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何もない

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俺は混乱していた。気がつけば何故か泣きじゃくる女と見たこともない洞窟にいたからだ。

それにしてもここはどこだ。何故こんなとこにいるんだ。

俺は何故こんな場所にいるのか思い出そうとその日の出来事を振り返り始めた。

ある夕暮れの町外れの落書きだらけのトンネルを抜けた先にあるさびれた小さな歩道橋の上で男が一人夕日を見つめため息をついていた。

彼の名前は奥田  雄星23歳で独身彼女なし、友達なしで仕事も出来ない底辺のシステムエンジニアだ。彼は今日も缶コーヒーを片手に夕日を睨みつけ、物思いにふけながら一人缶コーヒーを飲んでいた

「どうせ。俺なんて。誰も認めてくれない。頑張って。努力しても。人に認められず。なんの努力もせず仲間だ友情だとか甘い事抜かして馴れ合って傷の舐め合いをしている連中ばかり報われる。不平等だよ。本当に。そのくせ、都合が悪くなれば集団で少数を迫害して身勝手な正義を振りかざすんだから。やってらんないよ。 」

彼はは自分に言い聞かせるように一人言を続けた。
「正義って便利だね。この言葉さえあればどんな残酷な事だって許されるんだから。いじめだって。そうだ。人数が多ければ正義になって集団で言葉攻めにしても。おかしな奴を集団で注意してましたとなり、集団で暴力を震えば全員でもみ消して無かった事になる。大抵の人は最初から帰る場所があって居場所がある。だけど、俺にはなかった。家にも学校にも。居場所なんてなかった。だから俺は頑張った努力した。俺を好きになってもらって居場所を作れるように。だけど、疲れたよ。どこまで、頑張ればいいんだ。」

彼はため息をつきながら一人言を続けた。
「そして、頑張った結果就職は出来たけどその結果手に入れたのは生活するのにやっとのお金と仕事でほとんど拘束されて自由のない暮らし。自分の為に平気で俺を嵌める同僚。
責任を俺に押し付けて手柄だけ横取りする上司。なんでだよ。なんで俺ばかり。」

奥田は顔を引きつらせながら行き場のない思いを呟いた。
「それでも気に入られようと人に合わせて自分を否定して変えて行くうちに自分でも自分がわからなくなった。
一人で誰にも気を使わず自由に生きたい自分と仲間や家族という不自由でも暖かい鎖につながれながら暮らしてたい自分がいるんだ。」

「そしてそんなダメな自分を変えたい自分とそのままの自分を受け入れて欲しいと思う気持ちが抑えられなくなってない。ダメな自分を受け入れて欲しいなんて甘えだって。わかってるし。受け入れてくれる場所もないとわかってる。だけど抑えられないんだ。」

俺は何か決心したような顔をしてこう言った。
「人を恨む気持ちが妬ましいと思う気持ちが自分でも狂ってるってわかってるだけどもうダメ何だ。どうせ俺は幸せになれないだからみんな俺と同じ様に地獄に落ちればいいんだ。はははっ。死んで化けて出て呪い殺してやる。」

そして彼は歩道橋の上から落ちて自殺しようと目を閉じて飛び降りた。
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