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山之内
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破天荒。
その言葉のイメージが最も近いだろうか。説明するのには少し難しい。
いやいや、言い方を変えればクズだろうか。絵に描いたようなクズ、だろうか。客観的に一つ一つ、ひも解いていこうか。
まず、嫁、子供がいる。一番上が当時大学受験の頃に彼は延岡に単身赴任でやってきた。
前の勤務先時代、あまり絡みはなかった。但し、一つだけ覚えていた。彼は社歴も年齢も上であり、先輩であった。業務上どうすればいいか分からなかった僕は彼に聞いた。彼に聞いた事をそのまま実行すると、少しトラブルとなった。
「あの時、こうやってああすればいいって言ったじゃないですか!?」
と僕が言うと、全力で否定、どころか、ものすごい剣幕で全力でマウントを取ってきた事だけは覚えている。
2人、ママレードによく通った。単身でこちらに来た彼は時間を持て余していた。彼の歪んだ体育会系のノリでは、通常、先輩から誘われれば、後輩はついていくものだった。僕は時に嫁に冷たい目をされながらも、飲みに出ていた。
僕は真理恵推しだった。
彼は全く違った。
彼は1度入店したラウンジの子を大層気に入ったのだった。
しずかと言った。
彼本人も時折言ってはいたが、顔がそんなに可愛いわけではない。僕から見れば、その辺にいるごく普通の女の子にしか見えない。
彼は、しずかとの恋愛相談を真理恵に受けてもらう体で、ママレードに入り浸るようになっていった。ママレードは常時開店しているわけではなかった。ママレードが開いていない時には、彼は1人でパチンコに通っていた。
相談を受ける真理恵も真理恵だった。
しずかからきたLINEを彼が真理恵に見せ、
「真理恵先生、次はどうやって返信したらいいでしょうか?」
と問い、真理恵はあのいつもの仕草で
「ん~~…。」
と真剣な風に答える。事もあろうに
「私、元旦那はお客さんだったんですよ~。」
とまくし立てる始末。
彼は全く仕事をしなかった。
上席がいなくなるとすぐにスマホを触り出し、「しずちゃんからLINEがこない」と嘆いていた。しずかはいつも言っていた。
「あの人既読秒よ、秒。」
脇で見ればすぐに分かるのだが、本人は何も気が付かないだろうか、とよく思っていた。エスカレートする彼の行動に待ったをかけるのが僕の役割なんじゃないか、と考える事も少なくなかった。
ただ、どうしてもどちらのスタンスにもなれない僕がいて、半端だった、とある意味反省している。
彼は当時、主任であり、役職としても僕よりも上で、先輩であった。彼は女の子の前でいつも
「俺は出世が見込めない奴には冷たく対応する。ただ、角田に関しては出世するのが目に見えている。だから俺は角田に恩を着せる。」
と堂々と、何故か自慢げに、いけしゃあしゃあとクズ論を展開するのだった。
その言葉のイメージが最も近いだろうか。説明するのには少し難しい。
いやいや、言い方を変えればクズだろうか。絵に描いたようなクズ、だろうか。客観的に一つ一つ、ひも解いていこうか。
まず、嫁、子供がいる。一番上が当時大学受験の頃に彼は延岡に単身赴任でやってきた。
前の勤務先時代、あまり絡みはなかった。但し、一つだけ覚えていた。彼は社歴も年齢も上であり、先輩であった。業務上どうすればいいか分からなかった僕は彼に聞いた。彼に聞いた事をそのまま実行すると、少しトラブルとなった。
「あの時、こうやってああすればいいって言ったじゃないですか!?」
と僕が言うと、全力で否定、どころか、ものすごい剣幕で全力でマウントを取ってきた事だけは覚えている。
2人、ママレードによく通った。単身でこちらに来た彼は時間を持て余していた。彼の歪んだ体育会系のノリでは、通常、先輩から誘われれば、後輩はついていくものだった。僕は時に嫁に冷たい目をされながらも、飲みに出ていた。
僕は真理恵推しだった。
彼は全く違った。
彼は1度入店したラウンジの子を大層気に入ったのだった。
しずかと言った。
彼本人も時折言ってはいたが、顔がそんなに可愛いわけではない。僕から見れば、その辺にいるごく普通の女の子にしか見えない。
彼は、しずかとの恋愛相談を真理恵に受けてもらう体で、ママレードに入り浸るようになっていった。ママレードは常時開店しているわけではなかった。ママレードが開いていない時には、彼は1人でパチンコに通っていた。
相談を受ける真理恵も真理恵だった。
しずかからきたLINEを彼が真理恵に見せ、
「真理恵先生、次はどうやって返信したらいいでしょうか?」
と問い、真理恵はあのいつもの仕草で
「ん~~…。」
と真剣な風に答える。事もあろうに
「私、元旦那はお客さんだったんですよ~。」
とまくし立てる始末。
彼は全く仕事をしなかった。
上席がいなくなるとすぐにスマホを触り出し、「しずちゃんからLINEがこない」と嘆いていた。しずかはいつも言っていた。
「あの人既読秒よ、秒。」
脇で見ればすぐに分かるのだが、本人は何も気が付かないだろうか、とよく思っていた。エスカレートする彼の行動に待ったをかけるのが僕の役割なんじゃないか、と考える事も少なくなかった。
ただ、どうしてもどちらのスタンスにもなれない僕がいて、半端だった、とある意味反省している。
彼は当時、主任であり、役職としても僕よりも上で、先輩であった。彼は女の子の前でいつも
「俺は出世が見込めない奴には冷たく対応する。ただ、角田に関しては出世するのが目に見えている。だから俺は角田に恩を着せる。」
と堂々と、何故か自慢げに、いけしゃあしゃあとクズ論を展開するのだった。
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