十二支vs十二星座

ビッグバン

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伏線は序盤に貼ってあった

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その頃、猪は落ち込んでいた。いつの間にか寅の姉さんとはぐれ、慌てて石にころび、北欧の兄弟がくれた自慢の槍を転んでヒビを入れてしまったからだ。

ハア。また牛さんに怒られる。せっかく。俺を信じて姉さんを託してくれたのに。いつの間にかどっかに落としてしまうなんて。その上に、探す途中に槍を落として踏んづけてヒビを入れて転んでドロだらけだ。

ハア。もう帰りたい。

亥がいじけて俯いていた。その時、空から北欧神トールが音もなく近づいていた。

ハア全く。こっちがため息つきたいくらいよ。大切なんだ依り代にキズをつける何て。
おかげでパワー半減よ。

やっぱり。バカに。依り代を持たせたのは失敗だったかしら。早めに回収しないと。このままじゃ。北欧神は。この大会から敗退する事になるわ。

でも今の状態で戦いを挑んだらいくら十二支最弱の戦士と言ってもただじゃすまないわね。

しかも、亥は私同じ自らの力で戦い、特殊能力で力を上げて闘う生粋のパワー戦士。特殊能力重視でトリッキーな戦い方をするもやしっ子相手なら今の私でも十分戦えるでしょうけど。流石にこれは相手が悪いわ。

今は隙を伺って、相手が油断した隙に槍を奪うのが得策ね。

流石に北欧のトール様、頭脳にも光るものがあるわ。ダメだわ。ツッコミのロキちゃんがいないといまいち閉まらないわ。
ここはハゲとるだけないかいって言うツッコミが欲しいとこなのに。

そんな事をやってる間に亥はため息をつき俯いて地面を見始めた。
その隙をトールは見逃さなかったなかった。

音もなく一瞬で距離を詰め、亥の背後まで近づき、懐からはみ出している槍に手を伸ばそうとしたその時、亥は頭を上げた。

結果的に懐にさしていた槍は空の方を向き背後に近づいていた。トールの腰のハンマーと当たりチンーと言う音を鳴らした。

まずい。バキバリバリ。トールが気づいた時にはもう遅かった。

雷の力を持つトールのハンマーを使う際は必ず専用の手袋をして使わなければならない。
そうしないとエネルギーが逆流して自分もダメージを受けるだけじゃなく、ハンマーがエネルギーを流せない様な強靭な固い物質にぶつかった場合、ハンマーは使用者なら生命エネルギーを吸い取り電力変えるそれでも流れなかった場合余ったエネルギーが暴走して大爆発を起こす。

しかし、強大な力を持つ北欧の神依り代になっているグリンブルステイの槍はその爆発すらもハンマーへと押し戻した。結果として。
トールの身体には増幅された電流が流れ、電気に耐性のあるトールを黒焦げにした。

そして、さすがの槍も反動で木っ端微塵に砕け散った。

その瞬間、北欧神達は依り代を失い身体が消え失格となった。

全ては数秒に起きた出来事だった。

亥はせっかく気を取り直して姉さんを探そうと頭を上げたのに。その矢先に砕けた槍を見てまた俯いて地面を見つめるのだった。
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