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勇敢に戦った節分
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子どもと体験した年間行事で、最も思い出深いのは節分だ。親である私達の繁忙期と節分の時期が重なってしまったため、家では豆まきをしていない。彼が節分を体験したのは保育園だった。
保育園で豆まきをしたその日、我が子は保育園から帰宅するとすぐに、にほんむかしばなし集の絵本を本棚から引っ張り出してきた。まだ上手く絵本をめくることができない彼は、母親である私にページをめくらせ、ももたろうを開いた。そして、お土産に持って来た、牛乳パック製のマスに手を突っ込み、開いた絵本に何かを投げ込む仕草をする。彼はももたろうに出ている鬼に豆をまきつけているらしい。
保育園では、マスに豆を入れてみんなで園内を歩いたそうだ。頭には手作りの鬼の角を装着して、豆まきを楽しんだ。豆をまく相手はもちろん鬼だ。鬼に扮した保育士に「鬼は外、福は内」と豆を投げ込んで戦う。
この行動からすると、彼はとても勇敢に鬼と戦ったように見える。自分の祖母に会ったときも同じような動きをして見せて、「ぼくは鬼と戦いました」とばかりにアピールしている。とても微笑ましい光景だ。だが、彼のこの様子と、保育士から聞いた彼の様子は少し違う。
お迎えに行ったときに、保育士から詳しい様子を聞くことができた。
子どもたちの目の前に現れた鬼は、金棒を持っていたらしい。金棒を持った鬼が登場したとき、我が子は誰よりも速く、そして遠くまで逃げたそうだ。逃げられる限界まで逃げ、部屋の端で泣いていた。彼の号泣は鬼が去るまで続いた。忘れ物の金棒を目にして、また大泣きをした、といったエピソードを教えてくれた。
家で節分の出来事のことを教えてくれている彼からは、勇姿しか見えない。家族の前で強がってみたのか、それとも本人の中では立派に戦ったつもりなのか、どちらなのかは分からない。どちらであっても、可愛いことには変わりない。
保育園で豆まきをしたその日、我が子は保育園から帰宅するとすぐに、にほんむかしばなし集の絵本を本棚から引っ張り出してきた。まだ上手く絵本をめくることができない彼は、母親である私にページをめくらせ、ももたろうを開いた。そして、お土産に持って来た、牛乳パック製のマスに手を突っ込み、開いた絵本に何かを投げ込む仕草をする。彼はももたろうに出ている鬼に豆をまきつけているらしい。
保育園では、マスに豆を入れてみんなで園内を歩いたそうだ。頭には手作りの鬼の角を装着して、豆まきを楽しんだ。豆をまく相手はもちろん鬼だ。鬼に扮した保育士に「鬼は外、福は内」と豆を投げ込んで戦う。
この行動からすると、彼はとても勇敢に鬼と戦ったように見える。自分の祖母に会ったときも同じような動きをして見せて、「ぼくは鬼と戦いました」とばかりにアピールしている。とても微笑ましい光景だ。だが、彼のこの様子と、保育士から聞いた彼の様子は少し違う。
お迎えに行ったときに、保育士から詳しい様子を聞くことができた。
子どもたちの目の前に現れた鬼は、金棒を持っていたらしい。金棒を持った鬼が登場したとき、我が子は誰よりも速く、そして遠くまで逃げたそうだ。逃げられる限界まで逃げ、部屋の端で泣いていた。彼の号泣は鬼が去るまで続いた。忘れ物の金棒を目にして、また大泣きをした、といったエピソードを教えてくれた。
家で節分の出来事のことを教えてくれている彼からは、勇姿しか見えない。家族の前で強がってみたのか、それとも本人の中では立派に戦ったつもりなのか、どちらなのかは分からない。どちらであっても、可愛いことには変わりない。
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