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仲
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「大聖霊さま、コイツが足ふんだー」
「ちがうよ大聖霊さま、さきに足をふんだのはコイツだっ!」
人一人いな森の中。静かなはずの大木の影から、ひそひそ……とは言い難い会話が聞こえてきた。
彼らは森の精。この森を治める妖精たちである。
「こーら、ケンカしないの。最初から、私にわかるように話してごらんなさい?」
二人の仲裁に入ったのは、この森全体を治める大聖霊。
白いワンピースにも似た衣服は、周囲の葉の色を反射して淡い緑色に染まっている。深緑色の瞳と、同色の髪を持った彼女は、ときに保護者としての一面を見せる。
「……みーくんが足ふんだの」
「りーくんが足をだしてジャマをするからだよ」
交互に二人の意見を聞いていた大聖霊は何度か頷くと、両手をそれぞれの精の前に突き出し、静止のジェスチャーをした。
「二人の話はよくわかったわ」
「「それじゃあ……」」
「どっちも悪い」
互いに有罪判決が下るのを今か今かと待ちわびて瞳を輝かせていた二人の顔が、ありえない、といった表情に変わった。
「まず、りーくん。りーくんは、みーくんの邪魔をしたのね。みーくんがみー嫌がっているのを理解してあげないといけなかった」
りーくんに向かって言い切った大聖霊は、みーくんに向き直ると、
「みーくんは、素直にどいてって言えなかったのね。口より手が……今回の場合足だけど、が出るのはみーくんのわるいところ。口に出して言わないと伝わらないわ」
まだまだ未熟な森の精二人は、こくこくと首を縦に振ると「ごめんなさい」と言った。
どうやら解決できたようだ。
ほっとした大聖霊は、二人がこの森を守り続け、正しい方向へと未来を導いてくれることを願いつつ、その場を後にした。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
なんか久しぶりのストーリーだなあって。
最近はTwitterにUPしていたssや詩の投稿ばかりだったからだな。
他の小説に関連することなのですが、応援にはすごい力があるということを改めて実感しました。
「お話の世界に引き込まれる」や「世界観に引き込まれる」といった感想は、私にとって本望というか、とっても嬉しいのです。
えへへへっへへへへっ(キモイ)
「ちがうよ大聖霊さま、さきに足をふんだのはコイツだっ!」
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彼らは森の精。この森を治める妖精たちである。
「こーら、ケンカしないの。最初から、私にわかるように話してごらんなさい?」
二人の仲裁に入ったのは、この森全体を治める大聖霊。
白いワンピースにも似た衣服は、周囲の葉の色を反射して淡い緑色に染まっている。深緑色の瞳と、同色の髪を持った彼女は、ときに保護者としての一面を見せる。
「……みーくんが足ふんだの」
「りーくんが足をだしてジャマをするからだよ」
交互に二人の意見を聞いていた大聖霊は何度か頷くと、両手をそれぞれの精の前に突き出し、静止のジェスチャーをした。
「二人の話はよくわかったわ」
「「それじゃあ……」」
「どっちも悪い」
互いに有罪判決が下るのを今か今かと待ちわびて瞳を輝かせていた二人の顔が、ありえない、といった表情に変わった。
「まず、りーくん。りーくんは、みーくんの邪魔をしたのね。みーくんがみー嫌がっているのを理解してあげないといけなかった」
りーくんに向かって言い切った大聖霊は、みーくんに向き直ると、
「みーくんは、素直にどいてって言えなかったのね。口より手が……今回の場合足だけど、が出るのはみーくんのわるいところ。口に出して言わないと伝わらないわ」
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どうやら解決できたようだ。
ほっとした大聖霊は、二人がこの森を守り続け、正しい方向へと未来を導いてくれることを願いつつ、その場を後にした。
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