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僕は後先考えずに突っ走る!

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「いっきまーす!!」

どっかのロボットアニメの掛け声を意識しながら叫んでみる。
小さな小さな炎を片手に、徐々に熱を上げて炎が青白くなった頃合いを見計らって空に浮かんでいたワイバーン目掛けて投げ飛ばす。

「おい、リクそんなちっさい炎じゃ…」

かすり傷一つつかねぇぞ、と言いかけた親父が轟いた轟音にパタッと耳を伏せて目を見開いて絶句した。

「第1撃は炎のワイバーンをプレゼントだよーっ!!」

轟音は、炎が超加速的な勢いで増殖というよりも巨大化した音。巨大化した炎はうねうねと蠢きすぐに形作られた。

本物のワイバーンの二倍はあろうかという大きさの炎のワイバーン。

「…おぃ、りく。ありゃあなんだ。」

青白い炎のワイバーンを凝視しながら棒読みに質問するファルクの表情は、いささか引きつっている。しかし、そんなことは気にしない。
全ては親父がが教えてくれたことじゃないか!全ては勢い、ドカーンとバキューンと!!
それを今実現してやるぞ。少々魔力消費が半端無い気もするけど。炎は燃える物質、酸素と少しの風さえあればいくらでも増やせるよ!!着火剤が僕の魔力なだけ!!

「魔法の応用だよ!飛び込め、炎のワイバーン!!」

ぶつかり合った衝撃波と轟音の直進、グカァァァッ!!!というワイバーンの悲鳴らしきものが響き渡る。

「…おい、リク、下にいた冒険者は無事だろうな?」

あれに巻き込まれれば冒険者といえどもお陀仏だねー。

少し、テンションのおかしくなっているリクは、にこにこと今までに無い笑顔をふりまきながらそんなことを考えていた。

「大丈夫だよ。結界張ってるもん!」

「…そうか。」

俺は、今お前さんが敵じゃなくてよかったと思ったぞ。マジで。

Sランクのはずの親父の心の底からの嘆きは聞かなかったことにした。

炎が落ち着いたワイバーンは、焦げ付いてフラフラしてはいるもののまだ闘志を漲らせた目であたりを警戒していた。
僕だとは思っていないらしい。飛んできた方向でわかるようなものなのに。

「…俺の小さな息子(リク)が俺(Sランク)を超えていた件…」

世の中わからんものだなと遠い目をしながら呟いている親父を横目に、俺はうきうきしていた。

レッツ・ワイバーン・クッキング!!

果たしてワイバーン、美味しいのだろうか。
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