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僕は獣人のもふもふを堪能することにした

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名前なんて知らないから、「りく」でいいよね。慣れない名前なんて呼ばれても反応できないだろうし。

「どした?名前わからないのか?」

「うん。名前なんて(この世界で)呼ばれたことなかったから…」

目の前にいたファルクは途端ウルウルしだして、泣きそうな顔になる。

「えっ!?ふぁりゅく!?どしたの!?」

…また、噛んだ。
だから、噛むたびに涙目で尻尾振るのやめい!
余計恥ずかしいわっ!!
うほんっ、と咳払いをしたファルクは緩みきった表情を真面目に戻した。

「いや、なんでもないぞ…ほんと、かわいいな、お前」

「………」

真面目に戻して言いたかった言葉がそれか!?
見た目幼児でも精神年齢24歳過ぎの男が、おっさんに近い年齢のファルク(男)にかわいいと言われて果たして嬉しいだろうか。

断じて、僕は嬉しくない。少し寒気がするだけだ。
嬉しい!もっと言って!なんて喜ぶ奴がいるなら見てみたい。

「……僕のことはリクって呼んで?多分長い名前は覚えられないや」

しばらく悩んだ結果、かわいい発言は聞かなかったことにした。僕の心の平穏のためだ。

「リクだな?わかった。」

スルーしたことを、なにも思っていないらしい。うん、よかった。

「ところでリク、行くあてはあったのか?」

「ない」

あるわけないじゃないか。あったらこんな所をフラフラしてないやい。

「……見た目ちっこいのにしっかりしてるなぁ。」

「……ん?」

どこが。しっかりしてたら今頃こんな所をこんなボロ雑巾みたいな格好で彷徨ってないよ。

「そんな歩幅じゃ、街に着くまで日が暮れちまう。乗れ」

乗れ?

こてん、と首を傾げると同時にみるみるとファルクの姿が群青色の見た目虎になっていく。しかし毛足が長い。下手な絨毯より高級そうな毛の一本一本にキューティクルがしっかり効いた毛皮だ。

「ふぁ…ぁ!すごーい、なんの動物?」

『俺か?俺は見た目通りだろう、虎だぜ?!』

人型よりも一層低い声のファルクは、どうだ、カッコいいだろう?と言わんばかりに胸を張る。
いや、当たり前だろって言わんばかりだけど虎って白黒とか黄黒とかじゃなかったか?

「虎って青なの?」

『そりゃそうだろう?それ以外なにがあるんだ』

青なのかよ!!!

『ほれ、なにを驚いてるのか知らんが、固まってないで乗れ!行くぞ』

慌てて背中によじ登る。

うわぁ…もふっもふっ!!毛がつるっつるっ!手が毛に埋まるぅー!!気持ちいいー!!

ほにゃん…と顔を緩ませればふふん、と自慢そうなファルクの声がした。

『俺の自慢の毛皮だぜ!一応魔法で支えといてやるが、捕まっとけよ?』

くるくるっと尻尾が腰回りに回され、シートベルトがわりになり安定した。

「はーぁい」

あぁーもふもふ、しあわせぇー。

今までの疲れもあったのか、心地いい布団がわりの毛皮の中で僕は寝落ちした。


ーーーーーーー
なろう様でも自認してるように、もふもふ成分、動物成分はこれからも多分に含まれますがよろしくお願いします。
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