スコア稼ぎ短編小説集

文字の大きさ
上 下
87 / 137

しおりを挟む
「大聖霊さま、コイツが足ふんだー」
「ちがうよ大聖霊さま、さきに足をふんだのはコイツだっ!」

 人一人いな森の中。静かなはずの大木の影から、ひそひそ……とは言い難い会話が聞こえてきた。
 彼らは森の精。この森を治める妖精たちである。

「こーら、ケンカしないの。最初から、私にわかるように話してごらんなさい?」

 二人の仲裁に入ったのは、この森全体を治める大聖霊。
 白いワンピースにも似た衣服は、周囲の葉の色を反射して淡い緑色に染まっている。深緑色の瞳と、同色の髪を持った彼女は、ときに保護者としての一面を見せる。

「……みーくんが足ふんだの」
「りーくんが足をだしてジャマをするからだよ」

 交互に二人の意見を聞いていた大聖霊は何度か頷くと、両手をそれぞれの精の前に突き出し、静止のジェスチャーをした。

「二人の話はよくわかったわ」
「「それじゃあ……」」
「どっちも悪い」

 互いに有罪判決が下るのを今か今かと待ちわびて瞳を輝かせていた二人の顔が、ありえない、といった表情に変わった。

「まず、りーくん。りーくんは、みーくんの邪魔をしたのね。みーくんがみー嫌がっているのを理解してあげないといけなかった」

 りーくんに向かって言い切った大聖霊は、みーくんに向き直ると、

「みーくんは、素直にどいてって言えなかったのね。口より手が……今回の場合足だけど、が出るのはみーくんのわるいところ。口に出して言わないと伝わらないわ」

 まだまだ未熟な森の精二人は、こくこくと首を縦に振ると「ごめんなさい」と言った。
 どうやら解決できたようだ。

 ほっとした大聖霊は、二人がこの森を守り続け、正しい方向へと未来を導いてくれることを願いつつ、その場を後にした。


- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -


 なんか久しぶりのストーリーだなあって。
 最近はTwitterにUPしていたssや詩の投稿ばかりだったからだな。

 他の小説に関連することなのですが、応援にはすごい力があるということを改めて実感しました。
「お話の世界に引き込まれる」や「世界観に引き込まれる」といった感想は、私にとって本望というか、とっても嬉しいのです。

 えへへへっへへへへっ(キモイ)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

校長先生の話が長い、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。 学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。 とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。 寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ? なぜ女子だけが前列に集められるのか? そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。 新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。 あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

我慢できないっ

滴石雫
大衆娯楽
我慢できないショートなお話

壁の薄いアパートで、隣の部屋から喘ぎ声がする

サドラ
恋愛
最近付き合い始めた彼女とアパートにいる主人公。しかし、隣の部屋からの喘ぎ声が壁が薄いせいで聞こえてくる。そのせいで欲情が刺激された両者はー

処理中です...