132 / 624
第八章
面接と日程
しおりを挟む
アカリさんサオリさんが終わった後は予告通り事務員さんや会計さんの面接だったので、俺とダリオさんを除く他の皆さんには帰って頂いた。というかアカサオ――面倒なのでリストさんがそう命名した――の採用も決定したので、ただちにクラブハウス、エルヴィレッジへ連行するような形だった。
さてこの「事務員さん会計さんの面接」というのがかなり退屈な内容で、と言うのももちろん仕事柄ゴブリンやオークのような忠誠心が怪しい連中を雇う訳もなく、ノームやガンス族という良く言えば真面目、悪く言えば面白味のない連中の面談をひたすら行ったからだ。
自己アピールの時間で突然モノマネを始めたり、ジャグリングを披露したり……という志望者は一人もおらず、のべ十数人夜までかかって採用活動をやりぬいた俺とダリオさんはすっかり疲れ切っていた。
「あー! 終わりました! お疲れさまです」
最後の一人が扉を閉めたのを確認したダリオさんが、猫のように伸びをしつつ叫ぶ。腰が反りグググっと胸が突き出される。
「まっ、窓でも開けましょうか?」
俺は意志の力を総動員してその風景から目を逸らし窓を開放して空気の通り道を作った。振り返ると解かれ広がったダリオさんの髪が、風に煽られ舞うように揺れていた。
「ありがとうございます。あー早くぜんぶ外してお風呂に入りたい!」
全部は外さないまでもボタンの上二つを開きながらダリオさんが叫ぶ。まだまだ窮屈だわ! というようにアレが存在を主張する。
「どうしました?」
「いえ、なんにも!」
疲れと開放感で自制心が緩みそうだ。俺は慌てて机に戻って書類を集め、事務的な精神状態へ戻ろうとする。
「ショウキチさんも入ります?」
「はいりません!」
俺の努力を粉砕しようとするかのようにダリオさんが言った。
「そうなんですか? 私は牛一頭でもお腹に入りそうです。一応二名分の軽食を持ってこさせますね」
「へ?」
間抜けな顔で固まる俺の前でダリオさんはドアを開け、通りかかった誰かに食事を注文した。
「入ります? てアレか。食事が腹に、て意味か……」
俺はその風景でようやく言葉の意味を理解した。
「あら? 他にあります?」
「いえぜんぜん!」
さとられたら駄目だ。俺は言葉少な目で否定してダリオさんに背を向け作業を続ける。
「もしかして……一緒にお風呂に、ですか? えっちですね」
「違います!」
俺が振り向いて猛烈な勢いで手を左右に振ると、ダリオさんは自分の胸を隠すような仕草をしつつ笑った。
「残念ですけど、お見せできる程のものは無くて」
いやあるやろ!
「最初は水着を着てならいけますが、それで良いでしょうか?」
最初以降はどうなるんだ!? とか水着でもエッチ過ぎでしょ!? とかツッコミの言葉は思いつくが口にはできない。代わりに口をついたのはとりあえずその水着についてだった。
「水着と言えば! 監督カンファレンスでセンシャ行事の廃止を訴える予定なんですが、開催は何時でしたっけ?」
「そうだ監督カンファレンス! エルフサッカードウ協会も出席するんでした。ええと……」
人をからかうのが大好きなドーンエルフとは言え、彼女はやっぱり王族で協会会長で責任者だった。ダリオさんはいつも着けている魔法の指輪を操作し、虚空にカレンダーめいた表を浮かばせる。
「いつもシーズン開幕の一ヶ月前なので……今から二週間後ですね」
監督カンファレンスはシーズン前に各種族チームの監督とサッカードウ協会会長らが一同に介し、リーグ戦のレギュレーション、日程や選手登録の期限や交代数、改正が有った場合はルールの変更点等を確認し合う会議の事だ。監督同士の顔合わせ的な側面が強いが、俺は前々から言っている通りセンシャという罰ゲーム――負けたチームの選手が水着姿で相手チームの馬車を洗う儀式――の廃止を提言する予定だった。
「二週間ですか。まあそれだけあれば準備はできるかな。あ、ついでなので他の予定も見せて下さい」
「ええ、どうぞ」
監督カンファレンスまでは思ったより日があったので、俺は別の行事を確認しておく事にした。
監督カンファレンスから二週間後にはメディア向けのキックオフセレモニーがある。こちらには監督とキャプテン、そしてチームの一押し選手が出席して開幕戦への意気込みや宣伝をメディアの前で行う。
その一週間後はスーパーカップ。リーグの覇者とカップ戦の王者が対戦するのだが、悔しい事にフェリダエチームが二冠してしまっているので対戦相手はノートリアスチーム――チャリティ的側面が強いのでノートリアスの収益が増えるように――となっている。
更にその一週間後がリーグ開幕だ。開幕戦の相手とホーム・アウェイは監督カンファレンスの時に発表されるので開幕戦だけは約一ヶ月、対戦相手の分析や対策が行える訳だ。
「この隙間隙間にこっちも何か入れたいですね。さし当たり、カンファレンスより前に保護者会ができれば」
保護者会とは要するにナリンさんに言ってた「選手の家族やパートナーだけを呼んで行う懇親会的パーティ」の事である。
「そうですね。確かに対戦相手が決まったら戦術練習も的を絞ったものになりますし、家族とはいえ部外者の出入りは避けたい所です」
ダリオさんの言うことは尤もだ。別に選手の家族が情報を漏らすとは思っていないが、単純に出入りする人数が多くて警備に隙ができる事は避けたい。
「あ、でも家族と言えば……」
と思いつつも俺はダリオさんへからかい返しを行いたくなって言葉を続ける。
「保護者会、ダリオさんの場合はやっぱりレブロン王をお呼びすべきですか?」
そう、ダリオ姫の父親はレブロン王。『残雪溶かす朝の光』王国の国王でありドーンエルフ屈指の魔術の達人であり、なんというかオモロイおっさんでもある。ダリオさんとは血を分けた親子なので保護者と言えば彼がそれに当たるのは当然であった。
「父ですか!? 父ですか……うーん」
腕を組み悩むダリオさんの胸で別のちちが苦しんでいた。良い眺めだ。いやあれだけ俺をからかったダリオさんが悩んでいる風景が、ね?
「保護者会の目的の半分は『こういう施設でご息女をお預かりしてますよ』て見せる為なので、レブロン王には不要と言えば不要ですが」
クラブハウス、エルヴィレッジのお披露目会は、こと上層部に対してはもう終わっている。実は完成して真っ先に行ったのだ。何せブツはエルフ王家の物だし。本当の所は、エルフ王家が俺から借りているものだが。
「いや、その、父が……一般の方と一緒に見学したり食事を取ってお酒を飲んだりという事をすると……」
確かにそうだ。
「まあこことクラブハウスは近いですし無理には……」
「ダリオ様、失礼します」
悩む俺たちの部屋のドアでノックの音が鳴った。見ると、侍従さんがダリオさんに頼まれた軽食を運んできた様だった。
さてこの「事務員さん会計さんの面接」というのがかなり退屈な内容で、と言うのももちろん仕事柄ゴブリンやオークのような忠誠心が怪しい連中を雇う訳もなく、ノームやガンス族という良く言えば真面目、悪く言えば面白味のない連中の面談をひたすら行ったからだ。
自己アピールの時間で突然モノマネを始めたり、ジャグリングを披露したり……という志望者は一人もおらず、のべ十数人夜までかかって採用活動をやりぬいた俺とダリオさんはすっかり疲れ切っていた。
「あー! 終わりました! お疲れさまです」
最後の一人が扉を閉めたのを確認したダリオさんが、猫のように伸びをしつつ叫ぶ。腰が反りグググっと胸が突き出される。
「まっ、窓でも開けましょうか?」
俺は意志の力を総動員してその風景から目を逸らし窓を開放して空気の通り道を作った。振り返ると解かれ広がったダリオさんの髪が、風に煽られ舞うように揺れていた。
「ありがとうございます。あー早くぜんぶ外してお風呂に入りたい!」
全部は外さないまでもボタンの上二つを開きながらダリオさんが叫ぶ。まだまだ窮屈だわ! というようにアレが存在を主張する。
「どうしました?」
「いえ、なんにも!」
疲れと開放感で自制心が緩みそうだ。俺は慌てて机に戻って書類を集め、事務的な精神状態へ戻ろうとする。
「ショウキチさんも入ります?」
「はいりません!」
俺の努力を粉砕しようとするかのようにダリオさんが言った。
「そうなんですか? 私は牛一頭でもお腹に入りそうです。一応二名分の軽食を持ってこさせますね」
「へ?」
間抜けな顔で固まる俺の前でダリオさんはドアを開け、通りかかった誰かに食事を注文した。
「入ります? てアレか。食事が腹に、て意味か……」
俺はその風景でようやく言葉の意味を理解した。
「あら? 他にあります?」
「いえぜんぜん!」
さとられたら駄目だ。俺は言葉少な目で否定してダリオさんに背を向け作業を続ける。
「もしかして……一緒にお風呂に、ですか? えっちですね」
「違います!」
俺が振り向いて猛烈な勢いで手を左右に振ると、ダリオさんは自分の胸を隠すような仕草をしつつ笑った。
「残念ですけど、お見せできる程のものは無くて」
いやあるやろ!
「最初は水着を着てならいけますが、それで良いでしょうか?」
最初以降はどうなるんだ!? とか水着でもエッチ過ぎでしょ!? とかツッコミの言葉は思いつくが口にはできない。代わりに口をついたのはとりあえずその水着についてだった。
「水着と言えば! 監督カンファレンスでセンシャ行事の廃止を訴える予定なんですが、開催は何時でしたっけ?」
「そうだ監督カンファレンス! エルフサッカードウ協会も出席するんでした。ええと……」
人をからかうのが大好きなドーンエルフとは言え、彼女はやっぱり王族で協会会長で責任者だった。ダリオさんはいつも着けている魔法の指輪を操作し、虚空にカレンダーめいた表を浮かばせる。
「いつもシーズン開幕の一ヶ月前なので……今から二週間後ですね」
監督カンファレンスはシーズン前に各種族チームの監督とサッカードウ協会会長らが一同に介し、リーグ戦のレギュレーション、日程や選手登録の期限や交代数、改正が有った場合はルールの変更点等を確認し合う会議の事だ。監督同士の顔合わせ的な側面が強いが、俺は前々から言っている通りセンシャという罰ゲーム――負けたチームの選手が水着姿で相手チームの馬車を洗う儀式――の廃止を提言する予定だった。
「二週間ですか。まあそれだけあれば準備はできるかな。あ、ついでなので他の予定も見せて下さい」
「ええ、どうぞ」
監督カンファレンスまでは思ったより日があったので、俺は別の行事を確認しておく事にした。
監督カンファレンスから二週間後にはメディア向けのキックオフセレモニーがある。こちらには監督とキャプテン、そしてチームの一押し選手が出席して開幕戦への意気込みや宣伝をメディアの前で行う。
その一週間後はスーパーカップ。リーグの覇者とカップ戦の王者が対戦するのだが、悔しい事にフェリダエチームが二冠してしまっているので対戦相手はノートリアスチーム――チャリティ的側面が強いのでノートリアスの収益が増えるように――となっている。
更にその一週間後がリーグ開幕だ。開幕戦の相手とホーム・アウェイは監督カンファレンスの時に発表されるので開幕戦だけは約一ヶ月、対戦相手の分析や対策が行える訳だ。
「この隙間隙間にこっちも何か入れたいですね。さし当たり、カンファレンスより前に保護者会ができれば」
保護者会とは要するにナリンさんに言ってた「選手の家族やパートナーだけを呼んで行う懇親会的パーティ」の事である。
「そうですね。確かに対戦相手が決まったら戦術練習も的を絞ったものになりますし、家族とはいえ部外者の出入りは避けたい所です」
ダリオさんの言うことは尤もだ。別に選手の家族が情報を漏らすとは思っていないが、単純に出入りする人数が多くて警備に隙ができる事は避けたい。
「あ、でも家族と言えば……」
と思いつつも俺はダリオさんへからかい返しを行いたくなって言葉を続ける。
「保護者会、ダリオさんの場合はやっぱりレブロン王をお呼びすべきですか?」
そう、ダリオ姫の父親はレブロン王。『残雪溶かす朝の光』王国の国王でありドーンエルフ屈指の魔術の達人であり、なんというかオモロイおっさんでもある。ダリオさんとは血を分けた親子なので保護者と言えば彼がそれに当たるのは当然であった。
「父ですか!? 父ですか……うーん」
腕を組み悩むダリオさんの胸で別のちちが苦しんでいた。良い眺めだ。いやあれだけ俺をからかったダリオさんが悩んでいる風景が、ね?
「保護者会の目的の半分は『こういう施設でご息女をお預かりしてますよ』て見せる為なので、レブロン王には不要と言えば不要ですが」
クラブハウス、エルヴィレッジのお披露目会は、こと上層部に対してはもう終わっている。実は完成して真っ先に行ったのだ。何せブツはエルフ王家の物だし。本当の所は、エルフ王家が俺から借りているものだが。
「いや、その、父が……一般の方と一緒に見学したり食事を取ってお酒を飲んだりという事をすると……」
確かにそうだ。
「まあこことクラブハウスは近いですし無理には……」
「ダリオ様、失礼します」
悩む俺たちの部屋のドアでノックの音が鳴った。見ると、侍従さんがダリオさんに頼まれた軽食を運んできた様だった。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!
ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。
幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。
婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。
王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。
しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。
貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。
遠回しに二人を注意するも‥
「所詮あなたは他人だもの!」
「部外者がしゃしゃりでるな!」
十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。
「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」
関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが…
一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。
なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…
よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
今世ではあなたと結婚なんてお断りです!
水川サキ
恋愛
私は夫に殺された。
正確には、夫とその愛人である私の親友に。
夫である王太子殿下に剣で身体を貫かれ、死んだと思ったら1年前に戻っていた。
もう二度とあんな目に遭いたくない。
今度はあなたと結婚なんて、絶対にしませんから。
あなたの人生なんて知ったことではないけれど、
破滅するまで見守ってさしあげますわ!
魔王城のグルメハンター
しゃむしぇる
ファンタジー
20XX年 正体不明のウイルスによって世界は恐慌状態に陥った。政府の打ち出した感染対策である大規模なロックダウンや人流制限により、職を失い世にあぶれる人々が溢れた。
主人公の瑞野 カオルもその一人だ。今まで働いていた飲食店が閉店し、職を探していた彼のもとに、強盗に遭いそうになっている老人と鉢合わせる。
その老人を助けたカオルは徐々に数奇な運命に巻き込まれていく。
冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
転生おばさんは有能な侍女
吉田ルネ
恋愛
五十四才の人生あきらめモードのおばさんが転生した先は、可憐なお嬢さまの侍女でした
え? 婚約者が浮気? え? 国家転覆の陰謀?
転生おばさんは忙しい
そして、新しい恋の予感……
てへ
豊富な(?)人生経験をもとに、お嬢さまをおたすけするぞ!
文太と真堂丸
だかずお
歴史・時代
これは、とある時代を生きた、信念を貫いた人間達の物語である。
その時代、国、人々は冷酷無比、恐ろしい怪物達を率いる大帝国と言う軍勢に支配されつつあった。
逆らう者など皆無、人々の心は絶望と言う名の闇に侵食されつつあった。
そんな時代に奇妙な縁の中、出会い、繋がっていく者達
お互いを大切な生命と認識する彼らは、絶望と言う名の巨大な闇に立ち向かう。
そこで待ち受けるのは、想像を絶するほどの恐怖、裏切り、愛する仲間の死、人間と言う心の闇
彼らは魂から抉り出される闇と立ち向かっていく。
これは人間と言う、己の心、精神、信念に向き合い、自らの魂である刀と共に、友情と愛に生きた人間達の、心震わす魂の物語である。
(現在こちらの作品の続きはAmazonでの販売、もしくは、Amazonの読み放題で読めるようになっています、Kindleアンリミテッド登録中の方は無料で読めるようになっているので是非見て下さい。Amazonのサイトにて、こちらのタイトルを検索して頂けると読める様になっています)
どうせ結末は変わらないのだと開き直ってみましたら
風見ゆうみ
恋愛
「もう、無理です!」
伯爵令嬢である私、アンナ・ディストリーは屋根裏部屋で叫びました。
男の子がほしかったのに生まれたのが私だったという理由で家族から嫌われていた私は、密かに好きな人だった伯爵令息であるエイン様の元に嫁いだその日に、エイン様と実の姉のミルーナに殺されてしまいます。
それからはなぜか、殺されては子どもの頃に巻き戻るを繰り返し、今回で11回目の人生です。
何をやっても同じ結末なら抗うことはやめて、開き直って生きていきましょう。
そう考えた私は、姉の機嫌を損ねないように目立たずに生きていくことをやめ、学園生活を楽しむことに。
学期末のテストで1位になったことで、姉の怒りを買ってしまい、なんと婚約を解消させられることに!
これで死なずにすむのでは!?
ウキウキしていた私の前に元婚約者のエイン様が現れ――
あなたへの愛情なんてとっくに消え去っているんですが?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる