ユニークスキル【課金】で自由に生きる！！

２２ 武器ガチャ、防具ガチャ

　家に帰った俺は静かに自分の部屋に入る。
　お母さんは既に就寝していて、起こすのは申し訳ない。
　自分の部屋で早速課金メニューを開き、ガチャを選択する。
　そしてガチャ画面から先ずは武器ガチャを選んで深呼吸した。
　この世界に来て初めて行うこガチャだ。
　今まで意識しないようにしてたが、こうして向き合うと緊張する。
　心臓がバクバクとうるさい。
　指先が震えつつも、通常の武器ガチャ１１連のボタンを押した……。

　課金メニュー画面は妙に凝っているガチャ演出に変わり、可愛らしい妖精が武器のシルエットを持って現れる。

「おおおお……」

　ただの黒いシルエットの武器が７個。
　銀色に輝いているのが３個。
　金色に輝いているのが１個だ。
　先ずは黒いシルエットの武器から見ていく。
　鋼の剣が２本、鋼の短剣が１本、鋼の槍が２本、鋼の大剣が１本、鋼の刀が１本だ。
　かなり精巧に出来ていて、今まで俺達が使ってたものよりかはグレードが高いと思う。

　次に銀色に輝いているやつを見る。
　１つ目はフレイムソード。
　剣が赤い色で、熱を発しているのか陽炎が揺らぐ。
　２つ目はミスリルのクレイモア。
　見た目よりかなり軽く、片手で持てるが、魔力を流すと一気に重量が増えて重くなった。
　床がミシミシ言ってるから慌てて魔力を解除する。
　３つ目は会心のハルバード。
　ダメージ率が上がり、致命傷になりやすいハルバードだ。
　
　最後は金色に輝いている武器だ。
　疾風の剣。
　風を纏っていて風の斬撃を飛ばすことが出来る。
　纏っている風は敵の攻撃を弾く。

「すげぇ……」

　剣を包み込むように風が渦巻いている。
　次は防具のガチャを行う。
　演出は武器ガチャとほぼ同じだ。
　防具は黒いシルエットが６個。
　銀色に輝いているのが１個。
　金色が３個。
　そして、虹色が１個

「おぉ！！
これはめちゃくちゃ当たりじゃないか！？」

　虹演出がかなりド派手で胸が高鳴り興奮する。
　これだからガチャは油断ならない。
　この興奮が判断を鈍らせ、もう一度見たい、凄いアイテムが欲しいとガチャを回したくなる。
　とりあえず、出てきた防具を見てみよう。
　先ずは黒いシルエットのから。
　レザーアーマー、魔法使いの帽子、鋼鉄のタワーシールド、力の指輪、信仰のネックレス。
　レザーアーマーは強靭性が高そうで、モンスターの牙や爪、剣などの武器から身を護るのに良さそうだ。
　魔法使いの帽子は、魔法攻撃力を僅かに揚げる効果がある。
　鋼鉄のタワーシールドは、アグニオが今使っている鉄のタワーシールドよりもゴツく頑丈で重い。
　彼なら使いこなせるだろうし、より守りが固くなると思う。
　力の指輪は力を上げる効果がある。
　信仰のネックレスは、回復魔法の効果を上げるみたいだ。

　次は銀色に輝いている防具。
　槍手の魔篭手。
　ミスリル製で槍を使う人が装備すると、槍のダメージが増幅する効果がある。
　更に、この装備に魔力を流すと魔法の盾が出て守ってくれる。

　次に金色に輝いている防具を見る。
　オルトロスの腕輪。
　双剣を使っているときにこの腕輪を装備すると、攻撃力、瞬発力、素早さが大きく上がる。
　大盗賊のバンダナ。
　盗賊スキルの成功率が大幅にあがる。
　カーバンクルの宝石
　ダンジョンでレアモンスターや宝箱の遭遇率が上がる。
　金演出の防具はこの３つだ。

　最後はいよいよ虹演出の防具だ……。
　九尾の尻尾。
　９つの尾は火、水、土、風、闇、光、時、空間、幻を司る。
　装備者は妖狐九尾となり、その力を授かる。

「すげぇ！！
虹演出だけあってヤバい装備だな」

　狐の半獣人である俺の為にあるような装備だ。

「でもこの尻尾どうやって装備するんだ？」

　そのまんま自分の尻尾の根本につければいいのか？と考えて試してみる。
　すると、九尾の尻尾は俺の狐の尻尾に吸収された

「え、ちょ！？
どうなッ！！」

　激痛が全身を襲い、叫ぶことも出来ずにビクビクと痙攣する。
　尻尾から脳みそに電撃のような強い衝撃を感じ、九尾の力を感じて、溢れるのが無意識に感じる。
　次第にそれが落ち着いてきて、俺は涙とヨダレで顔を濡らして気絶した。
　尻尾はファサっと９つの尾に別れる。

　意識は暫くして戻った。
　衝撃から過ごしばかり放心して、少しずつ鮮明になってくる。
　そして、自分の尻尾を見た。

「……」

　これは確実にやらかしたぞと血の気が引く。
　９つの尻尾は完全に俺のものだという感覚があるし、自由に動かせる。

「お、お母さんにどう説明すればいいんだよ……」

　俺は出しっぱなしの防具を放っておいて、頭から掛け布を被ってガクガク震えながら必死に言い訳を考えた。

「ガチャなんかしなきゃよかった……」