君暮らし

ホメオスタシス

文字の大きさ
上 下
6 / 9
二人暮らし編

2人の朝食

しおりを挟む

あの日から2人暮らしとなった俺だが、このことを知っている奴はいない。

いや、教えられるわけがない。

あーやは「未来から来た自分の娘だ」なんて、誰が信じるだろうか。

完全に変人扱いどころか誘拐犯になってしまう。

これからどうやって生活していくかは検討中だ...


*****


「あーや、起きろ、朝だぞ」

顔を洗い、完全に目の覚醒した香がベットで寝るあーやを起こしにかかる。

「...んぁ...おやすみぃ...?」

寝ぼけながらあーやは目をこする。

「いや、おはような、はい、起きて」

あーやにかかっていた布団を引き剥がし、カーテンを全開にする。

「うぅ...まぶすぃ...」

あーやは陽の光に当てられた吸血鬼のように体を丸め小さくなった。

...あまりにも辛そうだったので

「...はぁ、じゃあ飯作るまで寝てていいから」

剥がした布団をあーやに掛け直し、香はキッチンに向かう。

朝飯と言ってもかなり限定される。
なんせ作れるのは目玉焼き、いや、それしかない。

「...よしっ」

袖をまくり香は気合を入れた。


*****


「...ふぁ...なん...この匂い」

目をこすりながらあーやが体を起こす。

「おぉ、起きたか。飯だぞ、飯」

ちょうど着席しようとしていた香が自慢げにテーブルを指差す。

あれから20分後、小さいテーブルには朝ごはんが並べられていた。

鯖の缶詰に、ご飯、インスタントの味噌汁、パックのお茶。
そしてこの料理のメイン、目玉焼きだ。
少々型崩れが見られるが、胃に入れば同じだと、香シェフは豪語する。

香特製のこの料理は、オリジナル目玉焼き鯖スペシャル定食と呼ばれている(香に)。

「めし...?」

あーやは開ききっていない目でテーブルを見る。

「そうだ、飯...って...あ、あーや...?」

しばし香シェフ作、オリジナル目玉焼きさ(略)を凝視し沈黙。


これが俺の全力...フルパワー...
これ以上の物を俺は作れない...
やっぱ未来って違うのか...そうなのか...


妙に緊張してきた香の額を汗が流れる。


部活やらずに家で過ごす、自分の飯を作っていた俺の努力(?)...
あれは無駄だったというのか...


今まさに有罪か、無罪かを言い渡される被告人、香は手に汗握り、裁判長、あーやの言葉を待つ。


そしてあーやは口元を緩め小さい声で言った。

「...ぉいしそぅ...」

香の努力は報われた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

初めてなら、本気で喘がせてあげる

ヘロディア
恋愛
美しい彼女の初めてを奪うことになった主人公。 初めての体験に喘いでいく彼女をみて興奮が抑えられず…

処理中です...