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第5章の8・天使か…の ぷち話し
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「無謀!」
片手で甲をぶん投げる甲の父親・魁。
「ぐぅ!」
受け身も取れず、床に叩き付けられる甲。
「今一度問う。お前の言う強さとは何だ。」
「…決まり切った事を。」
体を起こし、答える甲。
「圧倒的な力だ。」
そう言って魁に向かっていく甲。だが…
「…ぬんっ。」
「う、お?!」
またしても魁に投げ飛ばされ、地に転がる。
「裏腹だな。」
迷いなく『圧倒的な力』と言いながら、その心には真逆の思いがある事を、魁は見破っていた。
「…お前では牙王を倒せん。」
甲を見下ろす魁。その目から放たれる威圧感に、甲は立ち上がる事が出来なかった。
「修行が足らぬ。強者が多く居る、龍青学園へ行け。」
「りゅうせい…学園?」
「そうだ。そこには強い者達が居る。お前の様な偽の強さではない、真の強さを持った者達がな。」
「偽…だと?」
立ち上れないまま甲は、歯を食いしばった。
悔しかった…何も出来なかった事が。腹が立った…指一本触れる事も出来なかった自分に。そして偽の強さと言われた事が…。
〝親父…俺はもう間違わない。もう…迷いなど無い〟
強化プラスチックを破壊した甲。右拳は血まみれでも、力がみなぎっていた。
右拳を使えない甲に、次々に攻撃を仕掛ける安郷達。
「おらぁ!」
他の塾生を殴り飛ばした甲の背に、金属バットを打ち付ける安郷。
「どうじゃあ!」
「…で?」
安郷の方を向き、見下ろす甲。目から放たれる威圧感に、安郷は動けなくなった。
「あ、あ…」
「ふん!」
固まった安郷の顔面に、甲の左拳がめり込む。そして吹っ飛んで転がる安郷。
〝こいつはあの時の俺だ。ふ…情けない〟
魁に指一本触れることが出来なかった自分を思い返し、苦笑いする甲。
「く、くそ…」
ビビッて動けない馬場崎達。
〝さすがにこんな顔はしないだろうが…さて、親父はどんな顔をするかな〟
次に戻った時、成長した自分を見た魁がどんな顔をするか…。甲はそんな事を考え、ほくそ笑んでいた。
「さぁ早く来い。大丈夫、一瞬だ。一発で仕留めてやる。」
優しさと強さを兼ね備え、新生・谷角甲、ここに誕生。
片手で甲をぶん投げる甲の父親・魁。
「ぐぅ!」
受け身も取れず、床に叩き付けられる甲。
「今一度問う。お前の言う強さとは何だ。」
「…決まり切った事を。」
体を起こし、答える甲。
「圧倒的な力だ。」
そう言って魁に向かっていく甲。だが…
「…ぬんっ。」
「う、お?!」
またしても魁に投げ飛ばされ、地に転がる。
「裏腹だな。」
迷いなく『圧倒的な力』と言いながら、その心には真逆の思いがある事を、魁は見破っていた。
「…お前では牙王を倒せん。」
甲を見下ろす魁。その目から放たれる威圧感に、甲は立ち上がる事が出来なかった。
「修行が足らぬ。強者が多く居る、龍青学園へ行け。」
「りゅうせい…学園?」
「そうだ。そこには強い者達が居る。お前の様な偽の強さではない、真の強さを持った者達がな。」
「偽…だと?」
立ち上れないまま甲は、歯を食いしばった。
悔しかった…何も出来なかった事が。腹が立った…指一本触れる事も出来なかった自分に。そして偽の強さと言われた事が…。
〝親父…俺はもう間違わない。もう…迷いなど無い〟
強化プラスチックを破壊した甲。右拳は血まみれでも、力がみなぎっていた。
右拳を使えない甲に、次々に攻撃を仕掛ける安郷達。
「おらぁ!」
他の塾生を殴り飛ばした甲の背に、金属バットを打ち付ける安郷。
「どうじゃあ!」
「…で?」
安郷の方を向き、見下ろす甲。目から放たれる威圧感に、安郷は動けなくなった。
「あ、あ…」
「ふん!」
固まった安郷の顔面に、甲の左拳がめり込む。そして吹っ飛んで転がる安郷。
〝こいつはあの時の俺だ。ふ…情けない〟
魁に指一本触れることが出来なかった自分を思い返し、苦笑いする甲。
「く、くそ…」
ビビッて動けない馬場崎達。
〝さすがにこんな顔はしないだろうが…さて、親父はどんな顔をするかな〟
次に戻った時、成長した自分を見た魁がどんな顔をするか…。甲はそんな事を考え、ほくそ笑んでいた。
「さぁ早く来い。大丈夫、一瞬だ。一発で仕留めてやる。」
優しさと強さを兼ね備え、新生・谷角甲、ここに誕生。
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