17 / 37
13
しおりを挟む神に委ねた。
そうは言っても、その予感というか、直観的に感じていた。
ありさにマッサージをしてもらいに行くその日、さおりが出勤するかなんか分かるはずもなかった。ただしかし、さおりと僕のこれまでのこのストーリー、関係性、発展性を考えると、やはり神はおそらくその機会を僕に与えるだろう、そんな気はしていたし、また逆に、もしそうなってしまったならどうしよう、そんな無駄な不安も頭の中で一杯だった。
そしてもしそれが現実になったとしたら、そう考えると、実際自分がどういった行動を取るのか、どんな言葉を投げかけるのか、どんな反応が返ってくるのか、そんな事まで考え出すと、正しく夜も眠れないようなそんな時間を過ごすハメになった。
更に、わざわざ片道1時間かけて日中、ラブホで女の子を2人呼ぶなんてとても正気の沙汰ではなく、正しく単なるクズ、自分がそんな人間になり下がるのかどうか、という果てしなく無駄な悩みもまた、僕の頭の中を一杯にさせていた。
現実になるかも分からない、その先の事に僕は頭を抱えていたのである。
いつもの二日酔いの寝ぼけ眼、僕は土曜日にさおりの勤めるデリヘルのHPをチェックした。
珍しく更新されていた次の週3日間の出勤情報には、見事に僕がありさに会いに行く日が入っていた。
やっぱりか…。
そんな気持ちが一番先走った。神が見落とすはずがないと、そんな感覚だった。そしてその偶然を生かす意外に手はないと、僕は強く思ったのだった。
冷静だった。
もちろん、いつもの出勤のドタキャンがある事も考えられた。
しかし、それはあるはずない、と何かがそう感じさせていた。天がほほ笑む、そんな気分だった。
そこまでのお膳立てが揃っても尚、僕は悩んでいた。
いざ、ラブホの1室で2人きりになったその時、僕はさおりにどう接するだろうか、どう接する事ができるだろうか、そしてそこまでする価値が果たしてあるのだろうか。
もちろん、幾度なく妄想はしてきていたのである。
さおりと一つになる事、さおりにしてもらう事、さおりの体を愛する事を。
ただこの状況下で、実際にそんなところまで行きつくだろうか、ドアを開けて僕だと分かった瞬間に部屋に入らずにドアを閉められるかもしれない。もしそうなった場合、出禁のような扱いになるのかもしれない、そして今まで築き上げてきたさおりの僕に対する信用も、信頼も、何もかもを、失ってしまうかもしれない、今度はそんな不安も湧き上がってきて、僕の頭を更に悩ませた。
よくよく、自分自身に問うてみても、何がしたいのか、どうしたいのか、それもハッキリしていかないまま、ただ知ってしまったからには、知ってしまった立場の人間として、どうしてもそれは実行しないといけないような気がしてきて、悩み抜いた挙句、もう何がどうでも、とりあえずそうしてみよう、僕の中では結局そんな結論にたどり着いたのである。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
母の日 母にカンシャを
れん
恋愛
母の日、普段は恥ずかしくて言えない、日ごろの感謝の気持ちを込めて花束を贈ったら……まさか、こうなるとは思わなかった。
※時事ネタ思いつき作品です。
ノクターンからの転載。全9話。
性描写、近親相姦描写(母×子)を含みます。
苦手な方はご注意ください。
表紙は画像生成AIで出力しました
お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?
さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。
私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。
見た目は、まあ正直、好みなんだけど……
「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」
そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。
「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」
はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。
こんなんじゃ絶対にフラれる!
仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの!
実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる