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メメたん
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もしかしたら今日で人生が終わってしまうかもしれない。それどころかもしあの光る物体が本当にUFOだったら、俺氏の行動一つで今日で地球の運命が決まってしまうかもしれない。だけどもしUFOだったとして友好的な宇宙人が乗っていたら、俺氏は一躍時の人となることが出来るだろう。
どうせろくでもない毎日だ。俺氏は覚悟を決め、光る洗濯機(仮)の前に震える足で歩を進めた。しゃがみ込み、視線を側面に合わせる。そこで初めて気付いた。……自分の呼吸すら震えていることに。
それどころか全身は打ち上げられた魚のように、小刻みにビクンビクンと震えている。歯はカチカチと鳴らないように強く噛み締めていたおかげで鳴らずに済んだが、人は恐怖で呼吸すらも震えることを知り変な感心をしてしまう。
何度目かの光が俺氏を照らした時、震える指先で洗濯機(仮)に触れてみた。温度は熱くもなければ冷たくもないといった感じで特に何も思わなかったが、質感はまさに金属製だと思った。
そう思ったのも束の間、先ほどまで一定間隔でポワン! ポワン! と光っていた点滅が早くなる。どんどんと早くなるその光に音を付けるとするなら、爆発間近のピピピピ……という警告音のようだ。
腰が抜け体も上手く動かすことが出来ないが、なんとかこの場から逃げようと必死に後退る。だが腰が抜けて震えすぎ、上手く動かせない体ではどんなに頑張っても数センチしか動けないことに絶望した。その時、洗濯機(仮)の側面が静かに開いた。
上から下に向かって開いた側面は地面に倒れるように触れ、さながらファッションショーの花道のようになる。俺氏の目の前にできたその花道を「光の玉」が転がってきた。光る玉状の物体ではなく、まさしく「光の玉」だ。白く眩しく光るそれは、輪郭が周囲の闇と溶け合っている。
「……! ……っ!」
叫びたくても最高潮の恐怖心から声が出ない。声が出ない代わりに汗と涙と鼻水だけは大量に出て来る。そんな俺氏のことなど気にもしないように「光の玉」はゆっくりと形状を変え、玉の左右に細長いものが形成されていく。例えるなら腕だ。玉と同じように光る腕が俺氏に迫る。
殺される! と思い覚悟を決めた。なんてつまらない人生。なんてちっぽけな俺氏。そんなことを思いながら全てを諦め、その光る腕をただ眺めていると、なんと俺氏の両耳にそれはズボッと入って来た。
「あぴょーんあびょーんぺねらるぴっぺぱちゅーん」
訳の分からない言葉が口から出て来る。意識もあるし自分の口から出て来る音も聞こえている。耳の中は痛くはないが違和感が半端ない。
だが耳から入ってきたその腕は、俺氏の脳みそのシワとシワの間を動いているかのような、脳を直接触って撫でくり回しているような、なんとも不愉快な感覚がし、猛烈に気持ちが悪い。
兎にも角にも脳をいじられているのが分かり、そのせいで口から勝手に変な言葉が出てくるのだ。
ひとしきり俺氏の頭蓋骨内を堪能した光る腕は、光る玉へと戻っていくと段々と縦に伸びていった。呆然と見つめるしかない俺氏の前で、やがて光る玉は音もなく人型になっていった。
ただの白い光だったそれは段々とカラフルに色付いていき、最後は目を開けていられない程に眩く光った。
あまりの眩しさに咄嗟に目を瞑っていたが、何の反応もないため恐る恐る目を開けた。するとそこにいたのは……。
「メ……メメたん!?」
「……エ……?」
間違いない。俺氏の汗と努力と性癖が詰まったメメたんがそこにいた。
メメたんを語るには、まず日本が世界に誇るバーチャルアイドル「未来美子」について語らねばならない。
もはや日本で知らない人はいないと言われる程のバーチャルアイドル「未来美子」、彼女は日本のオタクたちの前にある日颯爽と現れた。「未来から来た美しい女の子」をコンセプトにしたミクミコは赤い髪をポニーテールにし、その髪の長さは腰まである。
袖が無い、ミニスカートばりの短さのデザインの着物を身にまとい、花魁のような派手な帯をしている。
そんな和服のような格好なのに革の長手袋をはめ、ニーハイブーツを履き、ギターを弾きながらポップスからロックまで歌い上げるその歌姫を海外のオタクたちは「キモノガール!」と持て囃し、逆輸入という形で有名になったのだ。
確かにミクミコのビジュアルは相当良く、男だけではなく女にもファンが増え、この日本で瞬く間に有名となった。
可愛い。確かに可愛いのだが、俺氏の性癖にはピクリとも反応しなかった。あえてどこがとは言わないが、俺氏の一部分だけがピクリと反応するバーチャルアイドルを作ろうと俺氏は頑張った。
俺氏はパソコンで絵を書く技術がないのでひたすら手書きで絵を書いた。書いては消しを繰り返し、やっと満足の出来る領域に到達したのがメメたんだ。
俺氏は「美しい女神を愛し愛でる」をコンセプトに「美神愛愛」とそのキャラに名付けた。
メメたんの髪は甘~いミルクティー色をしていて、高い位置でツインテールをしている。毛先は緩く内巻きにカールしていて胸元まである。その毛先が胸元、もといマシュマロの山の頂にある重要突起物の位置を示しているという裏設定まで考えたのが素晴らしい。
服装は白と黒を基調としたクラシカルなメイド服だが、胸元を強調するデザインでもちろんミニスカートだ。ミニスカートの中は俺氏以外に見られるといけないので、白いフリフリのアンダースコートを履いている。清潔さとエロさを兼ねた黒いニーハイは絶対領域を際立たせ、リボンの付いた少々厚底の丸みを帯びたパンプスを履いている。
メイクは全体的にピンクで統一し、その辺のアイドルグループのセンターを凌ぐ可愛さだ。
そんなメメたんが実体を持って目の前にいる。毎日毎日想像して、あらゆる妄想をしていたメメたんがだ。
俺氏の一部分がピクリと反応する前に、全身が反応してしまった。血が滾り、血管は拡張しドクドクと脈打つ。
そして興奮し過ぎた俺氏は、両方の鼻穴から血を吹き出しそのまま気を失った。
どうせろくでもない毎日だ。俺氏は覚悟を決め、光る洗濯機(仮)の前に震える足で歩を進めた。しゃがみ込み、視線を側面に合わせる。そこで初めて気付いた。……自分の呼吸すら震えていることに。
それどころか全身は打ち上げられた魚のように、小刻みにビクンビクンと震えている。歯はカチカチと鳴らないように強く噛み締めていたおかげで鳴らずに済んだが、人は恐怖で呼吸すらも震えることを知り変な感心をしてしまう。
何度目かの光が俺氏を照らした時、震える指先で洗濯機(仮)に触れてみた。温度は熱くもなければ冷たくもないといった感じで特に何も思わなかったが、質感はまさに金属製だと思った。
そう思ったのも束の間、先ほどまで一定間隔でポワン! ポワン! と光っていた点滅が早くなる。どんどんと早くなるその光に音を付けるとするなら、爆発間近のピピピピ……という警告音のようだ。
腰が抜け体も上手く動かすことが出来ないが、なんとかこの場から逃げようと必死に後退る。だが腰が抜けて震えすぎ、上手く動かせない体ではどんなに頑張っても数センチしか動けないことに絶望した。その時、洗濯機(仮)の側面が静かに開いた。
上から下に向かって開いた側面は地面に倒れるように触れ、さながらファッションショーの花道のようになる。俺氏の目の前にできたその花道を「光の玉」が転がってきた。光る玉状の物体ではなく、まさしく「光の玉」だ。白く眩しく光るそれは、輪郭が周囲の闇と溶け合っている。
「……! ……っ!」
叫びたくても最高潮の恐怖心から声が出ない。声が出ない代わりに汗と涙と鼻水だけは大量に出て来る。そんな俺氏のことなど気にもしないように「光の玉」はゆっくりと形状を変え、玉の左右に細長いものが形成されていく。例えるなら腕だ。玉と同じように光る腕が俺氏に迫る。
殺される! と思い覚悟を決めた。なんてつまらない人生。なんてちっぽけな俺氏。そんなことを思いながら全てを諦め、その光る腕をただ眺めていると、なんと俺氏の両耳にそれはズボッと入って来た。
「あぴょーんあびょーんぺねらるぴっぺぱちゅーん」
訳の分からない言葉が口から出て来る。意識もあるし自分の口から出て来る音も聞こえている。耳の中は痛くはないが違和感が半端ない。
だが耳から入ってきたその腕は、俺氏の脳みそのシワとシワの間を動いているかのような、脳を直接触って撫でくり回しているような、なんとも不愉快な感覚がし、猛烈に気持ちが悪い。
兎にも角にも脳をいじられているのが分かり、そのせいで口から勝手に変な言葉が出てくるのだ。
ひとしきり俺氏の頭蓋骨内を堪能した光る腕は、光る玉へと戻っていくと段々と縦に伸びていった。呆然と見つめるしかない俺氏の前で、やがて光る玉は音もなく人型になっていった。
ただの白い光だったそれは段々とカラフルに色付いていき、最後は目を開けていられない程に眩く光った。
あまりの眩しさに咄嗟に目を瞑っていたが、何の反応もないため恐る恐る目を開けた。するとそこにいたのは……。
「メ……メメたん!?」
「……エ……?」
間違いない。俺氏の汗と努力と性癖が詰まったメメたんがそこにいた。
メメたんを語るには、まず日本が世界に誇るバーチャルアイドル「未来美子」について語らねばならない。
もはや日本で知らない人はいないと言われる程のバーチャルアイドル「未来美子」、彼女は日本のオタクたちの前にある日颯爽と現れた。「未来から来た美しい女の子」をコンセプトにしたミクミコは赤い髪をポニーテールにし、その髪の長さは腰まである。
袖が無い、ミニスカートばりの短さのデザインの着物を身にまとい、花魁のような派手な帯をしている。
そんな和服のような格好なのに革の長手袋をはめ、ニーハイブーツを履き、ギターを弾きながらポップスからロックまで歌い上げるその歌姫を海外のオタクたちは「キモノガール!」と持て囃し、逆輸入という形で有名になったのだ。
確かにミクミコのビジュアルは相当良く、男だけではなく女にもファンが増え、この日本で瞬く間に有名となった。
可愛い。確かに可愛いのだが、俺氏の性癖にはピクリとも反応しなかった。あえてどこがとは言わないが、俺氏の一部分だけがピクリと反応するバーチャルアイドルを作ろうと俺氏は頑張った。
俺氏はパソコンで絵を書く技術がないのでひたすら手書きで絵を書いた。書いては消しを繰り返し、やっと満足の出来る領域に到達したのがメメたんだ。
俺氏は「美しい女神を愛し愛でる」をコンセプトに「美神愛愛」とそのキャラに名付けた。
メメたんの髪は甘~いミルクティー色をしていて、高い位置でツインテールをしている。毛先は緩く内巻きにカールしていて胸元まである。その毛先が胸元、もといマシュマロの山の頂にある重要突起物の位置を示しているという裏設定まで考えたのが素晴らしい。
服装は白と黒を基調としたクラシカルなメイド服だが、胸元を強調するデザインでもちろんミニスカートだ。ミニスカートの中は俺氏以外に見られるといけないので、白いフリフリのアンダースコートを履いている。清潔さとエロさを兼ねた黒いニーハイは絶対領域を際立たせ、リボンの付いた少々厚底の丸みを帯びたパンプスを履いている。
メイクは全体的にピンクで統一し、その辺のアイドルグループのセンターを凌ぐ可愛さだ。
そんなメメたんが実体を持って目の前にいる。毎日毎日想像して、あらゆる妄想をしていたメメたんがだ。
俺氏の一部分がピクリと反応する前に、全身が反応してしまった。血が滾り、血管は拡張しドクドクと脈打つ。
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