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御成街道
この野郎
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「これで良しっと。」
3月がもうすぐ終わる年度末の日。
社長が求める資料を、お姉ちゃんと2人大宅壮一文庫にまで足を運んでなんとか集め終わった。
間髪入れずというか、
「理沙の締切は今月中ね。」
などと、お姉ちゃんから容赦無い催促を食らって、家でも事務所でもPCに向かっていた私です。
社長は相変わらず朝から御成街道を歩いているので、私のお相手はヒロしかいない。寂しい。
けど社長に相手にされないヒロも寂しいわけで。
「ちぃ」
「ご主人様はあなたを置き去りにして酷いよね。」
「ちぃ」
とはいえ、うさぎのヒロはドライフルーツがあるだけでご機嫌なので、私の隣でモシュモシュ齧っている。
ヒロと一緒にいる為に、私は和室で腹這いでPCを覗いている訳です。
「くっそぉ、ブラインドタッチをもっと真面目に覚えときゃ良かったよう。」
「ちぃ」
「見ながらでも、それなりに早く打てるから気にもしなかったのぉ。」
「ちぃ」
私の泣き言に、いちいち返事をしてくれるヒロが可愛い。
思わず手を止めて、抱きついてしまったよ。
「ちぃ」
私の細い腕に鼻面を押し付けて歓迎を表してくれるヒロが、またなお可愛い。
うさぎをこれだけ慣らした社長は一体何者なんだ。
…時々言うな、社長って何者なんだって。
…………
「この写真をここにこうレイアウトしてっと。」
PCからタブレットに変えて、タブレットペンで最終的に原稿を調整する。
文章の校正は既にお姉ちゃんが済ませてくれているので、読みやすい句読点の区切りを考えるところまでが創作者の仕事。
実際、うちの社長の著作を読むと、文章がページを跨がない。
そのページ内で必ず文章が終わる。
だから読む方も読み易く、中断し易い。
栞を挟んで1日2日合間をおいても、どの行まで読んだのか覚えておき易い。
これは紙の本だけで無く、横書きのHPにも通用させたいこだわりだ。
ただ細かい文字を詰め込んで、読者に忍耐を要求する文章なんか、読みたく無いよね。
社長が先に上げた横書きネット分原稿を見ても、目が無駄に左右に振られる事が無くて非常に読み易い。
社長って誰に習った訳でもないんだよね。
出版予定のレーベルと文字の等級を数えて、PC上の原稿用紙に執筆している段階で製本した後の事も計算して執筆しているんだよ。
しかもこれは、面倒くさくなってスマホで執筆している時も適用している原則だとか。
………
「そこまで作者が考える必要ってあるんですか?出版社なり、印刷所が調整すれば良いのでは無いですか?」
と、社長に質問をした事がある。
「んん?」
紀文の豆乳コーヒーのストローを咥えながら、社長は一冊の分厚い新書を本棚から取り出した。
京極夏彦の「魍魎の匣」。
これは姑獲鳥の夏と一緒に映画になっているから知ってます。
京極堂を堤真一が、榎木津探偵を阿部ちゃんが演ってた奴だね。
木場を宮迫が演ってたのは、今の彼の状況に関係なく失敗配役だと思う。
強面の鬼刑事の筈がちっちゃい。
本人はぶっきらぼうな演技をしているけど、いかんせん迫力がない。
「それは僕も思うし、関口くんは椎名桔平より永瀬正敏の方が情け無さが巧く表現されていて良かったけど、それはともかく、本の中身を見なさい。」
「厚いし重いし持ち歩けないし。お父さんは愛読していたシリーズだからうちにあるけど、読んだ事ありませんよ。」
女子高生が気軽に立ち読める重さじゃないので、ソファに座って膝の上で開いた。
……やばい、面白い。
たちまち物語の世界に引き込まれた。
先に映像を観ていた順番もあって、冒頭数ページを読み込んでしまった。
これだけ大量の文字数でも、時間が許せばいつまでも読んでいられる。
ん。
ん?
んんん?
「社長。」
「わかったかな?」
「はい。」
この人、森博嗣や西尾維新あたりと時々出版社やレーベルを通じて遊んでいた印象ばかりあったけど、凄い丁寧な本作りをしてる。
………
文章がページを跨がない。
特にページを捲らせない。
それだけで読み易い。
この本はそれを踏まえて丁寧な製本がされていた。
実践で気付かされたんですよ。
実際、社長は講談社に連絡を入れてノベルス担当者に直接聞いたらしい。
何者なんだろ。ほんとに。
16時過ぎ。
全ての作業が終わった。
あとは編集部にデータを転送してっと。
お姉ちゃんにメールで知らせて、これで私の手は離れた。
「やれやれ。」
お風呂沸かしてあるから、汗を流して(かいてないけど)から帰ろう。
……
「あれ?」
髪の毛を事務所特製超大型速乾バスタオル(一畳敷)でふきふき洗面所を出たら、社長が来ていた。
慌てて一度洗面所に戻った。
「お帰りなさい。」
「……今、一度戻らなかった?」
「パンツを履いてしまっていたので。」
「……脱いできたの?」
「どうせブラは着けてませんでしたから。臨戦態勢です。」
「今、お茶を淹れているんだから、着て来なさい。全裸の女子高生と一服する趣味はありません。」
「社長も脱いで、全裸お茶会というのはいかがでしょう。」
「疲れているので、お断りします。」
「むむ、疲労を理由に夫婦生活を拒否するのは、倦怠期の始まりですよ。」
「15キロ歩いて来て、足が痙攣を起こしているので勘弁してください。土下座しますから。」
「全裸で?」
「社長と秘書が事務所で全裸でいる会社ってなんなんですか?」
まぁ、私だって冗談でパンツを脱いできたので。
社長に求められたら、それはそれでお受けしますけど、ジューサーミキサーでフルーツミックスジュースを作っている社長にそのスイッチが入っていない事は明らかだったから。
食卓には、近所の洋菓子店の箱が置いてあるし、多分区切りがついたのだろう。
私がまだここに居る時間を見込んで帰って来てくれたのは一目瞭然だったから、大人しくきちんと着直して、ドライヤーをしっかりかけた。
ここのシャンプー、私は私用のお高い(自宅じゃ使わない・使えない)シャンプーなので、しっかり洗い込めば明日の午前中まで香りが長持ちしてくれる。
今まで着ていた下着は洗濯機に放り込んで、乾燥までのオールメニュースタート。
着替えは普通にウォークイン・クローゼットに揃っているので、全裸のまんま入って行った。
あれ?
姿見が買ってある。
…一昨日、来た時無かったと思う。
社長、またやりやがったな。
まったくもう。
まったくもう。
………
「どうやらゴールが出来たよ。」
バナナ・キウイ・りんご・レモンのスムージー。
六甲の美味しい水。
いちごのショートケーキ。
おまけで「ダロワイヨ」のマカロン。東武百貨店で買って来てくれた物。
これだけで私は社長に全てを捧げたくなる、私の大好物!
目をハート形にして、もしゅもしゅ。
さっきのヒロと私は社長のペットという位置ではまったく同じだよ。
「うわぁ、桜が綺麗ですねぇ。」
「僕ら3人で行った時は、まだ蕾だったからねぇ。」
今日撮影した八鶴湖のほとりは、ピンクに染まっていた。
いいな。
見に行ったんだ、社長。
社長のタブレットを見せてもらう。
私達がロケハンで素通りした、御成街道と彫られた石碑(習志野市)。
徳川家光の愛馬を供養した観音堂(千葉市)。
家光は子供の頃、秀忠に付き添って御成街道を行き来していた事があったそうだ。
石の絵馬が多数収められている。
造成工事の目印とした塚の一部、提灯塚(千葉市)。
御茶屋御殿の正門を移築したとされる金光院(千葉市)。
こう言った、地元の伝承でしか残らなかった小さな史跡を、社長は細かく拾ってくれた。
更に、ゼンリン地図を社長が注文してくれたので、私はその地図に思う存分書き込んで、私が拾うべき史跡を拾い出す事が出来た。
お姉ちゃんとは、船橋市・千葉市各区・東金市の博物館や図書館を巡って、拾い出した史跡の資料を大量に積み上げてあるから、私の原稿も無事完成したわけです。
この1週間の別行動を話し合いながら、たちまち私達はテーブルの上をすっからかんにしたのでした。
★ ★ ★
4月!
進学先の短大がまだ入学式を開く前の日。
「脇街道を歩く・御成街道編」の原稿が全て終わり、出版社の公正チェックを終えて戻って来たデータを私達は読み込んでいた。
「………社長…、このデータの存在を聞いていないんですけど?」
「K社の南さんと、葛城君のところの編集部長の意向で、おまけとしてつける事になりました。文字起こし担当は全て南さんです。」
「聞いてない。」
「言ってない。」
くそ。
社長は涼しい顔してやがる。
グラビアと丁寧で上品な文章で纏められた雑誌側ではなく、一見乱雑・でも一度食い付けば読み易く整理されたHPの原稿の中に、裏メニューが混ざっていた。
それは、私達3人の馬鹿な会話だった。
「事務所での理沙くんとお姉さんのやりとりが面白かったからねぇ。隠しマイクを仕込んでみた。」
「おいこら。」
「南さんに聞いてもらったら、大爆笑してて、即文字化が決定したんだ。」
「あの、出来れば私達の許可を得て下さい。」
「担当Kとか、アシスタントKとか音声は出さず文字だけで匿名で出すから身バレしないよ。君のお姉さんの許可言質は取ってるし。」
「しまった。」
たしかにお姉ちゃんが、そんな事言ってた覚えがあるぞ。
「まぁ、オーディオなしのコメンタリーみたいなものだよ。多分初回特典で終わるだろうし。」
「あの、お姉ちゃんの醜態が丸々入っているんですけど。」
「別に普段の勤務時間と違うし、鉄の女だと思っていた葛城くんが、弱点だらけのダメ人間なところを家族ので前で見せているのが微笑ましいって、むしろ異動先に高評価。」
「…人生、真面目に生きておく物ですねぇ。」
3月がもうすぐ終わる年度末の日。
社長が求める資料を、お姉ちゃんと2人大宅壮一文庫にまで足を運んでなんとか集め終わった。
間髪入れずというか、
「理沙の締切は今月中ね。」
などと、お姉ちゃんから容赦無い催促を食らって、家でも事務所でもPCに向かっていた私です。
社長は相変わらず朝から御成街道を歩いているので、私のお相手はヒロしかいない。寂しい。
けど社長に相手にされないヒロも寂しいわけで。
「ちぃ」
「ご主人様はあなたを置き去りにして酷いよね。」
「ちぃ」
とはいえ、うさぎのヒロはドライフルーツがあるだけでご機嫌なので、私の隣でモシュモシュ齧っている。
ヒロと一緒にいる為に、私は和室で腹這いでPCを覗いている訳です。
「くっそぉ、ブラインドタッチをもっと真面目に覚えときゃ良かったよう。」
「ちぃ」
「見ながらでも、それなりに早く打てるから気にもしなかったのぉ。」
「ちぃ」
私の泣き言に、いちいち返事をしてくれるヒロが可愛い。
思わず手を止めて、抱きついてしまったよ。
「ちぃ」
私の細い腕に鼻面を押し付けて歓迎を表してくれるヒロが、またなお可愛い。
うさぎをこれだけ慣らした社長は一体何者なんだ。
…時々言うな、社長って何者なんだって。
…………
「この写真をここにこうレイアウトしてっと。」
PCからタブレットに変えて、タブレットペンで最終的に原稿を調整する。
文章の校正は既にお姉ちゃんが済ませてくれているので、読みやすい句読点の区切りを考えるところまでが創作者の仕事。
実際、うちの社長の著作を読むと、文章がページを跨がない。
そのページ内で必ず文章が終わる。
だから読む方も読み易く、中断し易い。
栞を挟んで1日2日合間をおいても、どの行まで読んだのか覚えておき易い。
これは紙の本だけで無く、横書きのHPにも通用させたいこだわりだ。
ただ細かい文字を詰め込んで、読者に忍耐を要求する文章なんか、読みたく無いよね。
社長が先に上げた横書きネット分原稿を見ても、目が無駄に左右に振られる事が無くて非常に読み易い。
社長って誰に習った訳でもないんだよね。
出版予定のレーベルと文字の等級を数えて、PC上の原稿用紙に執筆している段階で製本した後の事も計算して執筆しているんだよ。
しかもこれは、面倒くさくなってスマホで執筆している時も適用している原則だとか。
………
「そこまで作者が考える必要ってあるんですか?出版社なり、印刷所が調整すれば良いのでは無いですか?」
と、社長に質問をした事がある。
「んん?」
紀文の豆乳コーヒーのストローを咥えながら、社長は一冊の分厚い新書を本棚から取り出した。
京極夏彦の「魍魎の匣」。
これは姑獲鳥の夏と一緒に映画になっているから知ってます。
京極堂を堤真一が、榎木津探偵を阿部ちゃんが演ってた奴だね。
木場を宮迫が演ってたのは、今の彼の状況に関係なく失敗配役だと思う。
強面の鬼刑事の筈がちっちゃい。
本人はぶっきらぼうな演技をしているけど、いかんせん迫力がない。
「それは僕も思うし、関口くんは椎名桔平より永瀬正敏の方が情け無さが巧く表現されていて良かったけど、それはともかく、本の中身を見なさい。」
「厚いし重いし持ち歩けないし。お父さんは愛読していたシリーズだからうちにあるけど、読んだ事ありませんよ。」
女子高生が気軽に立ち読める重さじゃないので、ソファに座って膝の上で開いた。
……やばい、面白い。
たちまち物語の世界に引き込まれた。
先に映像を観ていた順番もあって、冒頭数ページを読み込んでしまった。
これだけ大量の文字数でも、時間が許せばいつまでも読んでいられる。
ん。
ん?
んんん?
「社長。」
「わかったかな?」
「はい。」
この人、森博嗣や西尾維新あたりと時々出版社やレーベルを通じて遊んでいた印象ばかりあったけど、凄い丁寧な本作りをしてる。
………
文章がページを跨がない。
特にページを捲らせない。
それだけで読み易い。
この本はそれを踏まえて丁寧な製本がされていた。
実践で気付かされたんですよ。
実際、社長は講談社に連絡を入れてノベルス担当者に直接聞いたらしい。
何者なんだろ。ほんとに。
16時過ぎ。
全ての作業が終わった。
あとは編集部にデータを転送してっと。
お姉ちゃんにメールで知らせて、これで私の手は離れた。
「やれやれ。」
お風呂沸かしてあるから、汗を流して(かいてないけど)から帰ろう。
……
「あれ?」
髪の毛を事務所特製超大型速乾バスタオル(一畳敷)でふきふき洗面所を出たら、社長が来ていた。
慌てて一度洗面所に戻った。
「お帰りなさい。」
「……今、一度戻らなかった?」
「パンツを履いてしまっていたので。」
「……脱いできたの?」
「どうせブラは着けてませんでしたから。臨戦態勢です。」
「今、お茶を淹れているんだから、着て来なさい。全裸の女子高生と一服する趣味はありません。」
「社長も脱いで、全裸お茶会というのはいかがでしょう。」
「疲れているので、お断りします。」
「むむ、疲労を理由に夫婦生活を拒否するのは、倦怠期の始まりですよ。」
「15キロ歩いて来て、足が痙攣を起こしているので勘弁してください。土下座しますから。」
「全裸で?」
「社長と秘書が事務所で全裸でいる会社ってなんなんですか?」
まぁ、私だって冗談でパンツを脱いできたので。
社長に求められたら、それはそれでお受けしますけど、ジューサーミキサーでフルーツミックスジュースを作っている社長にそのスイッチが入っていない事は明らかだったから。
食卓には、近所の洋菓子店の箱が置いてあるし、多分区切りがついたのだろう。
私がまだここに居る時間を見込んで帰って来てくれたのは一目瞭然だったから、大人しくきちんと着直して、ドライヤーをしっかりかけた。
ここのシャンプー、私は私用のお高い(自宅じゃ使わない・使えない)シャンプーなので、しっかり洗い込めば明日の午前中まで香りが長持ちしてくれる。
今まで着ていた下着は洗濯機に放り込んで、乾燥までのオールメニュースタート。
着替えは普通にウォークイン・クローゼットに揃っているので、全裸のまんま入って行った。
あれ?
姿見が買ってある。
…一昨日、来た時無かったと思う。
社長、またやりやがったな。
まったくもう。
まったくもう。
………
「どうやらゴールが出来たよ。」
バナナ・キウイ・りんご・レモンのスムージー。
六甲の美味しい水。
いちごのショートケーキ。
おまけで「ダロワイヨ」のマカロン。東武百貨店で買って来てくれた物。
これだけで私は社長に全てを捧げたくなる、私の大好物!
目をハート形にして、もしゅもしゅ。
さっきのヒロと私は社長のペットという位置ではまったく同じだよ。
「うわぁ、桜が綺麗ですねぇ。」
「僕ら3人で行った時は、まだ蕾だったからねぇ。」
今日撮影した八鶴湖のほとりは、ピンクに染まっていた。
いいな。
見に行ったんだ、社長。
社長のタブレットを見せてもらう。
私達がロケハンで素通りした、御成街道と彫られた石碑(習志野市)。
徳川家光の愛馬を供養した観音堂(千葉市)。
家光は子供の頃、秀忠に付き添って御成街道を行き来していた事があったそうだ。
石の絵馬が多数収められている。
造成工事の目印とした塚の一部、提灯塚(千葉市)。
御茶屋御殿の正門を移築したとされる金光院(千葉市)。
こう言った、地元の伝承でしか残らなかった小さな史跡を、社長は細かく拾ってくれた。
更に、ゼンリン地図を社長が注文してくれたので、私はその地図に思う存分書き込んで、私が拾うべき史跡を拾い出す事が出来た。
お姉ちゃんとは、船橋市・千葉市各区・東金市の博物館や図書館を巡って、拾い出した史跡の資料を大量に積み上げてあるから、私の原稿も無事完成したわけです。
この1週間の別行動を話し合いながら、たちまち私達はテーブルの上をすっからかんにしたのでした。
★ ★ ★
4月!
進学先の短大がまだ入学式を開く前の日。
「脇街道を歩く・御成街道編」の原稿が全て終わり、出版社の公正チェックを終えて戻って来たデータを私達は読み込んでいた。
「………社長…、このデータの存在を聞いていないんですけど?」
「K社の南さんと、葛城君のところの編集部長の意向で、おまけとしてつける事になりました。文字起こし担当は全て南さんです。」
「聞いてない。」
「言ってない。」
くそ。
社長は涼しい顔してやがる。
グラビアと丁寧で上品な文章で纏められた雑誌側ではなく、一見乱雑・でも一度食い付けば読み易く整理されたHPの原稿の中に、裏メニューが混ざっていた。
それは、私達3人の馬鹿な会話だった。
「事務所での理沙くんとお姉さんのやりとりが面白かったからねぇ。隠しマイクを仕込んでみた。」
「おいこら。」
「南さんに聞いてもらったら、大爆笑してて、即文字化が決定したんだ。」
「あの、出来れば私達の許可を得て下さい。」
「担当Kとか、アシスタントKとか音声は出さず文字だけで匿名で出すから身バレしないよ。君のお姉さんの許可言質は取ってるし。」
「しまった。」
たしかにお姉ちゃんが、そんな事言ってた覚えがあるぞ。
「まぁ、オーディオなしのコメンタリーみたいなものだよ。多分初回特典で終わるだろうし。」
「あの、お姉ちゃんの醜態が丸々入っているんですけど。」
「別に普段の勤務時間と違うし、鉄の女だと思っていた葛城くんが、弱点だらけのダメ人間なところを家族ので前で見せているのが微笑ましいって、むしろ異動先に高評価。」
「…人生、真面目に生きておく物ですねぇ。」
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