6 / 21
僕は獣人のもふもふを堪能することにした
しおりを挟む
名前なんて知らないから、「りく」でいいよね。慣れない名前なんて呼ばれても反応できないだろうし。
「どした?名前わからないのか?」
「うん。名前なんて(この世界で)呼ばれたことなかったから…」
目の前にいたファルクは途端ウルウルしだして、泣きそうな顔になる。
「えっ!?ふぁりゅく!?どしたの!?」
…また、噛んだ。
だから、噛むたびに涙目で尻尾振るのやめい!
余計恥ずかしいわっ!!
うほんっ、と咳払いをしたファルクは緩みきった表情を真面目に戻した。
「いや、なんでもないぞ…ほんと、かわいいな、お前」
「………」
真面目に戻して言いたかった言葉がそれか!?
見た目幼児でも精神年齢24歳過ぎの男が、おっさんに近い年齢のファルク(男)にかわいいと言われて果たして嬉しいだろうか。
断じて、僕は嬉しくない。少し寒気がするだけだ。
嬉しい!もっと言って!なんて喜ぶ奴がいるなら見てみたい。
「……僕のことはリクって呼んで?多分長い名前は覚えられないや」
しばらく悩んだ結果、かわいい発言は聞かなかったことにした。僕の心の平穏のためだ。
「リクだな?わかった。」
スルーしたことを、なにも思っていないらしい。うん、よかった。
「ところでリク、行くあてはあったのか?」
「ない」
あるわけないじゃないか。あったらこんな所をフラフラしてないやい。
「……見た目ちっこいのにしっかりしてるなぁ。」
「……ん?」
どこが。しっかりしてたら今頃こんな所をこんなボロ雑巾みたいな格好で彷徨ってないよ。
「そんな歩幅じゃ、街に着くまで日が暮れちまう。乗れ」
乗れ?
こてん、と首を傾げると同時にみるみるとファルクの姿が群青色の見た目虎になっていく。しかし毛足が長い。下手な絨毯より高級そうな毛の一本一本にキューティクルがしっかり効いた毛皮だ。
「ふぁ…ぁ!すごーい、なんの動物?」
『俺か?俺は見た目通りだろう、虎だぜ?!』
人型よりも一層低い声のファルクは、どうだ、カッコいいだろう?と言わんばかりに胸を張る。
いや、当たり前だろって言わんばかりだけど虎って白黒とか黄黒とかじゃなかったか?
「虎って青なの?」
『そりゃそうだろう?それ以外なにがあるんだ』
青なのかよ!!!
『ほれ、なにを驚いてるのか知らんが、固まってないで乗れ!行くぞ』
慌てて背中によじ登る。
うわぁ…もふっもふっ!!毛がつるっつるっ!手が毛に埋まるぅー!!気持ちいいー!!
ほにゃん…と顔を緩ませればふふん、と自慢そうなファルクの声がした。
『俺の自慢の毛皮だぜ!一応魔法で支えといてやるが、捕まっとけよ?』
くるくるっと尻尾が腰回りに回され、シートベルトがわりになり安定した。
「はーぁい」
あぁーもふもふ、しあわせぇー。
今までの疲れもあったのか、心地いい布団がわりの毛皮の中で僕は寝落ちした。
ーーーーーーー
なろう様でも自認してるように、もふもふ成分、動物成分はこれからも多分に含まれますがよろしくお願いします。
「どした?名前わからないのか?」
「うん。名前なんて(この世界で)呼ばれたことなかったから…」
目の前にいたファルクは途端ウルウルしだして、泣きそうな顔になる。
「えっ!?ふぁりゅく!?どしたの!?」
…また、噛んだ。
だから、噛むたびに涙目で尻尾振るのやめい!
余計恥ずかしいわっ!!
うほんっ、と咳払いをしたファルクは緩みきった表情を真面目に戻した。
「いや、なんでもないぞ…ほんと、かわいいな、お前」
「………」
真面目に戻して言いたかった言葉がそれか!?
見た目幼児でも精神年齢24歳過ぎの男が、おっさんに近い年齢のファルク(男)にかわいいと言われて果たして嬉しいだろうか。
断じて、僕は嬉しくない。少し寒気がするだけだ。
嬉しい!もっと言って!なんて喜ぶ奴がいるなら見てみたい。
「……僕のことはリクって呼んで?多分長い名前は覚えられないや」
しばらく悩んだ結果、かわいい発言は聞かなかったことにした。僕の心の平穏のためだ。
「リクだな?わかった。」
スルーしたことを、なにも思っていないらしい。うん、よかった。
「ところでリク、行くあてはあったのか?」
「ない」
あるわけないじゃないか。あったらこんな所をフラフラしてないやい。
「……見た目ちっこいのにしっかりしてるなぁ。」
「……ん?」
どこが。しっかりしてたら今頃こんな所をこんなボロ雑巾みたいな格好で彷徨ってないよ。
「そんな歩幅じゃ、街に着くまで日が暮れちまう。乗れ」
乗れ?
こてん、と首を傾げると同時にみるみるとファルクの姿が群青色の見た目虎になっていく。しかし毛足が長い。下手な絨毯より高級そうな毛の一本一本にキューティクルがしっかり効いた毛皮だ。
「ふぁ…ぁ!すごーい、なんの動物?」
『俺か?俺は見た目通りだろう、虎だぜ?!』
人型よりも一層低い声のファルクは、どうだ、カッコいいだろう?と言わんばかりに胸を張る。
いや、当たり前だろって言わんばかりだけど虎って白黒とか黄黒とかじゃなかったか?
「虎って青なの?」
『そりゃそうだろう?それ以外なにがあるんだ』
青なのかよ!!!
『ほれ、なにを驚いてるのか知らんが、固まってないで乗れ!行くぞ』
慌てて背中によじ登る。
うわぁ…もふっもふっ!!毛がつるっつるっ!手が毛に埋まるぅー!!気持ちいいー!!
ほにゃん…と顔を緩ませればふふん、と自慢そうなファルクの声がした。
『俺の自慢の毛皮だぜ!一応魔法で支えといてやるが、捕まっとけよ?』
くるくるっと尻尾が腰回りに回され、シートベルトがわりになり安定した。
「はーぁい」
あぁーもふもふ、しあわせぇー。
今までの疲れもあったのか、心地いい布団がわりの毛皮の中で僕は寝落ちした。
ーーーーーーー
なろう様でも自認してるように、もふもふ成分、動物成分はこれからも多分に含まれますがよろしくお願いします。
0
お気に入りに追加
246
あなたにおすすめの小説
記憶喪失の転生幼女、ギルドで保護されたら最強冒険者に溺愛される
マー子
ファンタジー
ある日魔の森で異常が見られ、調査に来ていた冒険者ルーク。
そこで木の影で眠る幼女を見つけた。
自分の名前しか記憶がなく、両親やこの国の事も知らないというアイリは、冒険者ギルドで保護されることに。
実はある事情で記憶を失って転生した幼女だけど、異世界で最強冒険者に溺愛されて、第二の人生楽しんでいきます。
・初のファンタジー物です
・ある程度内容纏まってからの更新になる為、進みは遅めになると思います
・長編予定ですが、最後まで気力が持たない場合は短編になるかもしれません⋯
どうか温かく見守ってください♪
☆感謝☆
HOTランキング1位になりました。偏にご覧下さる皆様のお陰です。この場を借りて、感謝の気持ちを⋯
そしてなんと、人気ランキングの方にもちゃっかり載っておりました。
本当にありがとうございます!
喜んだらレベルとステータス引き継いで最初から~あなたの異世界召喚物語~
中島健一
ファンタジー
[ルールその1]喜んだら最初に召喚されたところまで戻る
[ルールその2]レベルとステータス、習得したスキル・魔法、アイテムは引き継いだ状態で戻る
[ルールその3]一度経験した喜びをもう一度経験しても戻ることはない
17歳高校生の南野ハルは突然、異世界へと召喚されてしまった。
剣と魔法のファンタジーが広がる世界
そこで懸命に生きようとするも喜びを満たすことで、初めに召喚された場所に戻ってしまう…レベルとステータスはそのままに
そんな中、敵対する勢力の魔の手がハルを襲う。力を持たなかったハルは次第に魔法やスキルを習得しレベルを上げ始める。初めは倒せなかった相手を前回の世界線で得た知識と魔法で倒していく。
すると世界は新たな顔を覗かせる。
この世界は何なのか、何故ステータスウィンドウがあるのか、何故自分は喜ぶと戻ってしまうのか、神ディータとは、或いは自分自身とは何者なのか。
これは主人公、南野ハルが自分自身を見つけ、どうすれば人は成長していくのか、どうすれば今の自分を越えることができるのかを学んでいく物語である。
なろうとカクヨムでも掲載してまぁす
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
オタクおばさん転生する
ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。
天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。
投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる