暗渠 〜禁忌の廻流〜

角田智史

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 ただわけもなく悲しく。



 酒に溺れる僕に、その瞬間に。

 全てを分かち合えるそのはずだったのに。



 さおりを大切に思う心も。

 楽しいはずのその瞬間も。


 
 朦朧とする意識は理性で凝り固まった僕を置き去りにしていってただ、

 本能のままに2人は並んで歩いていった。



 コンビニの前でたばこを吹かす僕が片手に持った携帯の着信は、

 彼女からしかありえないもので

 その着信

 それだけで僕は

 誰にも踏み入れない

 どこかで繋がっている

 酔っ払いながらもその感覚だけは今でも手に取るようにぶり返して

 それから先の2人きりで一緒にいれた数時間が

 どれだけ彼女を想えたのか

 そんな反省をしながら

 僕はまた彼女を想いまた、

 これから先彼女をもっと大切に想っていく

 そんなどこまでも無駄な決心も

 ずっと聞きたかった事

 ずっと伝えたかった事

 それらも全て

 いつだって彼女を目の前にすると何もかもがどこかへ行ってしまって

 ただ愛している

 それだけでは済まされる事でもなく、

 
 「いつまでもこうしていたい」

 ただ本能として働くこの感覚に

 僕は一生苛まれ続け

 それによってまた

 僕も、彼女も、いつまでも、どこまでも、傷つけ合い続ける。
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