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二章
奉職試験
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律輝に連れてこられたのは大きな山の中だった。
律輝と二人で階段を登りながら話す。
「ここにはね、捕まえて来た半妖を放っているんだ。
だからいつ襲ってきても本当はおかしくないんだ!
でもね、今は襲ってこないでしょ?これはね霊能力者達が結界を張って出られないようにしているからなんだよ」
「そうなのか」
「来るまでに怪我されたら困るからねー!」
話しているとあっという間に山頂に着いた。
「あっ!、そうだ!言うの忘れてた!今日知ったんだけど、今日の試験の監督をするのはーー」
「私です」
「ぎゃあ!…って凪じゃん!驚かせないでよ~!」
「ごめんなさい、律さん。あと、早く律さんが帰らないと優さんが失格になりますよ?」
「あっ…それはダメだ!ってことで優、頑張ってね!」
「あぁ」
「ふふふっ、律さんは見ているだけで元気になりますね。」
「さて、試験まで少し時間がございますが、もう始めてもよろしいですか?優さんで最後ですから」
「そうなのか。俺は遅れたのか?」
「そんなことはありません。早く始めますのでそこに並んでおいてください」
俺は指でさされた場所にたつ。
「それでは試験を始めさせて頂きます。今回の試験は春道《はるみち》凪が努めさせて頂きます。よろしくお願い致します」
「春道ってもしかして噂のあれじゃないか?」
「えっ、分家の血すら一滴も流れてない雑種じゃない!」
「しかもこの人が試験官をした時は毎回合格者が少ないって聞いたことがある」
「お静かに」
「うわー、最悪じゃん」
「お静かに」
「しかもこの人、呪われてるっていう噂も…」
(呪われている?)
凪が目を細めた。
次の瞬間、とても重いものが体にのしかかっているような感覚に陥った。
(…っ、苦しい…)
「お静かにして頂けますか?」
沢山の人達が顔を青ざめる。
「すみませんでした」
ほとんどの人が謝っていた。
「は?なんでお前の言うこと聞かねえといけねえんだよ。この雑種が」
「…失格でいいなら聞かなくてもいいですよ?」
「えー、俺の事、失格にしていいと思ってるのか?俺は紅葉家の跡取り息子だぞ?お前みたいなやつが審査していいほど俺は低い立場にはいないんだよ!」
そいつが凪を蹴り飛ばした。
「凪!」
凪はゆっくり立ち上がりながらこう言った。
「大丈夫です。心配などいりません」
そんなことを言いながらも近くにあった木に頭をぶつけた凪は額から血を流している。
「これだから試験官はしたくないのです。しかし…貴方は今までの人達よりも一線先にいっていますね」
「あぁん!?」
「さすがに暴力はダメですよ。罵るまでは許しますが」
(それはそれでダメな気がするが…)
「だから、これは罰です」
そういった後、凪は殴ってきた人にゆっくり近づく。
「はっ!お前みたいなやつが紅葉家の跡取り息子である俺…に……」
いきなりそいつは倒れた。
(…どうなっているんだ?)
周りからも驚きの声が上がっている。
「あまり好きではないので言っていませんが…私一応ここの掃除屋で一番強い霊力を持つ霊能力者ですから。だから分家の方であろうとも一瞬で本気でやれば敵ではありません」
「さてと、気を取り直して試験を始めさせて頂きます。一次試験の内容はこの山に潜む半妖を一人で十体倒すことです。制限時間は三時間です。倒したらここに戻ってきてください。私の合図で開始となります。頑張ってくださいね」
「三時間で十体か…倒せるかな……」
「微妙だよな」
(十体くらいなら見つけられれば余裕だろうに。)
「では、一次試験、開始!」
「……。」
(…五分で終わってしまった!)
「こんなに早く終わるなんて…」
(とりあえず一回もどってみるか…)
さっきまでいた場所に戻るとそこには凪以外、誰もいなかった。
「もう倒し終わったのですか?早いですね。史上最速…では無いですが二番目ですよ」
「…!一番は誰なんだ?」
「律さんですよ。律さんはとても身軽なのでとても速いのですよ。」
「そうなのか。正直、律輝が戦っている所を見たことがないから、あまり強いイメージはなかったんだが…」
「そうなのですね。三人の中では私が一番弱いですよ。援護系なので」
「そうでした。聞きたいことがあるのです。次の試験、優さんだけ一段階強い式神を作ってもよろしいですか?」
「そんなことしてもいいのか?」
「本人の許可があれば出来ます。式神の強さは今この森にいる半妖と同じくらいの強さにしないといけない決まりがあるのですが、貴方はそれじゃあつまらないでしょう?」
「そうだな…じゃあ頼む」
「分かりました」
「じゃあ優さんは適当に時間を潰しておいて下さい」
「わかった」
(適当に潰せと言われても、どうすればいいかわからない…)
凪は何かを描いているようだった。
(こっそり覗いてみるか…)
覗いてみるとそこには謎の絵が描かれていた。
(…なんだ、これは?)
「これは式神召喚に使う霊符です。…覗いているのに気づかない方がおかしいくらい分かりやすく覗き込んできますね」
「えっと、すまない…」
「別に覗かれてもやましいものなどありませんし大丈夫ですよ。時間の潰し方が分からないのでしたらもう一度半妖を倒しに行ってもいいですよ。たくさんいますから」
「いいのか?助かる」
「どうぞどうぞ、ここには人を襲ったことのある半妖しかいませんから」
ピクリッ
(人間を襲ったことがある半妖をこんなところに放置しているのか!?)
「一応聞いておくが、もしここで半妖を倒せず危険になったらその人はちゃんと助けるんだよな?」
凪は少し驚いたような表情をする。
「言われてみればそうですね。どうなのでしょう?」
「凪すら分からないのか?」
俺は急いで森に入る。
だが、探しても探しても、誰もいなかった。
(一体どこに…)
残り時間を使って探していたのに誰一人として見つかることはなかった。
「一次試験突破、おめでとうございます。今回残ったのは一名ですね」
(他の人たちは一体どこに…)
「顔色が悪いですが大丈夫ですか?」
「答えてくれ…他の人たちはどう、なったんだ?」
「…掃除屋に入れば答えが分かりますよ。では早速二次試験を始めます」
俺は凪がしらばっくれているように見えた。
凪はさっき書いていた霊符を人差し指と中指の間に挟んで親指を立てる。
「我の元に現れよ。急急如律令!」
そうして現れたのは鷹の式神。
「では、始め!」
俺は何も考えずに切りかかる。
何度も何度も切りかかって、羽に一発だけ良いのが入ったのが感覚でわかる。そしてバランスを崩したところを一閃し、式神を倒した。
「二次試験合格です。貴方はこれで掃除屋に入る資格を得ました。おめでとうございます」
凪のそんな声が聞こえる。
「…もう一度聞く。他の人たちは一体どうなったんだ」
「…貴方が思っているようなことはありませんよ。ただ、ま・だ・言えないだけです」
(まだ?)
「掃除屋に勤めないと教えることが出来ないのです。貴方はまだ資格を取っただけですから」
「とにかく今は黙ってろ、と言いたいんだな?」
「そういうことです。早く山を降りましょう。日が落ちるくらいまでかかると思っていましたが、そんなことなかったですね」
雑談をしながら階段を降りていたが、凪がしんどそうな顔をしていた。
「おい、大丈夫か?」
「大丈夫ではありません。ですが進みます」
「ちょっと休んだ方が…」
「いいえ、進みます」
そう言って凪は階段を降りきった。
「私と優さんは方向が違うので、ここで失礼しますね」
「普通に帰っていいのか?」
「大丈夫ですよ。気をつけて帰ってくださいね」
「わかった」
凪と俺は違う道を歩き始めた。
(思っていたよりも試験というのは簡単だったな…それよりも消えてしまった受験者が気になってしまう。)
考えながら歩いていたせいかすぐに家に着いてしまった。
(早く中に入って休むか…)
パンッッ! パンッッッ!!
「合格おめでとう!」
「おめでと~!!」
「…律輝に、祈流…」
(驚いた…なんの音だったんだ?)
「今の音はね、凪が作ってくれた霊符からなった音だよ!霊符に霊力を注ぐと音が鳴るの!」
「霊符って…なんでもありだな……」
「まっ、こんなに自由な霊符を作れるの、凪だけなんだけどね~」
「今はそんなことほっといて!今日ご馳走を作ったんだ!食べて食べて!合格祝い!!」
「うわっ!ちょっ…」
俺は戸惑いながらも少しずつ楽しくなっていき、ご馳走をたべながら話したりしていた。
食べ終わったあと、俺はすぐに聞いた。
「一次試験の時、俺以外の人たちが全員消えただ。あれは何があったんだ?」
祈流がしばらく考えた後に話してきた。
「それ、凪に聞いた?」
「聞いた…だが教えてくれなかった」
「まぁ、凪も言い難いよね~。」
「はっきり言うと死ぬ」
「……!!」
「それくらいの覚悟を持てってことだろうね~。」
「…っそんなこと許されるはずがない…!」
「まっ、これは昔の話たけどね~」
「凪が試験官をし始めて変わったんだ」
「…どういうことだ?」
「凪は無駄なことは出来るだけ省きたい人だからね」
『絶対に毎回自分に喧嘩売ってくる人がいるので、それを利用して霊力でみんなに加護を与えているのです』
「って言ってた記憶があるね~」
「…!もしかしてあの時感じた威圧感は……!」
「まっ、それが加護だろうね~。流石は天才って感じ?」
「自分で言わないのも謙虚って感じ~」
(昔の事が消える訳では無い…しかし今やっていないのであれば俺が言う義理はないか……)
「ほんっと凪が来てくれて助かってるよ~」
「それ、本当に分かる!凪のおかげで掃除屋って沢山変わった所があるよね!」
「そういえば、凪、今日蹴り飛ばされていたけど大丈夫なのか?」
「えっ!?凪が蹴り飛ばされてたの!?」
「あぁ、喧嘩を売ってきた相手に…」
「大変だよ!凪は他人の怪我は治すのに自分の怪我は手当てしないんだよ!早く凪のところに行かないと!!じゃあね!優!!」
「じゃあ僕も仕事があるから帰るね~」
「今から仕事?」
「夜の方が人が少ないからやりやすいんだよ~。」
「そうなのか、じゃあな」
「あっ!言うの忘れてた!明日掃除屋に連れていくから朝ちゃんと起きててね~、バイバーイ」
(言うのが遅い!)
(…まぁいい、もう月が出ている。光を当てるか)
俺は刀に光を当てる。
(…父さんは光を当てると強くなると言っていた。でも一体何が強くなるかは言われていないな…)
(なんて、こんなこと考えても無駄か)
「…寝るか」
明日に向けて俺は眠った。
律輝と二人で階段を登りながら話す。
「ここにはね、捕まえて来た半妖を放っているんだ。
だからいつ襲ってきても本当はおかしくないんだ!
でもね、今は襲ってこないでしょ?これはね霊能力者達が結界を張って出られないようにしているからなんだよ」
「そうなのか」
「来るまでに怪我されたら困るからねー!」
話しているとあっという間に山頂に着いた。
「あっ!、そうだ!言うの忘れてた!今日知ったんだけど、今日の試験の監督をするのはーー」
「私です」
「ぎゃあ!…って凪じゃん!驚かせないでよ~!」
「ごめんなさい、律さん。あと、早く律さんが帰らないと優さんが失格になりますよ?」
「あっ…それはダメだ!ってことで優、頑張ってね!」
「あぁ」
「ふふふっ、律さんは見ているだけで元気になりますね。」
「さて、試験まで少し時間がございますが、もう始めてもよろしいですか?優さんで最後ですから」
「そうなのか。俺は遅れたのか?」
「そんなことはありません。早く始めますのでそこに並んでおいてください」
俺は指でさされた場所にたつ。
「それでは試験を始めさせて頂きます。今回の試験は春道《はるみち》凪が努めさせて頂きます。よろしくお願い致します」
「春道ってもしかして噂のあれじゃないか?」
「えっ、分家の血すら一滴も流れてない雑種じゃない!」
「しかもこの人が試験官をした時は毎回合格者が少ないって聞いたことがある」
「お静かに」
「うわー、最悪じゃん」
「お静かに」
「しかもこの人、呪われてるっていう噂も…」
(呪われている?)
凪が目を細めた。
次の瞬間、とても重いものが体にのしかかっているような感覚に陥った。
(…っ、苦しい…)
「お静かにして頂けますか?」
沢山の人達が顔を青ざめる。
「すみませんでした」
ほとんどの人が謝っていた。
「は?なんでお前の言うこと聞かねえといけねえんだよ。この雑種が」
「…失格でいいなら聞かなくてもいいですよ?」
「えー、俺の事、失格にしていいと思ってるのか?俺は紅葉家の跡取り息子だぞ?お前みたいなやつが審査していいほど俺は低い立場にはいないんだよ!」
そいつが凪を蹴り飛ばした。
「凪!」
凪はゆっくり立ち上がりながらこう言った。
「大丈夫です。心配などいりません」
そんなことを言いながらも近くにあった木に頭をぶつけた凪は額から血を流している。
「これだから試験官はしたくないのです。しかし…貴方は今までの人達よりも一線先にいっていますね」
「あぁん!?」
「さすがに暴力はダメですよ。罵るまでは許しますが」
(それはそれでダメな気がするが…)
「だから、これは罰です」
そういった後、凪は殴ってきた人にゆっくり近づく。
「はっ!お前みたいなやつが紅葉家の跡取り息子である俺…に……」
いきなりそいつは倒れた。
(…どうなっているんだ?)
周りからも驚きの声が上がっている。
「あまり好きではないので言っていませんが…私一応ここの掃除屋で一番強い霊力を持つ霊能力者ですから。だから分家の方であろうとも一瞬で本気でやれば敵ではありません」
「さてと、気を取り直して試験を始めさせて頂きます。一次試験の内容はこの山に潜む半妖を一人で十体倒すことです。制限時間は三時間です。倒したらここに戻ってきてください。私の合図で開始となります。頑張ってくださいね」
「三時間で十体か…倒せるかな……」
「微妙だよな」
(十体くらいなら見つけられれば余裕だろうに。)
「では、一次試験、開始!」
「……。」
(…五分で終わってしまった!)
「こんなに早く終わるなんて…」
(とりあえず一回もどってみるか…)
さっきまでいた場所に戻るとそこには凪以外、誰もいなかった。
「もう倒し終わったのですか?早いですね。史上最速…では無いですが二番目ですよ」
「…!一番は誰なんだ?」
「律さんですよ。律さんはとても身軽なのでとても速いのですよ。」
「そうなのか。正直、律輝が戦っている所を見たことがないから、あまり強いイメージはなかったんだが…」
「そうなのですね。三人の中では私が一番弱いですよ。援護系なので」
「そうでした。聞きたいことがあるのです。次の試験、優さんだけ一段階強い式神を作ってもよろしいですか?」
「そんなことしてもいいのか?」
「本人の許可があれば出来ます。式神の強さは今この森にいる半妖と同じくらいの強さにしないといけない決まりがあるのですが、貴方はそれじゃあつまらないでしょう?」
「そうだな…じゃあ頼む」
「分かりました」
「じゃあ優さんは適当に時間を潰しておいて下さい」
「わかった」
(適当に潰せと言われても、どうすればいいかわからない…)
凪は何かを描いているようだった。
(こっそり覗いてみるか…)
覗いてみるとそこには謎の絵が描かれていた。
(…なんだ、これは?)
「これは式神召喚に使う霊符です。…覗いているのに気づかない方がおかしいくらい分かりやすく覗き込んできますね」
「えっと、すまない…」
「別に覗かれてもやましいものなどありませんし大丈夫ですよ。時間の潰し方が分からないのでしたらもう一度半妖を倒しに行ってもいいですよ。たくさんいますから」
「いいのか?助かる」
「どうぞどうぞ、ここには人を襲ったことのある半妖しかいませんから」
ピクリッ
(人間を襲ったことがある半妖をこんなところに放置しているのか!?)
「一応聞いておくが、もしここで半妖を倒せず危険になったらその人はちゃんと助けるんだよな?」
凪は少し驚いたような表情をする。
「言われてみればそうですね。どうなのでしょう?」
「凪すら分からないのか?」
俺は急いで森に入る。
だが、探しても探しても、誰もいなかった。
(一体どこに…)
残り時間を使って探していたのに誰一人として見つかることはなかった。
「一次試験突破、おめでとうございます。今回残ったのは一名ですね」
(他の人たちは一体どこに…)
「顔色が悪いですが大丈夫ですか?」
「答えてくれ…他の人たちはどう、なったんだ?」
「…掃除屋に入れば答えが分かりますよ。では早速二次試験を始めます」
俺は凪がしらばっくれているように見えた。
凪はさっき書いていた霊符を人差し指と中指の間に挟んで親指を立てる。
「我の元に現れよ。急急如律令!」
そうして現れたのは鷹の式神。
「では、始め!」
俺は何も考えずに切りかかる。
何度も何度も切りかかって、羽に一発だけ良いのが入ったのが感覚でわかる。そしてバランスを崩したところを一閃し、式神を倒した。
「二次試験合格です。貴方はこれで掃除屋に入る資格を得ました。おめでとうございます」
凪のそんな声が聞こえる。
「…もう一度聞く。他の人たちは一体どうなったんだ」
「…貴方が思っているようなことはありませんよ。ただ、ま・だ・言えないだけです」
(まだ?)
「掃除屋に勤めないと教えることが出来ないのです。貴方はまだ資格を取っただけですから」
「とにかく今は黙ってろ、と言いたいんだな?」
「そういうことです。早く山を降りましょう。日が落ちるくらいまでかかると思っていましたが、そんなことなかったですね」
雑談をしながら階段を降りていたが、凪がしんどそうな顔をしていた。
「おい、大丈夫か?」
「大丈夫ではありません。ですが進みます」
「ちょっと休んだ方が…」
「いいえ、進みます」
そう言って凪は階段を降りきった。
「私と優さんは方向が違うので、ここで失礼しますね」
「普通に帰っていいのか?」
「大丈夫ですよ。気をつけて帰ってくださいね」
「わかった」
凪と俺は違う道を歩き始めた。
(思っていたよりも試験というのは簡単だったな…それよりも消えてしまった受験者が気になってしまう。)
考えながら歩いていたせいかすぐに家に着いてしまった。
(早く中に入って休むか…)
パンッッ! パンッッッ!!
「合格おめでとう!」
「おめでと~!!」
「…律輝に、祈流…」
(驚いた…なんの音だったんだ?)
「今の音はね、凪が作ってくれた霊符からなった音だよ!霊符に霊力を注ぐと音が鳴るの!」
「霊符って…なんでもありだな……」
「まっ、こんなに自由な霊符を作れるの、凪だけなんだけどね~」
「今はそんなことほっといて!今日ご馳走を作ったんだ!食べて食べて!合格祝い!!」
「うわっ!ちょっ…」
俺は戸惑いながらも少しずつ楽しくなっていき、ご馳走をたべながら話したりしていた。
食べ終わったあと、俺はすぐに聞いた。
「一次試験の時、俺以外の人たちが全員消えただ。あれは何があったんだ?」
祈流がしばらく考えた後に話してきた。
「それ、凪に聞いた?」
「聞いた…だが教えてくれなかった」
「まぁ、凪も言い難いよね~。」
「はっきり言うと死ぬ」
「……!!」
「それくらいの覚悟を持てってことだろうね~。」
「…っそんなこと許されるはずがない…!」
「まっ、これは昔の話たけどね~」
「凪が試験官をし始めて変わったんだ」
「…どういうことだ?」
「凪は無駄なことは出来るだけ省きたい人だからね」
『絶対に毎回自分に喧嘩売ってくる人がいるので、それを利用して霊力でみんなに加護を与えているのです』
「って言ってた記憶があるね~」
「…!もしかしてあの時感じた威圧感は……!」
「まっ、それが加護だろうね~。流石は天才って感じ?」
「自分で言わないのも謙虚って感じ~」
(昔の事が消える訳では無い…しかし今やっていないのであれば俺が言う義理はないか……)
「ほんっと凪が来てくれて助かってるよ~」
「それ、本当に分かる!凪のおかげで掃除屋って沢山変わった所があるよね!」
「そういえば、凪、今日蹴り飛ばされていたけど大丈夫なのか?」
「えっ!?凪が蹴り飛ばされてたの!?」
「あぁ、喧嘩を売ってきた相手に…」
「大変だよ!凪は他人の怪我は治すのに自分の怪我は手当てしないんだよ!早く凪のところに行かないと!!じゃあね!優!!」
「じゃあ僕も仕事があるから帰るね~」
「今から仕事?」
「夜の方が人が少ないからやりやすいんだよ~。」
「そうなのか、じゃあな」
「あっ!言うの忘れてた!明日掃除屋に連れていくから朝ちゃんと起きててね~、バイバーイ」
(言うのが遅い!)
(…まぁいい、もう月が出ている。光を当てるか)
俺は刀に光を当てる。
(…父さんは光を当てると強くなると言っていた。でも一体何が強くなるかは言われていないな…)
(なんて、こんなこと考えても無駄か)
「…寝るか」
明日に向けて俺は眠った。
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