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魔法使いとの出会い
悪夢との再会
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その場に一人残されたロボは、大きく溜息をついてぼんやりと人混みを見ていた。
重く暗い感情が頭の中を支配していて、何かを考える気力が湧かない。
だが、ここにずっといても仕方がないので、頭を一度まっさらにする為に頭を強く振った。
この街に留まっていれば、治安維持部隊の3人に捕まるのは時間の問題だろう。
一刻も早く街を出て身を隠すのが一番なのだが、恐らくこの考えは読まれ、街の出入口は監視されている可能性が高い。
街の外周を囲うように建てられている高い塀をよじ登るのはとても難しく、今のロボの足では元より不可能だった。
一瞬、ダスティの足があれば塀を登るなんてことは容易だったのに…、との考えが頭に浮かんだが、それを舌打ちをして消した。
賭けるとしたら、この街から仕入れ、卸に出る馬車に忍び込むことだろうか。
人を乗せて出る馬車もあるが、獣人が乗っていれば警戒される。
それに、正規に街を出るにはそれなりの許可証が必要だ。
今のロボに、そんなもの持っている筈がなかった。
取り敢えず、馬車の様子でも見に行くか。
ロボはその場を移動しようと腰を浮かせたとき、頭上から声が降ってきた。
「友達は大事にしないとダメだよ」
聞き覚えのある声にロボは驚き、瞬時に顔を上げた。
先程見かけた顔、下っ端の男や被り物をした女に指示を出していた、ガタイのいい男だった。
周囲に溶け込めるように紋章の付いたジャケットは脱いで、裏返しにして右手に持ち、シャツだけの姿で男は立っていた。
ロボは浮かせていた腰を降ろした。
もう逃げ場はない。
既に一度反撃の手を使ってしまったのだ、同じ手は通用しないだろう。
それに先程のダスティとのやり取りを見られていたのなら、逆に丁度いい。
「あいつはもう関係ない」
ロボの言葉に男は頭にはてなを浮かべながら暫く考え、
「そういうことか」
となにか納得したように言った。
「別にそこまでするほどの給料貰ってないしな。安心していい」
男は何かを探すように自身の懐の辺りを触り、右手にぶら下がっている上着を見て、残念そうな顔をした。
「他の2人は?」
相手の情報を少しでも探る為に、返事が返ってくることをあまり期待せずに問いかけた。
男は仕事がひと段落着いたと思って気が抜けているのか、すんなりと返答した。
「喧嘩してうるさかったから、その辺で待機させてる。最近の若い子はなに考えてるか分かんないから苦労するよ」
男は大袈裟に溜息をついた。
「なんのために俺は連れていかれるんだ」
「さあな。この仕事長いけど、国がなんであんたらみたいな特定の獣人を回収しているのかは知らない。というか考えないようにしてる」
「それなら」
尚も会話を続けようとするロボを遮り、男はロボの腕を掴んだ。
「さ、もういいだろ? あんまり会話はしたくないんだ。情が移るから」
腕を引っ張られ無理矢理立ち上がった時、足の痛みで態勢を崩した。
その肩を男に捕まれ、肩を借りるような姿勢で歩いていた時、ロボの目の前に、誰かが立ち塞がった。
下を見ながら歩いていたロボはそれに気付かず、その目の前の人物にぶつかってしまった。
顔を上げると、フードで顔を隠した見覚えのある姿が立っていた。
「ねえ、君あの時の子だよね?」
数日前に会ったその忌々しい姿に、ロボは眉間に皺を寄せる。
「やっぱりそうだ! 良かった、会って謝りたくてあの日からずっと探していたんだ」
フードの男は嬉しそうなに口元を緩ませて、ロボの肩を掴んだ。
衝撃で身体が揺すられ、足の痛みで顔を歪ませる。
それにフードの男は気が付いたようで、心配するような声を掛けてきた。
「どうしたの? あの時の傷、まだ痛むの?」
ロボの身体を上から下まで見て、原因が足だと分かると、顔を上げてロボの顔を覗き込むように見てきた。
「足を怪我しているんだね。僕は医者ではないけど、多少知識はあるから応急処置程度は出来ると思うよ。その辺で座って怪我の具合を見させてくれないかな」
どれほどロボの事を探していたのか、前に会った時よりも大分興奮気味に話すフードの男に圧され、それまで呆気に取られていたガタイのいい男が、ようやく口を開いた。
「あー、俺等が治療する所だったんで、大丈夫ですよ」
「え? あー、そうだったんですか。それは余計な事をしちゃったかな。貴方はこの子の保護者の方ですか?」
「え、あーいや…、まあ、そんなもんです」
ガタイのいい男はどうしたもんかと頭を掻いた。
「じゃあ、俺等はこの辺で」
腕を引かれてその場を去ろうとする二人に、フードの男は再度声を掛けた。
「せめて二人の自宅まで、送らせてもらえませんか?」
「あー…、分かりました」
上手い断り方が思い浮かばなかったのか、ガタイのいい男は了承した。
フードの男は足の悪い俺をおんぶすると言い張って聞かず、ガタイのいい男も圧される形で渋々従っていた。
この男に助けを求めようかと思案したが、ここで安易に行動すればこの男にも危害が加わる可能性があるかもしれないと思い、ロボは口を噤んだ。
大通りを抜けて路地に差し掛かったところで、ガタイのいい男は
「もうこの辺りで」
と歩みを止めた。
フードの男は軽く周囲を確認すると、
「そうですね。あれ、なにか落としてますよ」
と答えてフードの男はしゃがみ込み、拾ったなにかをガタイの良い男に見せた。
その瞬間ローブの男は何かを呟いた。
重く暗い感情が頭の中を支配していて、何かを考える気力が湧かない。
だが、ここにずっといても仕方がないので、頭を一度まっさらにする為に頭を強く振った。
この街に留まっていれば、治安維持部隊の3人に捕まるのは時間の問題だろう。
一刻も早く街を出て身を隠すのが一番なのだが、恐らくこの考えは読まれ、街の出入口は監視されている可能性が高い。
街の外周を囲うように建てられている高い塀をよじ登るのはとても難しく、今のロボの足では元より不可能だった。
一瞬、ダスティの足があれば塀を登るなんてことは容易だったのに…、との考えが頭に浮かんだが、それを舌打ちをして消した。
賭けるとしたら、この街から仕入れ、卸に出る馬車に忍び込むことだろうか。
人を乗せて出る馬車もあるが、獣人が乗っていれば警戒される。
それに、正規に街を出るにはそれなりの許可証が必要だ。
今のロボに、そんなもの持っている筈がなかった。
取り敢えず、馬車の様子でも見に行くか。
ロボはその場を移動しようと腰を浮かせたとき、頭上から声が降ってきた。
「友達は大事にしないとダメだよ」
聞き覚えのある声にロボは驚き、瞬時に顔を上げた。
先程見かけた顔、下っ端の男や被り物をした女に指示を出していた、ガタイのいい男だった。
周囲に溶け込めるように紋章の付いたジャケットは脱いで、裏返しにして右手に持ち、シャツだけの姿で男は立っていた。
ロボは浮かせていた腰を降ろした。
もう逃げ場はない。
既に一度反撃の手を使ってしまったのだ、同じ手は通用しないだろう。
それに先程のダスティとのやり取りを見られていたのなら、逆に丁度いい。
「あいつはもう関係ない」
ロボの言葉に男は頭にはてなを浮かべながら暫く考え、
「そういうことか」
となにか納得したように言った。
「別にそこまでするほどの給料貰ってないしな。安心していい」
男は何かを探すように自身の懐の辺りを触り、右手にぶら下がっている上着を見て、残念そうな顔をした。
「他の2人は?」
相手の情報を少しでも探る為に、返事が返ってくることをあまり期待せずに問いかけた。
男は仕事がひと段落着いたと思って気が抜けているのか、すんなりと返答した。
「喧嘩してうるさかったから、その辺で待機させてる。最近の若い子はなに考えてるか分かんないから苦労するよ」
男は大袈裟に溜息をついた。
「なんのために俺は連れていかれるんだ」
「さあな。この仕事長いけど、国がなんであんたらみたいな特定の獣人を回収しているのかは知らない。というか考えないようにしてる」
「それなら」
尚も会話を続けようとするロボを遮り、男はロボの腕を掴んだ。
「さ、もういいだろ? あんまり会話はしたくないんだ。情が移るから」
腕を引っ張られ無理矢理立ち上がった時、足の痛みで態勢を崩した。
その肩を男に捕まれ、肩を借りるような姿勢で歩いていた時、ロボの目の前に、誰かが立ち塞がった。
下を見ながら歩いていたロボはそれに気付かず、その目の前の人物にぶつかってしまった。
顔を上げると、フードで顔を隠した見覚えのある姿が立っていた。
「ねえ、君あの時の子だよね?」
数日前に会ったその忌々しい姿に、ロボは眉間に皺を寄せる。
「やっぱりそうだ! 良かった、会って謝りたくてあの日からずっと探していたんだ」
フードの男は嬉しそうなに口元を緩ませて、ロボの肩を掴んだ。
衝撃で身体が揺すられ、足の痛みで顔を歪ませる。
それにフードの男は気が付いたようで、心配するような声を掛けてきた。
「どうしたの? あの時の傷、まだ痛むの?」
ロボの身体を上から下まで見て、原因が足だと分かると、顔を上げてロボの顔を覗き込むように見てきた。
「足を怪我しているんだね。僕は医者ではないけど、多少知識はあるから応急処置程度は出来ると思うよ。その辺で座って怪我の具合を見させてくれないかな」
どれほどロボの事を探していたのか、前に会った時よりも大分興奮気味に話すフードの男に圧され、それまで呆気に取られていたガタイのいい男が、ようやく口を開いた。
「あー、俺等が治療する所だったんで、大丈夫ですよ」
「え? あー、そうだったんですか。それは余計な事をしちゃったかな。貴方はこの子の保護者の方ですか?」
「え、あーいや…、まあ、そんなもんです」
ガタイのいい男はどうしたもんかと頭を掻いた。
「じゃあ、俺等はこの辺で」
腕を引かれてその場を去ろうとする二人に、フードの男は再度声を掛けた。
「せめて二人の自宅まで、送らせてもらえませんか?」
「あー…、分かりました」
上手い断り方が思い浮かばなかったのか、ガタイのいい男は了承した。
フードの男は足の悪い俺をおんぶすると言い張って聞かず、ガタイのいい男も圧される形で渋々従っていた。
この男に助けを求めようかと思案したが、ここで安易に行動すればこの男にも危害が加わる可能性があるかもしれないと思い、ロボは口を噤んだ。
大通りを抜けて路地に差し掛かったところで、ガタイのいい男は
「もうこの辺りで」
と歩みを止めた。
フードの男は軽く周囲を確認すると、
「そうですね。あれ、なにか落としてますよ」
と答えてフードの男はしゃがみ込み、拾ったなにかをガタイの良い男に見せた。
その瞬間ローブの男は何かを呟いた。
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