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34 翌朝
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「ん、う……」
カーテンの隙間から射し込む朝日の眩しさに目を覚ます。
目の前には、逞しい腕で私をがっしりと抱き締めたまま眠っている上半身裸のグレイヴさんがいる。布団の中で脚を絡めると、彼の履いているスボンの感触がした。かくいう私も、下着こそ履いていないがチュニックのボタンをしっかりと留められ羽織っている。
昨夜の情事で、汗など色々な液体で汚れでいた体はさっぱりしており、身嗜みも一応整えられていることから、おそらく彼が私が意識を失った後に整えてくれたのだろう。
ありがたい反面、少しどころか凄く恥ずかしい。
恥ずかしいと言えば、昨夜のことも含まれる。昨夜のことは、今でも鮮明に甦った。
チュニックのボタンを一つずつ、ゆっくりと丁寧に外され、羞恥心がどんどん高まっていく中で露になった胸。控えめといえば言葉はいいが、貧相な体を彼に見せるのは憚られた。でも、そんな私の体を見て更に興奮を高めてくれた彼に、ホッと安堵したのは内緒だ。
グレイヴさんの案で最後まではせず、互いの体に触れ合うのみだったが、その過程で女のとして快感の得方というものを知ることが出来た。新鮮だったし、何より男と違って高みに昇ってしまうとずっと快感を享受しているような感覚に陥ってしまうとは思わなかった。
自分の見せてしまった痴態を思い出し、頬が紅潮する。
恥ずかしさを誤魔化そうと、そっと、未だ眠りの中にいるグレイヴさんに抱き付き、胸元に顔を擦り寄せた。
トクン、トクンと規則正しい心音を聞き、心地よさに口角を上げる。起きる気配のない彼の体温も相まって、私は再びに微睡みに身を委ねた。
二度寝から目を覚ますと、カーテンから差し込む朝日の傾きが高くなっていた。だいぶ寝てしまったようだ。
カーテンの方を見ていると、丁度グレイヴさんも目を覚ましたのか、大きな欠伸をしている。
「んあ? ロラン、起きたのか」
「お、おはよう、ございます……」
視線が合い、笑顔ではにかむ彼に目を逸らし挨拶する。未だ彼の腕の中で、おまけに彼の胸板に顔を埋めている状態だ。恥ずかしくて仕方ない。
昨夜はこれ以上に恥ずかしい行為をしたというのに……グレイヴさんを前にし、今更ながら羞恥心が込み上げてきた。
「体は大丈夫か?」
羞恥で俯く私を気遣ってか、グレイヴさんが心配げに声をかけてくる。
「だ、大丈夫ですっ、その、グレイヴさんは大丈夫ですか」
「俺は全然。寧ろ元気なくらいだし、嬉しすぎてやばいな」
言いながら、私を抱き締めなおした。
「グ、グレイヴさんっ!?」
驚く私を余所に、彼は更に体を密着させ髪に顔を埋める。匂いを嗅がれ、頬が紅潮していく。
あわあわと慌てる私を、グレイヴさんは自身の体の上に乗せる。貧相だが多少はある胸が彼の厚い胸板に押し付けるような体制となり、益々恥ずかしくなった。彼の体の上から下りようとしても、すぐさま彼が腰に腕を回し固定してくるので、身じろぐ程度しか動けない。
「もう、グレイヴさんっ」
逞しい胸板を叩きながら抗議すると、彼は静かに目を閉じた。
「夢じゃ、ねえんだな」
確かめるように髪を梳かれ、心地よさに目を細める。
「夢じゃないですよ。寧ろ、夢にしないでください……」
叩いていた胸板に顔を埋め、上目遣いで見つめる。すると、彼は「そうだな」と微笑んだ。
「取り敢えず、着替えるか」
「そうですね」
パッと腰に回されていた腕が解かれ、彼の上から起き上がる。視界に入ったもう一つのベッドは昨日の情事に使ったこともあり、シーツはぐしゃぐしゃだった。その上には、畳まれた私の下着もあり慌てて手に取りチュニックのポケットに仕舞った。
「グレイヴさん、私は後ろ向いてるので、先に着替えてください」
「一緒に着替えた方が早くねえか?」
彼の意見は尤もだが、私はすぐさま彼に背を向け言葉を告げる。
「その、まだ恥ずかしいので……先に部屋を出てくれると助かります」
ポツリと呟くと、耳まで真っ赤になっているのが自分でもわかる。
「わかった。着替えたら先に食堂に行ってるわ」
「はい、わかりました」
「じゃあ、先に行ってるな」
手早く着替えを済ませたグレイヴさんが部屋を出て行った。一人になった途端、一気に体の力が抜ける。
先日、やっと想いを告げたと思ったらすぐさま行為に及び、緊張が続いていたようだ。そっとポケットから昨日履いていたパンツを取り出す。一部が染みになっており、恥ずかしさが戻ってくる。鞄から麻袋を取り出しそれを仕舞うと、替えの下着と服を取り出しチュニックを脱ぐ。
一糸纏わぬ姿になり、ふと、胸に歯型が付いているのを確認する。きっと、昨日の愛撫の中でつけられたものだろう。
「……グレイヴさんのエッチ」
そうぼやきながら、パンツに足を通す。続いてブラジャーを付け、聖女の正装に袖を通した。着替えを済ませ、髪を櫛で梳かす。身だしなみを整えれば、完成だ。
「よし、と」
櫛などを鞄に仕舞い、身支度を済ませると部屋を出る。彼が待つ食堂へと、足を進めた。
カーテンの隙間から射し込む朝日の眩しさに目を覚ます。
目の前には、逞しい腕で私をがっしりと抱き締めたまま眠っている上半身裸のグレイヴさんがいる。布団の中で脚を絡めると、彼の履いているスボンの感触がした。かくいう私も、下着こそ履いていないがチュニックのボタンをしっかりと留められ羽織っている。
昨夜の情事で、汗など色々な液体で汚れでいた体はさっぱりしており、身嗜みも一応整えられていることから、おそらく彼が私が意識を失った後に整えてくれたのだろう。
ありがたい反面、少しどころか凄く恥ずかしい。
恥ずかしいと言えば、昨夜のことも含まれる。昨夜のことは、今でも鮮明に甦った。
チュニックのボタンを一つずつ、ゆっくりと丁寧に外され、羞恥心がどんどん高まっていく中で露になった胸。控えめといえば言葉はいいが、貧相な体を彼に見せるのは憚られた。でも、そんな私の体を見て更に興奮を高めてくれた彼に、ホッと安堵したのは内緒だ。
グレイヴさんの案で最後まではせず、互いの体に触れ合うのみだったが、その過程で女のとして快感の得方というものを知ることが出来た。新鮮だったし、何より男と違って高みに昇ってしまうとずっと快感を享受しているような感覚に陥ってしまうとは思わなかった。
自分の見せてしまった痴態を思い出し、頬が紅潮する。
恥ずかしさを誤魔化そうと、そっと、未だ眠りの中にいるグレイヴさんに抱き付き、胸元に顔を擦り寄せた。
トクン、トクンと規則正しい心音を聞き、心地よさに口角を上げる。起きる気配のない彼の体温も相まって、私は再びに微睡みに身を委ねた。
二度寝から目を覚ますと、カーテンから差し込む朝日の傾きが高くなっていた。だいぶ寝てしまったようだ。
カーテンの方を見ていると、丁度グレイヴさんも目を覚ましたのか、大きな欠伸をしている。
「んあ? ロラン、起きたのか」
「お、おはよう、ございます……」
視線が合い、笑顔ではにかむ彼に目を逸らし挨拶する。未だ彼の腕の中で、おまけに彼の胸板に顔を埋めている状態だ。恥ずかしくて仕方ない。
昨夜はこれ以上に恥ずかしい行為をしたというのに……グレイヴさんを前にし、今更ながら羞恥心が込み上げてきた。
「体は大丈夫か?」
羞恥で俯く私を気遣ってか、グレイヴさんが心配げに声をかけてくる。
「だ、大丈夫ですっ、その、グレイヴさんは大丈夫ですか」
「俺は全然。寧ろ元気なくらいだし、嬉しすぎてやばいな」
言いながら、私を抱き締めなおした。
「グ、グレイヴさんっ!?」
驚く私を余所に、彼は更に体を密着させ髪に顔を埋める。匂いを嗅がれ、頬が紅潮していく。
あわあわと慌てる私を、グレイヴさんは自身の体の上に乗せる。貧相だが多少はある胸が彼の厚い胸板に押し付けるような体制となり、益々恥ずかしくなった。彼の体の上から下りようとしても、すぐさま彼が腰に腕を回し固定してくるので、身じろぐ程度しか動けない。
「もう、グレイヴさんっ」
逞しい胸板を叩きながら抗議すると、彼は静かに目を閉じた。
「夢じゃ、ねえんだな」
確かめるように髪を梳かれ、心地よさに目を細める。
「夢じゃないですよ。寧ろ、夢にしないでください……」
叩いていた胸板に顔を埋め、上目遣いで見つめる。すると、彼は「そうだな」と微笑んだ。
「取り敢えず、着替えるか」
「そうですね」
パッと腰に回されていた腕が解かれ、彼の上から起き上がる。視界に入ったもう一つのベッドは昨日の情事に使ったこともあり、シーツはぐしゃぐしゃだった。その上には、畳まれた私の下着もあり慌てて手に取りチュニックのポケットに仕舞った。
「グレイヴさん、私は後ろ向いてるので、先に着替えてください」
「一緒に着替えた方が早くねえか?」
彼の意見は尤もだが、私はすぐさま彼に背を向け言葉を告げる。
「その、まだ恥ずかしいので……先に部屋を出てくれると助かります」
ポツリと呟くと、耳まで真っ赤になっているのが自分でもわかる。
「わかった。着替えたら先に食堂に行ってるわ」
「はい、わかりました」
「じゃあ、先に行ってるな」
手早く着替えを済ませたグレイヴさんが部屋を出て行った。一人になった途端、一気に体の力が抜ける。
先日、やっと想いを告げたと思ったらすぐさま行為に及び、緊張が続いていたようだ。そっとポケットから昨日履いていたパンツを取り出す。一部が染みになっており、恥ずかしさが戻ってくる。鞄から麻袋を取り出しそれを仕舞うと、替えの下着と服を取り出しチュニックを脱ぐ。
一糸纏わぬ姿になり、ふと、胸に歯型が付いているのを確認する。きっと、昨日の愛撫の中でつけられたものだろう。
「……グレイヴさんのエッチ」
そうぼやきながら、パンツに足を通す。続いてブラジャーを付け、聖女の正装に袖を通した。着替えを済ませ、髪を櫛で梳かす。身だしなみを整えれば、完成だ。
「よし、と」
櫛などを鞄に仕舞い、身支度を済ませると部屋を出る。彼が待つ食堂へと、足を進めた。
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