15 / 624
第一章
しゅうにん、にん〇〇
しおりを挟む
メインスタンドの内部はまだ騒然としていた。興奮するエルフ側スタッフの歓声、試合運営担当らしきリザードマンやゴブリンの奮闘、破れたミノタウロス側スタッフの落胆。
そんな混沌の中、ダリオさんは時折訪れる関係者の祝福に笑顔で応えながらも歩みを止めず進んでいく。やがて、何階分か階段を登った所に目的地らしき部屋があった。
監督室、とナリンさんは言っていた筈だ。確かに机や椅子や黒板があり、フォーメーションや背番号が書かれたメモが乱雑に散らかっている。なんと、卓上にはスタジアムの巨大水晶球の小型版があり、インタビュアーに何か答えているナリンさんとカイヤさんの姿があった。中継まであるのかよ。
『翻訳の魔法をかけます』
ダリオさんは俺に椅子を勧め扉を閉めると、口と耳を指さして何か言った。
「あ、はい。どうぞ……」
その仕草で事情を察し、俺は立ったまま目を閉じ腕を広げる。今度はダリオさんとか……ドキドキ。
「どうですか? 理解できますか?」
唇と耳に細く柔らかい物が触れ、ダリオさんの言葉が意味を成すモノに変わった。
「あれ? 指? キスじゃなくて良いんですか?」
「あら? キスが必要ですか?」
知らない。いや、完全に理解した。アレはシャマーさん独自のやり方だな、おのれあの悪戯娘!
「いえ、たぶん俺の勘違……」
「動かないで下さい……ん」
ダリオさんは俺を抱きしめ、唇に唇を重ねる。俺の後頭部に回した手と吐息が色っぽい。微かに舌が俺の歯に触れ甘い柑橘系の匂いがした。
「今日の勝利のお礼です。……さて、ここからは大事な話を」
今の行為以上に大事な話なんてあるのか!?
「ナリンやカイヤとどういう話になっていたかは存じ上げませんが、貴方を正式にエルフ代表チームの監督として迎えたいと思います」
「あっ……そっすか」
「驚かないのですね。自信アリ、てことでしょうか?」
ダリオさんはゾクっとするような笑みを浮かべて言う。
「自信はないですけれど」
既にミノタウロスさんとドラゴン氏、二人というか二頭からそういう話をされているのだ。いい加減、俺にも方向性が見えてくる。
「もしかして既に何処かからオファーを受けていますか?」
「いや、アシスタントコーチですけれど。ミノタウロスの監督さんから『美女と迷宮を用意する』って。ジョークっぽいですよね?」
「げ! マジ? 最大のオファーじゃない、もう!」
驚いた。アレは本気の話だったのか。それとダリオさんの口調。
「普段の喋りはそんな感じなんすね」
「え? やだ、私としたことが……」
ダリオさんは気まずそうにテーブルの水差しに手を伸ばし、コップに一杯注いで飲む。
「美女と迷宮て本当にあるんですか?」
話を逸らそうと俺の方から問いかける。
「え? あっ、ええ。彼らは迷宮に住むのが一つのステータスなのです」
美女の方は教えてくれなかった。いや、別に大事じゃないし!
「まいりました。こちらもそれを上回るオファーを出さないと」
「ダリオさんの一存で決められるものなんですか?」
「ええ。私はエルフサッカードウ協会の会長です」
げ! マジ? 会長で監督で姫でキャプテンって……忙し過ぎじゃない? 労基に電話しようか?
「パパに頼んで宝物庫を開けますか……」
「いや、待って下さい! 普通で! ふつーで良いですよ」
エルフの宝物なんておっかなくて触りたくない。
「では受けてくださるのですか?」
「ええ。報酬は……普通の衣食住を確保してくれるだけで良いです」
実際、まだスタジアムから一歩も出てないのでこの世界やエルフの王国がどんな魔境かは分からないのだ。街の外は魔獣が跋扈する荒野で、俺には生計を立てる手段も身を守る術もないかもしれない。だったら衣食住をエルフさんに保証されるのが一番だ。
まあサッカーができて娯楽として観戦される程度には文明国っぽいけど。
「でもそれとは別に幾つか条件があります」
「聞きます」
「誤解があるみたいなんですけど、俺はサッカーに詳しい訳じゃないんです。DAZNやYOUTUBEで過去も現在の試合も観るしゲームもするけど。練習の指導なんて、とでもできそうにない」
途中、彼女には意味不明の単語が入ったが、ダリオさんは我慢強く聞いてくれている。
「だから、コーチを何人かつけて下さい。何なら俺の給料から回しても良い。俺が観てきた戦術や概念をコーチ達に伝える、それを実現する手段と練習をコーチ達が考えて選手に指導する。そういう形ならいけるかもです」
いけるかも? だからね!
「なるほど。言わば貴方が将軍で戦略を決め、参謀や千人隊長が具体的な戦術を考える……といった形ですね」
将軍……プラティニか。悪くはないな。
「俺の世界ではGM、総監督とも言いますね。練習環境を整えたり選手獲得を決めたりもしますが。欲張り過ぎですか?」
「いえ、正直助かります。全部、私が一人でやってきた部分ですので」
労基! 労基仕事して!
「じゃあいっその事お手伝い兼異世界の知識を時々入れ知恵マンだと思って雇って下さいよ」
可哀想過ぎて少し慰めるように言う。
「それは私たちのオファーを受ける、という意味で良いのですね?」
「はい。契約書はいま書きますか?」
「いいえ、それは王城で。でもここは握手で仮締結しましょう」
ダリオさんはにこっと笑って手を差し出す。俺も微笑みながら彼女の手を握った。
「目標は一部リーグ優勝ですか?」
「まさか。残念ながら今年と同じく残留が現実的な目標です。中位で成功、5位以内なら大成功です」
ずいぶんささやかな目標だな。3位のミノタウロスさんに勝ったのに。でも正直、それなら余裕で勝算アリだろう。他のチーム知らないけど。
DFにはぶっつけ本番でアレをやってのけた三名がいる。リーシャさんダリオさんも計算できるし、なにせ中盤にはあのカイヤさんがいる。高いテクニックと戦術理解度。彼女がいるなら、色んな戦術を試せるだろう。
「でも受けてくれて本当に良かったです。これでカイヤも安心してサンキューに入れるでしょう」
「はい? お礼が何か?」
ダリオさん、また口調が砕けたものになったか?
「そうですね、カイヤもお礼を言いたい筈です。有終の美を飾って、産休期間に入れるのですから」
「有終の美?」
「あら、ご存じでないのですか? 彼女、妊娠初期です。今季終了後から選手を一時引退する予定でしたが、大事をとってシーズン後半から試合に出てませんでした。でも最後に大仕事をしてくれました」
「妊娠……!?」
俺は水晶球に映るカイヤさんを見つめた。プレイヤー・オブ・ザ・マッチのトロフィーを受け取る彼女の顔には、溢れんばかりの喜びと……母性が滲み出している。
「ええ。あ、旦那さんです。素敵なカップルですよね」
水晶球にスタンドから身を乗り出して手を振るイケメンエルフ男性の姿が映る。
「そんな……騙された……」
こうして、DAZNとYOUTUBEとウイイレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが……俺は就任直後に最も信頼できるゲームメイカーと、片想いのエルフを失ってしまった。
第一章:完
そんな混沌の中、ダリオさんは時折訪れる関係者の祝福に笑顔で応えながらも歩みを止めず進んでいく。やがて、何階分か階段を登った所に目的地らしき部屋があった。
監督室、とナリンさんは言っていた筈だ。確かに机や椅子や黒板があり、フォーメーションや背番号が書かれたメモが乱雑に散らかっている。なんと、卓上にはスタジアムの巨大水晶球の小型版があり、インタビュアーに何か答えているナリンさんとカイヤさんの姿があった。中継まであるのかよ。
『翻訳の魔法をかけます』
ダリオさんは俺に椅子を勧め扉を閉めると、口と耳を指さして何か言った。
「あ、はい。どうぞ……」
その仕草で事情を察し、俺は立ったまま目を閉じ腕を広げる。今度はダリオさんとか……ドキドキ。
「どうですか? 理解できますか?」
唇と耳に細く柔らかい物が触れ、ダリオさんの言葉が意味を成すモノに変わった。
「あれ? 指? キスじゃなくて良いんですか?」
「あら? キスが必要ですか?」
知らない。いや、完全に理解した。アレはシャマーさん独自のやり方だな、おのれあの悪戯娘!
「いえ、たぶん俺の勘違……」
「動かないで下さい……ん」
ダリオさんは俺を抱きしめ、唇に唇を重ねる。俺の後頭部に回した手と吐息が色っぽい。微かに舌が俺の歯に触れ甘い柑橘系の匂いがした。
「今日の勝利のお礼です。……さて、ここからは大事な話を」
今の行為以上に大事な話なんてあるのか!?
「ナリンやカイヤとどういう話になっていたかは存じ上げませんが、貴方を正式にエルフ代表チームの監督として迎えたいと思います」
「あっ……そっすか」
「驚かないのですね。自信アリ、てことでしょうか?」
ダリオさんはゾクっとするような笑みを浮かべて言う。
「自信はないですけれど」
既にミノタウロスさんとドラゴン氏、二人というか二頭からそういう話をされているのだ。いい加減、俺にも方向性が見えてくる。
「もしかして既に何処かからオファーを受けていますか?」
「いや、アシスタントコーチですけれど。ミノタウロスの監督さんから『美女と迷宮を用意する』って。ジョークっぽいですよね?」
「げ! マジ? 最大のオファーじゃない、もう!」
驚いた。アレは本気の話だったのか。それとダリオさんの口調。
「普段の喋りはそんな感じなんすね」
「え? やだ、私としたことが……」
ダリオさんは気まずそうにテーブルの水差しに手を伸ばし、コップに一杯注いで飲む。
「美女と迷宮て本当にあるんですか?」
話を逸らそうと俺の方から問いかける。
「え? あっ、ええ。彼らは迷宮に住むのが一つのステータスなのです」
美女の方は教えてくれなかった。いや、別に大事じゃないし!
「まいりました。こちらもそれを上回るオファーを出さないと」
「ダリオさんの一存で決められるものなんですか?」
「ええ。私はエルフサッカードウ協会の会長です」
げ! マジ? 会長で監督で姫でキャプテンって……忙し過ぎじゃない? 労基に電話しようか?
「パパに頼んで宝物庫を開けますか……」
「いや、待って下さい! 普通で! ふつーで良いですよ」
エルフの宝物なんておっかなくて触りたくない。
「では受けてくださるのですか?」
「ええ。報酬は……普通の衣食住を確保してくれるだけで良いです」
実際、まだスタジアムから一歩も出てないのでこの世界やエルフの王国がどんな魔境かは分からないのだ。街の外は魔獣が跋扈する荒野で、俺には生計を立てる手段も身を守る術もないかもしれない。だったら衣食住をエルフさんに保証されるのが一番だ。
まあサッカーができて娯楽として観戦される程度には文明国っぽいけど。
「でもそれとは別に幾つか条件があります」
「聞きます」
「誤解があるみたいなんですけど、俺はサッカーに詳しい訳じゃないんです。DAZNやYOUTUBEで過去も現在の試合も観るしゲームもするけど。練習の指導なんて、とでもできそうにない」
途中、彼女には意味不明の単語が入ったが、ダリオさんは我慢強く聞いてくれている。
「だから、コーチを何人かつけて下さい。何なら俺の給料から回しても良い。俺が観てきた戦術や概念をコーチ達に伝える、それを実現する手段と練習をコーチ達が考えて選手に指導する。そういう形ならいけるかもです」
いけるかも? だからね!
「なるほど。言わば貴方が将軍で戦略を決め、参謀や千人隊長が具体的な戦術を考える……といった形ですね」
将軍……プラティニか。悪くはないな。
「俺の世界ではGM、総監督とも言いますね。練習環境を整えたり選手獲得を決めたりもしますが。欲張り過ぎですか?」
「いえ、正直助かります。全部、私が一人でやってきた部分ですので」
労基! 労基仕事して!
「じゃあいっその事お手伝い兼異世界の知識を時々入れ知恵マンだと思って雇って下さいよ」
可哀想過ぎて少し慰めるように言う。
「それは私たちのオファーを受ける、という意味で良いのですね?」
「はい。契約書はいま書きますか?」
「いいえ、それは王城で。でもここは握手で仮締結しましょう」
ダリオさんはにこっと笑って手を差し出す。俺も微笑みながら彼女の手を握った。
「目標は一部リーグ優勝ですか?」
「まさか。残念ながら今年と同じく残留が現実的な目標です。中位で成功、5位以内なら大成功です」
ずいぶんささやかな目標だな。3位のミノタウロスさんに勝ったのに。でも正直、それなら余裕で勝算アリだろう。他のチーム知らないけど。
DFにはぶっつけ本番でアレをやってのけた三名がいる。リーシャさんダリオさんも計算できるし、なにせ中盤にはあのカイヤさんがいる。高いテクニックと戦術理解度。彼女がいるなら、色んな戦術を試せるだろう。
「でも受けてくれて本当に良かったです。これでカイヤも安心してサンキューに入れるでしょう」
「はい? お礼が何か?」
ダリオさん、また口調が砕けたものになったか?
「そうですね、カイヤもお礼を言いたい筈です。有終の美を飾って、産休期間に入れるのですから」
「有終の美?」
「あら、ご存じでないのですか? 彼女、妊娠初期です。今季終了後から選手を一時引退する予定でしたが、大事をとってシーズン後半から試合に出てませんでした。でも最後に大仕事をしてくれました」
「妊娠……!?」
俺は水晶球に映るカイヤさんを見つめた。プレイヤー・オブ・ザ・マッチのトロフィーを受け取る彼女の顔には、溢れんばかりの喜びと……母性が滲み出している。
「ええ。あ、旦那さんです。素敵なカップルですよね」
水晶球にスタンドから身を乗り出して手を振るイケメンエルフ男性の姿が映る。
「そんな……騙された……」
こうして、DAZNとYOUTUBEとウイイレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが……俺は就任直後に最も信頼できるゲームメイカーと、片想いのエルフを失ってしまった。
第一章:完
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!
ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。
幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。
婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。
王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。
しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。
貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。
遠回しに二人を注意するも‥
「所詮あなたは他人だもの!」
「部外者がしゃしゃりでるな!」
十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。
「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」
関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが…
一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。
なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…
よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
今世ではあなたと結婚なんてお断りです!
水川サキ
恋愛
私は夫に殺された。
正確には、夫とその愛人である私の親友に。
夫である王太子殿下に剣で身体を貫かれ、死んだと思ったら1年前に戻っていた。
もう二度とあんな目に遭いたくない。
今度はあなたと結婚なんて、絶対にしませんから。
あなたの人生なんて知ったことではないけれど、
破滅するまで見守ってさしあげますわ!
魔王城のグルメハンター
しゃむしぇる
ファンタジー
20XX年 正体不明のウイルスによって世界は恐慌状態に陥った。政府の打ち出した感染対策である大規模なロックダウンや人流制限により、職を失い世にあぶれる人々が溢れた。
主人公の瑞野 カオルもその一人だ。今まで働いていた飲食店が閉店し、職を探していた彼のもとに、強盗に遭いそうになっている老人と鉢合わせる。
その老人を助けたカオルは徐々に数奇な運命に巻き込まれていく。
冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
転生おばさんは有能な侍女
吉田ルネ
恋愛
五十四才の人生あきらめモードのおばさんが転生した先は、可憐なお嬢さまの侍女でした
え? 婚約者が浮気? え? 国家転覆の陰謀?
転生おばさんは忙しい
そして、新しい恋の予感……
てへ
豊富な(?)人生経験をもとに、お嬢さまをおたすけするぞ!
文太と真堂丸
だかずお
歴史・時代
これは、とある時代を生きた、信念を貫いた人間達の物語である。
その時代、国、人々は冷酷無比、恐ろしい怪物達を率いる大帝国と言う軍勢に支配されつつあった。
逆らう者など皆無、人々の心は絶望と言う名の闇に侵食されつつあった。
そんな時代に奇妙な縁の中、出会い、繋がっていく者達
お互いを大切な生命と認識する彼らは、絶望と言う名の巨大な闇に立ち向かう。
そこで待ち受けるのは、想像を絶するほどの恐怖、裏切り、愛する仲間の死、人間と言う心の闇
彼らは魂から抉り出される闇と立ち向かっていく。
これは人間と言う、己の心、精神、信念に向き合い、自らの魂である刀と共に、友情と愛に生きた人間達の、心震わす魂の物語である。
(現在こちらの作品の続きはAmazonでの販売、もしくは、Amazonの読み放題で読めるようになっています、Kindleアンリミテッド登録中の方は無料で読めるようになっているので是非見て下さい。Amazonのサイトにて、こちらのタイトルを検索して頂けると読める様になっています)
どうせ結末は変わらないのだと開き直ってみましたら
風見ゆうみ
恋愛
「もう、無理です!」
伯爵令嬢である私、アンナ・ディストリーは屋根裏部屋で叫びました。
男の子がほしかったのに生まれたのが私だったという理由で家族から嫌われていた私は、密かに好きな人だった伯爵令息であるエイン様の元に嫁いだその日に、エイン様と実の姉のミルーナに殺されてしまいます。
それからはなぜか、殺されては子どもの頃に巻き戻るを繰り返し、今回で11回目の人生です。
何をやっても同じ結末なら抗うことはやめて、開き直って生きていきましょう。
そう考えた私は、姉の機嫌を損ねないように目立たずに生きていくことをやめ、学園生活を楽しむことに。
学期末のテストで1位になったことで、姉の怒りを買ってしまい、なんと婚約を解消させられることに!
これで死なずにすむのでは!?
ウキウキしていた私の前に元婚約者のエイン様が現れ――
あなたへの愛情なんてとっくに消え去っているんですが?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる