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巳の過去

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巳の叫び声と共に巳の体は恐ろしい怪物へと変化していく。

バラバラになった蛇達の死骸が巳の叫び声と共に集まり、巳の体を覆い尽くしていく。そして、巳は巨大な頭が何本もある山の様な巨大な怪物となった。

巳は怪物となった瞬間に意識が薄れて自らの過去が濁流の様に頭を駆け巡った。

それは遡る事3億年前というはるか昔、巳は神々の中でも特にその当時力を持ち恐れられていた龍神族の元に生まれた。

幼少期の巳は今の様なひねくれた残酷な性格ではなく、むしろ明るくて素直な善人を絵に書いた様な純粋な神だった。

家では力こそが全てであり、力の無いものはぞんざいな扱いを受けるそんな家だったにもかかわらず、彼は純粋だった。

家では先に生まれた出来の良い兄の現十二支の辰辰之進と比べられ日々、馬鹿にされていたがそれでもめげずにいつか兄を追い越してやると決心して、努力して武道の鍛錬を続けていた。



しかし、ある事件をきっかけに巳は今の様な邪悪の権化と言われる様な性格に変わってしまったのだ。


その運命の日は突然やってきた。
その当時、東洋側で圧倒的な力を持っていた龍神族は西洋側にも伸ばすために誰かを養子として、差し出す事となった。表の理由では西洋側と龍神族の結び付きを強めるためにお互いの家の者達を養子に出そうという事だった。

龍神族の長はこの任務に本家の血筋であり、一族への忠誠心が厚く、また、いなくなってもさほど困らない現十二支の巳蛇道を指名した。

そうとは知らず蛇道は一族代表の平和の使者に選ばれたと思い涙を流して喜んだ。
自分が道具として利用されているとも知らずに。

西洋側に行った巳の生活はまさに楽園の様だった。

龍神族の使者として送り出された巳は手厚い歓迎を受け、西洋側でも一部の選ばれた者達しか住む事が出来ないありとあらゆる幸せが永遠に続き、悲しみや恐怖もない国、エデンに客神として、招かれたからだ。

東洋側にいた時は出来の良い兄と比べられ竜頭蛇尾と言う出来の悪い弟の代名詞になるほど馬鹿にされ見向きもされなかった巳が西洋側では人気者になり、チヤホヤされる日々は巳にとっては信じられない幸せだった。

巳は西洋側の対応に感動し、力の限り西洋側の発展に尽力した。

そして、巳はついに実力が認められ東洋側の神でありながら、西洋側の最高の位の一つ下事実上のナンバー2の位に着くまでに大出世を果たした。

しかし、その幸せも長くは続かなかった。

それは、突然の出来事だった。

巳の楽園暮らしが1000年続いたある日それは起きた。

エデンは神々が作り出したありとあらゆる生物が争うことなく暮らすまさに、楽園の様な場所だった。
しかし、突然、エデンの最高神が作り出した最高傑作である人類がエデンにある最高の宝禁断の果実に手を出してしまったのだ。
それは、別名知恵の実とも言われるその果実は食べた物を急速に進化させる代わりに食べた生物の優しさや思いやりを無くす恐ろしい果実だった。

知恵の実の力により急速に進化した人間は感情を手に入れ、エデンにいた他の生物達をいたぶり優越感に浸り始めた。

これにより、戦う術を持たなかったエデンの生物達は人間により殺され、傷つけられ、エデンはそころ中に血の水たまりが広がり、死体が足下に転がる地獄の様な場所になってしまった。
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