上 下
4 / 5
Mission【1】EXPLORER

《2》目標『マス・ア・ティエラ』を調査せよ

しおりを挟む
『実はこれ、準惑星じゃなくて彗星じゃないのか?』

 正直、こんな印象をティエラを手に入れてすぐ調査した時から感じていた、でもその時は興奮に負けたのとフェルたちとの合流もあったから詳しく調査はしていなかった、でもティエラに関しての調査リクエストは情報展望センターにDDos攻撃と判定されるぎりぎりくらいの頻度で多岐にわたって送り続け、その具体的な調査をするための情報は山ほど溜まってきていた。

「宇宙船を設計するにもその目的地の情報を知ることが重要だ、デュオ経由で情報展望センターの端末に並列接続して情報収集、定点情報はたくさんあるから、ピケはなんでそうなったのか? ってのを分析してほしい……勘で」
「らじゃーだよロビロビ! ピケのしっくすせんしずは、コスモをりょうがするんだよ」
 シャキーン!と効果音のしそうなポーズをとったあと、颯爽とあたりの資料をあさり始めた。

「フェルはデュオを使って宇宙船エクスプローラーとティエラのエンカウント用航路パターンを何個か洗い出してみて、ティエラはふらふらしてるからその軌道予測も頼むよ」
「おっしゃ、いつも通りだなキャップ、今回からは検証範囲が短くなったからな、ちょっと深めに割り出してみるぜ」
 ※情報展望センターの端末は星などの調査には使用できるが、完全に個人的な計算などの用途での利用は基本的にはできない

 そして僕は宇宙船の船体の設計だ、アストラ銀河の一般的な宇宙船やコロニー、居住部などは全て一定の規格が決められたセパレートパーツと呼ばれるプラモデルやブロックのようなものがあり、必要な要件に応じてその組み合わせを無限に変えられる楽しさがある。

「まずは3人が乗れる広さの『ブリッジ』をミニマムサイズで設定して『居住部』はまずは省く……それと調査フライトだから『ロボットアーム』をつけないと補助エレは出ないからその辺のオプションはコミコミにしておいて……」

◇ ◇

 ……。

「……い」

 ……。

「お~い」

 ……。

「お~い、ロビン~」
「ロビロビ~!」

 ……!

「お、やっと気が付いたな」
「ロビロビはセパレートパーツのせっけーはじめるといっつもこうだよね~」
「悪い悪い」

「それでねそれでね! ロビロビ、ティエラなんだけどだんだんちっちゃくなってるっぽいー!」
「小さく?」
「そうそう、ちょっけー190キロくらいかもー! あとなんかおそくなってるぽい?」

 僕が最初に調べた時は直径200KMだったものが190KM、さすがに今どきの観測機器でこの誤差はありえない、距離10AUでも100M単位の誤差の時代だぞ――って、聞き間違いか? 遅くなってる?
 ※AU(1AUとは太陽と地球の)距離の単位、本作ではその時々の話の流れから判断できる恒星とその恒星の惑星で生命が居る(ハビタブルゾーン内に限る)一番近い星という意味で使用します

「小さくなるのも気になるけど、遅く……そんなことあるのか? 外から来てるんだから恒星とかに引っ張られて加速するならわかる……、ピケちょっと調べてくれ、小さくなって遅くなってるだけか? 他……重さとかはどうだ?」
「ん! まっててーしらべとくー」

 どういうことだ、昨日調べた時の経路では間違いなく恒星データやアストラ銀河の外から飛来して来たはずだ……そこに飛び込んできたのならほぼ大抵の場合、引力にひかれて加速する以外はないはずだ、しかもここはアストラ銀河の中でも最外郭に位置している――『ほぼ大抵』のパターンもありえない。

「次は俺の番だ、あの星の軌道の前に自転を調べてみたんだがどうにもめちゃくちゃ重い小さな物質を中心に回ってるみたいだぜ、完全に未知の物質だ、とりあえず物質Xって呼ぶことにした」

 昨日も情報に出てた未知の物質か、物質X……言い得て妙だな。

「そんで次な、物質Xはちょっとだけ置いといて、あの星の地表なんだけど恒星ゼータに面している部分が溶けてるっていうか気化して重力圏外に散ってるみたいだな、窒素やら気化しやすい物質やらそんなとこだろうな」
「それが小さくなってる理由になるのかもしれないな、それで軌道のほうは?」
「まだ意味不明なとこが多いんだが……まず、物質Xはたぶん重さはあるんだが他の物質の引力の影響は受けてないな、これだけでも意味不明すぎるんだが……どうやらその物質Xを中心として地表までの質量が多い面の方向に動く的な? 意味不明な挙動になってるっぽいぜ」
  ※卵を例にすると、とがっている方向に移動する力が働いています

 意味不明すぎる……でも全くもって未知の物質か、面白そうじゃないか。

 * 用語説明 *

 ◆未知の物質
 現時点では仮名として『物質X』と呼ぶ
 ・非常に重い(と思われる)
 ・他の引力影響を受けていない(と思われる)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

嫌われ者の悪役令息に転生したのに、なぜか周りが放っておいてくれない

AteRa
ファンタジー
エロゲの太ったかませ役に転生した。 かませ役――クラウスには処刑される未来が待っている。 俺は死にたくないので、痩せて死亡フラグを回避する。 *書籍化に際してタイトルを変更いたしました!

私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください。

アーエル
ファンタジー
旧題:私は『聖女ではない』ですか。そうですか。帰ることも出来ませんか。じゃあ『勝手にする』ので放っといて下さい。 【 聖女?そんなもん知るか。報復?復讐?しますよ。当たり前でしょう?当然の権利です! 】 地震を知らせるアラームがなると同時に知らない世界の床に座り込んでいた。 同じ状況の少女と共に。 そして現れた『オレ様』な青年が、この国の第二王子!? 怯える少女と睨みつける私。 オレ様王子は少女を『聖女』として選び、私の存在を拒否して城から追い出した。 だったら『勝手にする』から放っておいて! 同時公開 ☆カクヨム さん ✻アルファポリスさんにて書籍化されました🎉 タイトルは【 私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください 】です。 そして番外編もはじめました。 相変わらず不定期です。 皆さんのおかげです。 本当にありがとうございます🙇💕 これからもよろしくお願いします。

チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️ ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。  嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる! 転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。 新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか?? 更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!

『覇王アンシュラオンの異世界スレイブサーガ』 (旧名:欠番覇王の異世界スレイブサーガ)

園島義船(ぷるっと企画)
ファンタジー
★【重要】しばらくは本家の「小説家になろう」のほうだけの更新となります★ ――――――――――――――――――――――― 【燃焼系世界】に転生した少年の、バトルあり、ほのぼのあり、シリアスあり、ギャグありのバトル系ハーレム物語(+最強姉)。  生まれ変わったら、「姉とイチャラブして暮らしたい。ついでに強い力で守ってあげて、頼られたい」。姉属性大好きの元日本人のアンシュラオンは、そんな願いをもって転生したものの、生まれた異世界にいた姉は、最高の資質を持つはずの自分すら超える【最強の姉】であった。  激しく溺愛され、その重い愛で貞操すら(過去に自ら喜んで)奪われ、半ば家畜同然に暮らしていたが、ようやく逃げ出すことに成功する。常に支配され続け、激しいトラウマを負った彼が次に求めるのは、「従順な女性とイチャラブしたい」という願望。そこで目をつけたのがスレイブ(奴隷)である。  「そうだ。スレイブならば、オレを支配しないはずだ。何でも言うことを聞いてくれるし」  そんな単純で不純な動機でスレイブに手を染めるのだが、それが彼の運命を大きく変えていくことになる。  覇王アンシュラオンと『災厄の魔人』である最強姉のパミエルキが織り成す、異世界バトルハーレムファンタジー! ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――  ここはフロンティア。安っぽい倫理観などなく、暴力と金だけが物を言う魔獣溢れる未開の大地。嫌いなやつを殺すことも自由。奪うのも自由。誰かを愛するのも自由。誰かを助けるのも自由。そんな中で好き勝手に生きる少年が、お姉さんとイチャついたり、女の子たちを優遇したり、おっさんと仲良くしたり、商売を始めたり、都市や国を創ったり、魔獣を飼い慣らしたりする物語。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ※しばらく毎日更新予定。最低でも【午前一時】に1話アップ ※よろしければ評価、ブックマークよろしくお願いします(=^^=) ※以前のもの「欠番覇王の異世界スレイブサーガ」とは異なる新バージョンです。草案に基づいてリメイク、違う展開の新版として再スタートしています!旧版は作者HPで掲載しています。 〇小説家になろう、カクヨムでも同時連載しています。 https://ncode.syosetu.com/n7933hg/ https://kakuyomu.jp/works/16816700429162584988 〇HP https://puruttokikaku.com/ 〇ブログ https://puruttokikaku.muragon.com/

異世界に吹っ飛ばされたんで帰ろうとしたら戦車で宇宙を放浪するハメになったんですが

おっぱいもみもみ怪人
ファンタジー
敵の攻撃によって拾った戦車ごと異世界へと飛ばされた自衛隊員の二人。 そこでは、不老の肉体と特殊な能力を得て、魔獣と呼ばれる怪物退治をするハメに。 更には奴隷を買って、遠い宇宙で戦車を強化して、どうにか帰ろうと悪戦苦闘するのであった。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

キャンピングカーで往く異世界徒然紀行

タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》 【書籍化!】 コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。 早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。 そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。 道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが… ※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜 ※カクヨム様でも投稿をしております

悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~

こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。 それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。 かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。 果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!? ※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。

処理中です...