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はじまりは、あの日

22.いつか….

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「特別な人?」

「そう、特別な人。」

聞き返すと、川奈さんが照れながら復唱する。
どうやら悪い意味ではなさそうだけど、恋人でもないなら結局どういう意味なんだろ。

「川奈さん、特別な人ってどういうこと?」

空いている手で川奈さんの頬に触れると、俺を見つめる瞳が揺らぐ。

「…。一緒にいたいのも、触れて欲しいと思うのも君だけってこと。」
恥ずかしそうに、か細い声でいう。

え?これって、つまり、

「俺のこと好き?」
きちんと言葉で聞きたくて、意地悪だけど尋ねてみる。

「好き…じゃない。」
まさかの返答に、甘い雰囲気に水がさされる。

あれ?この流れデジャブだな。

「えっと、好きじゃないけど、一緒に居たいし、触れられたいの?」

「それは、元彼に振られたって話、前にしたでしょ?あれから、恋愛で振り回されるのは辞めにしようと思ったんだよね。だから……好きって言いたくない。」

これは、俺を好きって言っているじゃないか。

あぁ、この人が愛おしくてたまらない。
過去の恋愛が原因で想像以上に拗らせているところや、
また恋愛に振り回されているのに気付いていないところも、
普段は格好良いのに恋愛音痴なところ全てが

「可愛すぎだよ、川奈さん。」
頬に添えてい手の親指で優しく撫でる。

「過去の恋愛で臆病になっているなら、それを忘れさせる位に愛を伝えるから、いつか俺のものになってね。」
俺がそういうと川奈さんが戸惑った様に目を伏せる。

まだ返事をもらえなくてもいいと思い俺は頬から顎に手を動かし、指で唇をなぞる。

「キスしていい?」わざとそう聞けば

「聞かなくていいから。言ったでしょ、特別だって。」
と拗ねた様に言う。

今はこれで充分。

「うん。川奈さん、好きだよ。」
そう言い、触れるだけのキスをする。

* * *

玄関を開けて室内に入ると同時に、川奈さんを抱き寄せる。

「田浦くん。ベッドに行かないの?」
と俺の腕に大人しく収まっている川奈さんが聞く。

「行く。」

「え?あっ、ちょっと」

ベッドに行く時間すらもどかしくて川奈さんを担ぎ上げると驚いた声をあげる。

「ごめん、1秒も待てない。早く川奈さんを愛したい。」

そう言い、川奈さんの靴を脱がし玄関に転がす。川奈さんは何も言わず俺の服をで握りしめる。

川奈さんをベッドに横たえ、すぐに覆い被さる。
電気もついていない暗闇に少しずつ目が慣れてきて、互いの顔がぼんやり見える。

「んっ…ふあっ」

噛み付く様にキスをして唇を貪ると甘い声とリップ音が漏れ出て更に俺を掻き立てる。
川奈さんのニットの裾から手を潜り込ませ、背中をゆっくり撫で上げる。

「ひっ…あぁっ」
びくりと背を弓形にし声を上げる。

「んっ…ふっ…んあっ」
その開いた口に舌を差し込んで、歯列をなぞり上顎をくすぐる。

そのまま空いてる手で服の上から体のラインをなぞる様に横腹を撫でると焦ったそうに体をくねらせる。

一度口を離し、唇を舌でなぞる。
ニットの裾を掴み、たくし上げ頭から抜いてしまえば、服を剥ぎ取られ無防備な半裸になった姿が晒される。

「この間の噛み跡、まだ残ってる?」
噛み跡をつけた部分に指先で円を描く様に触れ聞く。

「薄くなったけど、残ってる…っい」
返事を全部聞く前に噛みつき吸い付くと痛みで軽い悲鳴があげた。

「ごめん、痛かった?」
そこを優しく撫でながら聞くと

「痛くてもいいから、もっといっぱいつけて。」たまらなく可愛いお強請りをしてくる。

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