食事を終え、花柄のワンピースに袖を通してリビングで待つテルキの前に立つ。
*「お待たせ~じゃ行こうか!」
私がそう言うとテルキは口を一文字にして腕を組み上から下まで私をじーっと見る。
*「え…なに…?変?」
T「そのワンピースなんかやだ…着替えて。」
*「えなんでw可愛いじゃんw」
T「ジュンが好きそうなワンピースだからやだ…俺の好みじゃない。早く着替えて。」
テルキにそう言われて私は納得する。
そう言えば確かにこのワンピース。
ジュンと一緒に買い物行った時にジュンに似合うと勧められてプレゼントしてもらった花柄のワンピースだった。
*「はい…」
私は言う通りに着替えに戻り、クローゼットの中からシンプルな大きめの白地シャツ型ワンピースを取り出し、上から細めのベルトをして中にダメージ加工のされたスキニーを履いた。
*「これでいい?」
リビングにいるテルキにそう問いかけると、テルキは腕を組み私のジロジロと見ていった。
T「80点…ってとこかな?」
*「80点か~」
T「でも、これ付けたら100点だね。」
テルキはそう言って壁に掛けてあったスカーフをひょいと取り器用に私の首に巻く。
T「似合うじゃん。」
テルキに鏡の前に連れて行かれて私は鏡に映る自分を見つめる。
*「可愛い…」
T「自分で言うなよ。じゃ行くぞ。」
そう言ってテルキは笑い、自然に私の手を取り指を絡めて玄関に向かう。
私はカバンを持ち引っ張られるようにしてテルキについて行く。
テルキが靴を履き私も続いて靴を履こうとしたその瞬間…
私のスマホが鳴り、思わず私とテルキの動きが止まった。
しばらくの間、私のスマホからは着信音が流れ静かな部屋の中に鳴り響いている。
T「…出なよ…」
テルキの言葉に思わず私は首を横に振った。
なのにテルキは私のカバンの中にあるスマホを少し強引に取り出し、ディスプレイを見て私の手に持たせた。
T「出なきゃ。彼氏からの電話だよ。」
切れてはまた、鳴り響く着信音が私を徐々に追い込んでいく。
そのせいか?いや、私はもう何度も言いかけてはやめたその言葉を飲むこむ事が苦痛で言ってしまった。
*「ねぇ…テルキ…私…テルキがずっと好きだったの…だから…ジュンとは別れる…」
つい言ってしまった私のカミングアウト。
それを聞いたテルキは大きなため息を落とした。
T「じゃ、なんでジュンと付き合ったりなんかしたんだよ…マジで意味わかんねぇ。とりあえず電話に出ろって。」
私は涙が出そうになるのをぐっと堪え、言われるがままテルキの目の前でジュンからの着信を取った。
*「も…もしもし。」
J「エマお誕生日おめでとう。ごめんね?連絡遅くなって…もうすぐエマの家に着くから待っててね。」
*「・・・・・・。」
J「エマ?」
*「ごめん…今日友達と会う約束しちゃって…会えない…」
J「え…そ…かぁ…分かった…楽しんでおいで。また連絡する。」
そうして、私はジュンからの電話を切った。
T「嘘つき。」
*「だってテルキと一緒にいたいんだもん…」
私は最低な事を言っていると理解しながらもテルキの袖を掴んだ。
T「はぁ…もうそんな顔すんなよ…またシたくなるじゃん…」
テルキはそう言って私を抱き寄せ、耳たぶを甘噛みした。
*「ジュンとは…もう別れるから……」
私がそう言うとテルキは私の目を覗き込む。
T「俺たち…セフレだから興奮するんじゃない?秘密を共有するって最高な興奮材料だろ?」
その言葉を聞きて私は落胆するんだ、
テルキにとって私は所詮、その程度の女だって事に気付かされるから。
*「最低…」
妹の彼氏をセフレにしてる私の方がはるかに最低なのに、テルキにそう言ってしまうのはきっと自分を肯定したいから。
テルキから目を逸らして涙が溢れるのを誤魔化すと、グイッと両手で私の頬を包み自分に視線を向けさせるテルキ。
T「……嘘だよ。お前に惚れてるから呼んだらすぐ飛んでくるんだろ?そんな事も分かんねぇのかよ…ほんとバカ…」
そう言ってテルキは私を抱きしめた。
私はテルキの身体に手を回しながら呟く。
*「ウソツキ…」
するとテルキはゆっくりと私の唇に近づき…優しく啄むように何度もキスをした。
つづく
テルキはモグモグとサンドイッチを食べながら、何かを考えてるのか急に無口になりココアをひと口飲んで口を開いた。
T「じゃさ?俺とプラネタリウムでも…行く?」
テルキの突然の提案に胸がドキドキして顔が熱くなる…。
いつも会うのは決まって私の部屋だった。
セフレになって以来、私とテルキは外では会っていない。
久しぶりにテルキと外を歩けると思うと素直に嬉しくてたまらない。
でも、私の誕生日が今日だということはそれは必然的に双子の妹であるユマの誕生日でもある。
ただでさえ妹の彼氏に手を出し、セフレにしているというのに誕生日まで妹の彼氏を独占してしまうのはさすがに気が引けた私はテルキに言った。
*「私の誕生日ってことはユマの誕生日でもあるじゃん…テルキこそユマと会わないの?」
T「会わないからエマに聞いてんだけど?」
テルキは淡々とした顔をしてそう言った。
本当は行きたくて仕方ないのに本音を言えずに困った私が黙っていると、テルキが顔を覗き込む。
T「どうするんだよ?もうやめとく?」
テルキのその言葉を聞いて行きたいと心が叫び、私は小さな声で言った。
*「行きたいかも…」
T「じゃ、行こう!!早く食って準備するぞ!!」
そうして私は食事を終え、花柄のワンピースに袖を通してリビングで待つテルキの前に立つ。
*「お待たせ~じゃ行こうか!」
私がそう言うとテルキは口を一文字にして腕を組み上から下まで私をじーっと見る。
*「え…なに…?変?」
T「そのワンピースなんかやだ…着替えて。」
*「えなんでw可愛いじゃんw」
T「ジュンが好きそうなワンピースだからやだ…俺の好みじゃない。早く着替えて。」
テルキにそう言われて私は納得する。
そう言えば確かにこのワンピース。
ジュンと一緒に買い物行った時にジュンに似合うと勧められてプレゼントしてもらった花柄のワンピースだった。
*「はい…」
私は言う通りに着替えに戻り、クローゼットの中からシンプルな大きめの白地シャツ型ワンピースを取り出し、上から細めのベルトをして中にダメージ加工のされたスキニーを履いた。
*「これでいい?」
リビングにいるテルキにそう問いかけると、テルキは腕を組み私のジロジロと見ていった。
T「80点…ってとこかな?」
*「80点か~」
T「でも、これ付けたら100点だね。」
テルキはそう言って壁に掛けてあったスカーフをひょいと取り器用に私の首に巻く。
T「似合うじゃん。」
テルキに鏡の前に連れて行かれて私は鏡に映る自分を見つめる。
*「可愛い…」
T「自分で言うなよ。じゃ行くぞ。」
そう言ってテルキは笑い、自然に私の手を取り指を絡めて玄関に向かう。
私はカバンを持ち引っ張られるようにしてテルキについて行く。
テルキが靴を履き私も続いて靴を履こうとしたその瞬間…
私のスマホが鳴り、思わず私とテルキの動きが止まった。
しばらくの間、私のスマホからは着信音が流れ静かな部屋の中に鳴り響いている。
T「…出なよ…」
テルキの言葉に思わず私は首を横に振った。
なのにテルキは私のカバンの中にあるスマホを少し強引に取り出し、ディスプレイを見て私の手に持たせた。
T「出なきゃ。彼氏からの電話だよ。」
切れてはまた、鳴り響く着信音が私を徐々に追い込んでいく。
そのせいか?いや、私はもう何度も言いかけてはやめたその言葉を飲むこむ事が苦痛で言ってしまった。
*「ねぇ…テルキ…私…テルキがずっと好きだったの…だから…ジュンとは別れる…」
つい言ってしまった私のカミングアウト。
それを聞いたテルキは大きなため息を落とした。
T「じゃ、なんでジュンと付き合ったりなんかしたんだよ…マジで意味わかんねぇ。とりあえず電話に出ろって。」
私は涙が出そうになるのをぐっと堪え、言われるがままテルキの目の前でジュンからの着信を取った。
*「も…もしもし。」
J「エマお誕生日おめでとう。ごめんね?連絡遅くなって…もうすぐエマの家に着くから待っててね。」
*「・・・・・・。」
J「エマ?」
*「ごめん…今日友達と会う約束しちゃって…会えない…」
J「え…そ…かぁ…分かった…楽しんでおいで。また連絡する。」
そうして、私はジュンからの電話を切った。
T「嘘つき。」
*「だってテルキと一緒にいたいんだもん…」
私は最低な事を言っていると理解しながらもテルキの袖を掴んだ。
T「はぁ…もうそんな顔すんなよ…またシたくなるじゃん…」
テルキはそう言って私を抱き寄せ、耳たぶを甘噛みした。
*「ジュンとは…もう別れるから……」
私がそう言うとテルキは私の目を覗き込む。
T「俺たち…セフレだから興奮するんじゃない?秘密を共有するって最高な興奮材料だろ?」
その言葉を聞きて私は落胆するんだ、
テルキにとって私は所詮、その程度の女だって事に気付かされるから。
*「最低…」
妹の彼氏をセフレにしてる私の方がはるかに最低なのに、テルキにそう言ってしまうのはきっと自分を肯定したいから。
テルキから目を逸らして涙が溢れるのを誤魔化すと、グイッと両手で私の頬を包み自分に視線を向けさせるテルキ。
T「……嘘だよ。お前に惚れてるから呼んだらすぐ飛んでくるんだろ?そんな事も分かんねぇのかよ…ほんとバカ…」
そう言ってテルキは私を抱きしめた。
私はテルキの身体に手を回しながら呟く。
*「ウソツキ…」
するとテルキはゆっくりと私の唇に近づき…優しく啄むように何度もキスをした。
つづく
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
拗らせ女の同期への秘めたる一途な想い
松本ユミ
恋愛
好きだった同期と酔った勢いで
一夜を共にした
恋愛が面倒だと言ったあなたに
「好き」だと言えなくて
身体だけでも繋がりたくて
卑怯な私はあなたを求める
この一途な想いはいつか報われますか?
こじらせ女子の恋愛事情
あさの紅茶
恋愛
過去の恋愛の失敗を未だに引きずるこじらせアラサー女子の私、仁科真知(26)
そんな私のことをずっと好きだったと言う同期の宗田優くん(26)
いやいや、宗田くんには私なんかより、若くて可愛い可憐ちゃん(女子力高め)の方がお似合いだよ。
なんて自らまたこじらせる残念な私。
「俺はずっと好きだけど?」
「仁科の返事を待ってるんだよね」
宗田くんのまっすぐな瞳に耐えきれなくて逃げ出してしまった。
これ以上こじらせたくないから、神様どうか私に勇気をください。
*******************
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
苺の誘惑 ~御曹司副社長の甘い計略~
泉南佳那
恋愛
来栖エリカ26歳✖️芹澤宗太27歳
売れないタレントのエリカのもとに
破格のギャラの依頼が……
ちょっと怪しげな黒の高級国産車に乗せられて
ついた先は、巷で話題のニュースポット
サニーヒルズビレッジ!
そこでエリカを待ちうけていたのは
極上イケメン御曹司の副社長。
彼からの依頼はなんと『偽装恋人』!
そして、これから2カ月あまり
サニーヒルズレジデンスの彼の家で
ルームシェアをしてほしいというものだった!
一緒に暮らすうちに、エリカは本気で彼に恋をしてしまい
とうとう苦しい胸の内を告げることに……
***
ラグジュアリーな再開発都市を舞台に繰り広げられる
御曹司と売れないタレントの恋
はたして、その結末は⁉︎
性感マッサージに釣られて
椋のひかり~むくのひかり~
恋愛
下半期に向けて、久々に既婚者サイトでの物色を再開したさちこ。
やっとこのサイトで超一流のイケメンを発見!
珍しく自分からいいねを押してメッセージを送ってみたところ、
すぐに好意的な返信があり、会うこととなりました。
その一部始終をお楽しみください。
優しい微笑をください~上司の誤解をとく方法
栗原さとみ
恋愛
仕事のできる上司に、誤解され嫌われている私。どうやら会長の愛人でコネ入社だと思われているらしい…。その上浮気っぽいと思われているようで。上司はイケメンだし、仕事ぶりは素敵過ぎて、片想いを拗らせていくばかり。甘々オフィスラブ、王道のほっこり系恋愛話。
軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら
夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。
それは極度の面食いということ。
そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。
「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ!
だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」
朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい?
「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」
あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?
それをわたしにつける??
じょ、冗談ですよね──!?!?
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
葉月とに
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる