暗渠 〜禁忌の廻流〜

角田智史

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 guilty boy その世界を手にする為に。

 白夜行 その世界に憧れるが故に。


 いつだって僕の頭の奥にあったこの2つの世界観は、いつの間にか僕を暗に動かしていて、気が付けば、それに限りなく近しい状況に今ある事に日々、思いを巡らせては、確かにどこまでも、振り返ると20年程も、恋焦がれた世界観であって、ある意味それこそが僕を突き動かしていた原動力である事は頭で理解していても、この状況が果たして僕にとって是か非か、それは神のみぞ知る事である事も分かっていた。
 
 眩しい太陽に照らされる事もなく、夜が明ける事もなく、ただ2人は秘密を共有して、その中でこの社会の中で生きていく。
 それが何よりも強い絆のように思え、それが正解だとか不正解だとか、そんな事は問題にならなかった。

 声高らかに僕は、これは恋ではなく愛だと叫ぶけれども、その2人で歩む、決して明るみに出ないその道が僕には、そしておそらく彼女にも心地よくて、親や熱血教師のように、怒り心頭で説教をしたり、泣きながら問いただす事もしない、ただ理解者ぶって黙っているその事が、果たして愛だろうか、僕はただ彼女が離れていく事が怖いだけなんじゃないだろうか、そんな事を考えては、僕はただどうしても、誰でもない、彼女にとって、家族でも、友達でも、彼氏でもない立場の人間である事が頭の中にはびこっていて、大きく踏み出す勇気を持ち合わせていないだけなのかもしれない。

 社会不適合者。

 それは僕も若い頃によく、自分自身に思っていた事であって、今の自分の本質も大して変わっているわけでもないが、その頃と比べると、単に上手く適合したと見せる技術を身に着けていっているだけであって、彼女が現在時折漏らすその言葉は大いに理解できるのである。

 そんな2人が手を繋いでゆっくりと歩いていく道は、いつだって薄暗く、誰にもこれを話す事はできない、正しく白夜行そのものであって、この社会から明るく照らされる事は、決してないのである。
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